上位対決で無敗!「プレミアリーグ最強のリヴァプール」は、なぜ下位に取りこぼすのか?
年末のマンチェスター・シティ戦では8分にワイナルドゥムが先制ゴールを決めると、のらりくらりと守り切って勝ち点3。折り返しのチェルシー戦は、ダヴィド・ルイスに直接FKを決められた後、ワイナルドゥムのヘッドで追いつきドローと最低限の結果を残しています。2-0で完勝した25節のトッテナム戦を観て、「ハリー・ケインやデル・アリに可能性を感じた」という人はいないでしょう。かくして、6チームのミニリーグでレッズは無敗の首位。ホーム&アウェイのTOP6トーナメントを開催すれば、クロップ監督のチームは決勝に進出するでしょう。昨季ヨーロッパリーグとリーグカップで準優勝、今季はEFLカップと名称が変わった大会でトッテナムを倒してベスト4と、ここぞというゲームでの集中力は抜群です。消化試合数に差はあれど、リヴァプールは上位対決最下位のアーセナルに11勝ち点差をつけており、「プレミアリーグのベストチーム」と形容されても違和感はありません。
【プレミアリーグ2016-17 TOP6の直接対決戦績】
チェルシー 4勝1分3敗/勝ち点13/下位クラブ46
未消化/マン・シティ(H)、マン・ユナイテッド(A)
マン・シティ 2勝1分3敗/勝ち点7/下位クラブ42
未消化/マン・ユナイテッド(H)、リヴァプール(H)、アーセナル(A)、チェルシー(A)
トッテナム 2勝3分3敗/勝ち点9/下位クラブ41
未消化/アーセナル(H)、マン・ユナイテッド(H)
アーセナル 1勝2分3敗/勝ち点5/下位クラブ45
未消化/リヴァプール(A)、マン・シティ(H)、トッテナム(A)、マン・ユナイテッド(H)
リヴァプール 4勝4分0敗/勝ち点16/下位クラブ33
未消化/アーセナル(H)、マン・シティ(A)
マン・ユナイテッド1勝3分2敗/勝ち点6/下位クラブ42
未消化/マン・シティ(A)、チェルシー(H)、アーセナル(A)、トッテナム(A)
ここまでは、レッズの強さについて紹介してきましたが、「脆さ」についても触れなければなりません。相手が強ければ強いほど威力を発揮するゲーゲン・プレッシングのチームが、勝ち点49で5位に留まっているのはなぜでしょうか。7位以下の14クラブとの戦績をチェックすると、勝ち点33はぶっちぎりの最下位。マンチェスター勢やアーセナルよりも2試合少ないことを考慮して、勝ち点6をプラスしても5位に届きません。下位キラーのチェルシーがスウォンジーとバーンリーに引き分けただけで勝ち点46を稼いでいるのに対して、リヴァプールはバーンリー、ボーンマス、スウォンジー、ハル・シティと4つも負けており、セインツ、ウェストハム、サンダーランドとドローも3つ。攻めてくる強豪クラブからは、圧倒的な走力を活かしたプレスで次々とボールを奪えるものの、引かれたとたんに打ち手を失うチームでもあります。彼らに足りないものは何でしょうか。「上位対決は分が悪く、下位からの勝ち点は多い」対照的なクラブ、アーセナルの数字をのぞいてみることにしましょう。
フォーメーションが異なるため、FWとMFのゴール数の単純比較はしにくいのですが、いくつか顕著な違いがあります。たとえばリーディングスコアラーのゴール数、高さで勝負できる選手の有無、スルーパスの本数。どこからでも点が獲れるものの、マネの11ゴールが最多のレッズに対して、アーセナルはプレミアリーグ得点王レースのTOPを走る17ゴールのアレクシス・サンチェス、8ゴールのジルー&ウォルコットとフィニッシャーが明確です。なかでもわかりやすいのが、アレクシス・サンチェスの「下位いじめ力」。17ゴールのうち、上位相手に決めたのは、9月のチェルシー戦の先制点のみ。これは、ケーヒルがもたつき、7番にボールをさらわれなければ決まらなかった1点で、きれいなゴールはひとつもありません。
さらにもうひとり、ガナーズには今のレッズにはないキャラクターが存在します。マイケル・アントニオの7ゴールに次ぐ「ヘッドで5発」のオリヴィエ・ジルー。リヴァプールが3つ4つとショートパスをまわして崩している間に、フランス代表の長身ストライカーは、エジルやアレクシスのハイクロスを一撃で叩き込みます。相手に引かれたとき、二次元で崩すのか、三次元で戦えるのかは大きいでしょう。ジルーの今季プレミアリーグ8ゴールのうち、6本までが決勝ゴールか同点ゴールです。どうしてもゴールがほしいとき、チームが誰を頼りにするのかが数字にも現われています。
