4試合連続ノーゴール…現地メディアの「リヴァプールの3トップ疲労説」を検証!
最初の3試合は8ゴールで3連勝、後半の4試合はわずか2ゴールで2分2敗に終わっています。サラーはこの間1ゴールのみ、フィルミーノは直近5試合ノーゴール、マネは完全に沈黙。評論家やOBたちが、今季プレミアリーグで全試合に先発している3トップのコンディションを気にするのは当然でしょう。「リヴァプールの強みは、素早いスプリント、素早いプレス、素早いトランジションだ。それらがなくなれば、彼らは多くを失う(ガリー・ネビル)」「彼らはどんな相手でも全力で負かそうとする。あんな強度でやっていたら、引いて接戦に持ち込もうとする相手には難しくなるだろう(グレアム・スーネス)」。スピードと高い集中力を常に要求するクロップサッカーが、選手たちが疲労を蓄積させる最大の理由であるという主張は、一見説得力があります。
私も一時は、「選手たちの疲労が不振につながっている」という説に傾いていたのですが、試合内容やデータを自分なりに検証した今は、少し違う見方をしています。「リヴァプールは、昨季から飛躍的に向上している。直近の苦戦は選手の疲労よりも、ただでさえ厳しい対戦相手に研究されたからではないか」。今回の記事には興味深いデータが掲載されています。プレミアリーグのチェルシー戦とマンチェスター・シティ戦で、リヴァプールの走行距離は落ちておらず、スプリントの本数はむしろ増えているのです。6連勝中の走行距離とスプリント本数を見ると、最多がクリスタル・パレス戦の112km&121本で、最少はブライトン戦の108km&98本ですが、チェルシー戦は113km&150本といずれもシーズン最長を更新しており、マン・シティ戦も109km&129本という数字を残しています。リヴァプールはいつものように走り、いつも以上にスプリントを繰り返していたのです。
1年前のプレミアリーグを思い出してみましょう。サラーは全試合スタメンで8試合4ゴール、フィルミーノは7試合先発で8試合2ゴール。マネはマン・シティ戦のレッドカードと負傷で3試合を欠場し、5試合3ゴールでしたが、コウチーニョが穴を埋めて4試合2ゴールという数字を残しています。スタリッジの1ゴールを加えて、プレミアリーグ8節までの前線のゴール数を算出すると12ゴールとなりますが、今季を見ると、マネ4発、サラー3発、フィルミーノ2発、スタリッジ2発で11ゴール。スタメンの3人は9ゴールとまったく同じ数字で、チームの総ゴール数は昨季の13に対して15ゴールと2つ増えています。2017-18シーズンは8試合で12失点を喫して3勝4分1敗と優勝争いの圏外、今季は3失点に抑えて6勝2分で首位と同勝ち点の3位。レッズは守備力の向上で頂点をめざせるクラブになったというのが、ここまでの戦績に対するフラットな見方でしょう。
直近4試合でゴールを決められなかったのは、戦った相手の守備が素晴らしかったということに尽きると思います。チェルシーとの連戦はいずれもシュート数は上回っていたものの、ゴール前を締められて決定機を創れず。アンチェロッティ監督のナポリは鉄壁で、アウェイだったことも手伝ってレッズ攻撃陣は力を発揮できませんでした。ペップはレッズを徹底的に研究し、SBの攻め上がりでチャンスを創ることよりも、複数の選手の囲い込みでサラーとマネの自由を奪うことを優先しました。セヴィージャ、スパルタク・モスクワ、マリボルと同じグループだった昨季に対して、パリやナポリといきなり戦うことになったCLは大きな変化です。アグエロ、ハリー・ケイン、ルーカス・モウラなど全試合先発のアタッカーは他クラブにもおり、体力的には問題ないと思われますが、難敵4連発でメンタルが摩耗したという面はあるかもしれません。