プレミアリーグ最多の99本のスルーパスを決めているアーセナルに対して、リヴァプールは半分にも満たない40本。1発で世界を変えるパスが少ないのは、押し込む時間が長く相手にスペースを埋められる展開が多いことと、アレクシス・サンチェスやウォルコットのように虎視眈々とラインの裏を狙う選手がいないからでしょう。ちなみに、レッズと同様によく走るペップのマン・シティは、デブライネとダヴィド・シルヴァを中心にスルーパス本数で2位につけており、プレスで制圧する戦い方と自陣に引き寄せてカウンターを仕掛ける時間帯を使い分けているのがわかります。クロップ監督のチームは、よくいえばコンセプチュアル、悪くいえばときどき一本調子。比喩を野球に求めるなら単打とバント、ヒットエンドランでアドバンテージを積み上げるチームで、一発長打がありません。「メトロ」は、ひたすら走り続けるリヴァプールをたしなめるように、記事をこう結んでいます。「とどのつまりは、プレミアリーグはスプリントではなく、マラソンなのです」。
逆転されたゲームは、12月に3-1をひっくり返されたボーンマス戦と、最終的には追いついたウェストハム戦のみ。ボールを支配しながらもゴールが奪えず、少ないチャンスを活かされる落とし方が多いレッズに、「弱者に強いアレクシス」「困ったときのジルー」「1発で世界を変えるエジル」「裏抜けウォルコット」のいずれかがあれば、今頃はプレミアリーグ首位を走っていたのではないかと思います。このなかのいくつかの役割は、スタリッジとオリギが託されていたはずです。サブの選手が機能せず、オプションで試合の流れを変えられないのもレッズの弱点のひとつです。逆にいえば、これからの戦いで奇跡的な逆転を実現するには、スタリッジの覚醒やオリギのブレイク、あるいは第3の男の台頭が求められるということでもあります。プレミアリーグ1本、残り13試合。ベストチームの目標は、もちろん無敗フィニッシュです。
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更新お疲れ様です。プレミアリーグの勝ち点再分配を任せられているんじゃ無いかと苦笑いしつつなんとかならないか悩みます。
裏抜けウォルコットという意味ではマネがやってくれますが、このクラブはどうもここ5年間タワーCFを使いこなせないのでそれならせめてセットピースでCBあたりが決めて欲しいですね(全盛期のシュクルテルのように)
あとは個人的に得点の「型」を持つ選手が少ないことが大きいかと思います。それだけにこだわると多様性が無いチームですがここまで即興に依存するのはリスク以外の何者でも無いです。シュートに絶対の自信を持つ選手とフラットなシーンでも果敢に走る選手が必要ですね。長文すみません
オリジはコウチがいない間よくやってくれていたと思いますが…
相手によって柔軟にスターティングを変えることができれば、いいんですが。
監督がコンセプチュアル過ぎて、押し込んで戦える下位相手にストライカーを置くなどシーズンの早い内から試せなかったのが痛いです。
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更新ご苦労様です。
私もコメントされておりますグッチさんと同じ思いです。ビッグチームに強く、降格圏のチームに勝ち点を献上してしまう、、、。まさに歯がゆい思いですね(苦笑)
以前管理人さんが、述べておられましたが劣勢時流れを変えられる選手がユナイテッドにいると。レッズはまさにその逆ですね。クロップもその辺りは理解しているでしょうから、残りゲームを勝ち点落とさずに4位以内フィニッシュです。
更新お疲れ様です。
「弱者に強いアレクシス」「困ったときのジルー」「1発で世界を変えるエジル」「裏抜けウォルコット」がいれば・・・、おっしゃるとおりですね。
私はなかでもエジル的存在が大きいとも愚考します。
レッズの負け試合はボールを持ちながら中を崩せず、結局は精度の低いクロスに終始してカウンターを喰らっています。
ここにジルーやサンチェスがいれば確かに問題ありませんが、このクロスの質があまりにも低い場面が多いです。
可能性を感じるのはコウチのみで、純然たるキッカーがいないことも大きいと思います。
愚考と申しましたのはエジルといいますか、やはりジェラードのような選手がいれば!と、コウチがいない時や苦しい場面に思ってしまうのです。
そういった意味ではやはりミルナーを一列挙げて守備の負担を軽減させたほうが、コウチもより自由に動けて攻撃の厚みは増すと思いますが・・・、今更ジェラードを引用するようでは愚考そのものですかね。
なんにせよトップ4を勝ち取るためにもこれ以上勝点を落とすわけにはいきません。
クロップと選手を信じて応援するのみです。
いや〜素晴らしい記事ですね!
下位と微妙な勝ち点争いをしつつ、トットナムを圧倒するチームについて、
ちょうど不思議に思ってたところでした。
面白い記事をタイムリーにありがとうございます!
更新お疲れ様です。
弱きを助け、強きを挫く。と昔ネタとして使われていたリパプールへの言葉ですが、今シーズンは正にそのようなシーズンとなっています。
記事の中にも攻めてくる強豪とありましたが、強豪と呼ばれるチームはプライドのためか、割り切ってドン引きカウンターの戦術を取れないため、プレッシングとショートカウンターに嵌ってしまうのだと思っています。
10月のユナイテッド戦ではモウリーニョが割り切った戦術をとったため、ボールは支配するけど、決定的なチャンスはユナイテッドの方が多かった記憶があります。
クロップについては、ドルトムントの時にも徹底して引いてくる相手には何も手を打てず、終了の笛がなっていたような気がします。この問題の解決は、レバンドフスキのようなスペシャルなCF一本釣りに補強予算をつぎ込むのが、一番の近道だと思いますので、今シーズンはこのまま解決できないことをユナイテッドファンとして祈っています。笑
はじめまして
更新を楽しみにブログを拝見させていただいています。
今回の記事も共感する部分がいくつもありました。素人目ながら、今シーズンはシステムを変えれば回避できていた負け、ドローはいくらでもあるのかな?と思っています。
引いてきた場合は、ボールが持てる。ならば、4231で、3の真ん中にはコウチーニョ。もちろん出してです。左右には運動量が多く神出鬼没なフィルミーニョ、ララーナで前の裏抜けのスペースを作り、TOPは裏を狙うマネ。センター二枚は、ワイナルダム、ヘンダーソンも無尽蔵の運動量で制圧する。
事情もあり、システムを帰れないのなら、前線真ん中マネ、両翼はフィルミーニョ、ララーナ。中盤アンカーにヘンダーソンで、インサイドは、ワイナルダム、コウチ。
今のメンバーでは放り込みでは部が悪いと思います。
コウチーニョの離脱、マネのネイションズカップもなどありましたが、最低でも最近の勝ち点を落とすのを減らせたのかな、マネはTOPで使えば年間20G以上は取れるとみています。
どのチームも完璧に引かれたら崩せないのは同じなんですが、崩さずに点を取れるミドルとセットプレーのような1発がレッズにないのは同意します
ただ私はスタイルを変えずに今の戦術に合う選手を増やせばいいと考えてます
何故なら中盤がベストメンバー時は10勝2分1敗、34得点13失点
中4日以上空けばトップ6以外も6勝2分2敗で要塞ターフムーアとコウチとララナを失った連戦後の疲弊したボーンマス戦に負けただけ
ビッグマッチ以外の酷すぎる戦績は殆ど中4日未満の時に起きているからです
スタイルが間違ってるのではなくスタイルを続ける選手層とマネジメントの不足に過ぎず、
レギュラーが見せる調和の取れたサッカーを捨ててプランBを用意するのは勿体無いと思うのです
守備が脆く、攻撃もカウンターやワールドクラス頼みだった時代とは内容が劇的に変わっており、
この悪癖とは過密ローテが終わった今、お別れ出来ると私は考えています
勿論、夏の間に5人以上の戦力を獲るか育てないと来季も同じ過ちを繰り返すのは間違いありませんが…
グッチさん>
純正ストライカータイプがスタリッジだけなので、彼が調子を崩すとどうしても点がほしいときに打ち手がなくなります。若手でもいいので、もう1枚ほしいですね。
レッズサポさん>
コウチーニョがいない時期のオリギはよかったですね。期待している選手なのですが、調子の波が激しいのが気になります。
Mackiさん>
ゲーゲン・プレッシングの一神教でどこまで突っ走れるか、ですね。オーバメヤンをもってくれば一発解決してしまいそうですが。
nyonsukeさん>
トニ・クロースやモドリッチのような選手ですかね。ミルナーを上げる、フィルミーノを偽トップ以外のポジションでも機能させる、オリギに中央でのプレイをマスターさせるといったあたりが、補強に頼らず強化するアプローチではないかと思いました。
アイクさん>
ありがとうございます!全試合観ていると、好きになってしまいますね。
ルニキさん>
同感です。私が最初に思い浮かべたのはオーバメヤンでしたが。
kkさん>
なるほど。コウチーニョを中に持ってくるという発想はありですね。フィルミーノもゴールに近いところで使おうとするなら、セントラルを1枚削って4-1-3-2もいいかもしれません。
Kさん>
スタイルが間違っているとは思っておらず、オプションがあったほうがよいというお話です。4-3-3は、ストライカータイプとフィルミーノを共存させるのが難しいので。