そんななかでも気になったのは、クロップ監督の采配です。引いた相手の崩し方と劣勢時のBプランの開発は継続課題。交代策についても、「全く攻められなかったナポリ戦の最後の1枚は、スタリッジの1発狙いではなくドロー決着に徹してデヤン・ロブレン」「1枚カードを残して終わったマンチェスター・シティ戦は、スタリッジ投入でゴールを決めにいくなら右サイドにクロスの質が高いシャキリもプラス」など、めざす着地に対してより徹底度の高いチョイスがあったのではないかと思いました。ナポリ戦が0-0ドロー、マン・シティ戦がスタリッジのゴールで勝ち点3なら、3トップの4戦ノーゴールなど全く気にならず、「スカイスポーツ」は別な特集を掲載していたのではないでしょうか。
以上、ポジティブに整理しましょう。プレミアリーグでチェルシーとのアウェイ戦を首尾よくドロー、マン・シティとのホームゲームを無念のドローは、プラスマイナスゼロ。CLもホームで勝ち、アウェイで僅差の敗戦は想定内です。昨季の新戦力を思い出すと、チェンバレンとロバートソンはフィットするのに時間がかかりました。ファビーニョ、ナビ・ケイタ、シャキリも、年末以降に真価を発揮してくれるのではないでしょうか。リーグカップでチェルシーに敗れましたが、年明けのスケジュールが楽になったと前向きに捉えましょう。CLで死のグループを勝ち抜き、前半戦でマン・シティとチェルシーに離されなければ、新戦力のフィット感が高まるであろう2019年は、悲願のプレミアリーグ制覇や欧州戴冠が楽しみになってきます。
プレミアリーグのトップクラスとも、欧州の強豪とも互角に戦えるとあらためて確認できた3週間。1年前と同じ数字を出せている3トップが、「不振」「疲労」とネガティブに語られているのは、最も大きな変化ゆえではないでしょうか。そう、「サポーターや評論家の期待値が、格段に上がったから」。現在のリヴァプールには、昨季はなかったCL準優勝という実績があり、戦力が強化された今季はプレミアリーグの優勝候補です。
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いつも楽しく拝見しております。
今シーズンの戦いを見て中盤の攻撃力の低下が
一因な気がします。チェンバレンやララーナ
の様な運動量と攻撃力を持った選手が復帰
すれば3トップがもっとフリーとなる機会も
増えるでしょうし。シャキリやケイタの戦術理解
が進めば中盤の攻撃力も厚くなるので期待
してます。現状は危機察知能力に長けた選手起用で
硬い守備の構築に一役かってますし、ファビーニョも今後は出場機会も増えるでしょう。後半の熟成したチームが楽しみです。
個人的に興味ある今年の特徴はボールキープ時に
左サイドに中盤の選手を意識的に下ろしているところです。以前から中央にヘンダーソンが降りてくることはよくありましたが意図がチョット違う気がしています。
はじめはカウンターリスク回避作か展開の幅を
広げる為かと思う思いましたが他の意図が
ありそうな気がします。これにより、攻撃の際の
中盤参加が遅れると言う場面もありました。
ケイタもこの辺りにまだ戸惑っている様子が
ありました。なぜでしょうかね。
を持った選手が
疲労もあり、研究もされ、優勝の筆頭候補だという期待とプレッシャー、クロップ就任から数年で、リバプールはかなりのものを背負わなければいけなくなったからなあ。
サラーもマネも、常に要チェックのスター選手に成長し、クラブも古豪から強豪へ、新たな黄金期となるか?の正念場にいますからね。
理論や戦術も重要ですが、プレミアで優勝するチームには、強烈なリーダーシップを持ったキャプテンが必要で、リバプールには、それが薄い気がしますね。
まあ、アーセナルファンの私も言えたクチじゃないですけど(泣)
戦術と戦況を理解し、つべこべ言う前に走り、なめたプレーには睨みを効かす男。
今時、こんな意見は時代遅れかな?(笑)
試合を観ながら漠然と感じていたことを活字にして頂き、とても納得感のある記事でした。
今年のリバプールは昨年度より明らかにアップデートされていると思いますが、優勝するにはもう一歩足りていない(研究された相手を崩せない)とも感じています。
ただそこはまだフィットしきれていないシャキリ、ケイタ、ファビーニョとチームの完成度に伸び代があると思っていますので、これからもリバプールの試合を楽しみに観ていきたいと思います。