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南野拓実プレミアリーグデビューのウルヴス戦、現地レポートまとめ!

フィルミーノは「マジック」、南野拓実は「スーパー」。1-2で勝ったウルヴス戦の前線で体を張ったアタッカーたちの奮闘を絶賛したクロップ監督は、前半の途中にピッチを離れた10番の話になると顔を曇らせます。「われわれはサディオ・マネを失ってしまった。それはプレッシャーだね」。プレミアリーグ23戦22勝という前代未聞のハイペースで首位を独走するリヴァプールにとって、冬のマーケットの序盤に日本人FWを獲得したのはファインプレーとなるかもしれません。南野がプレミアリーグデビューを果たしたウルヴスとのアウェイゲームを受けて、現地メディアが報じたレッズに関するさまざまなニュースを紹介しつつ、世界王者の今後を展望してみたいと思います。

フィルミーノは英雄、サラーは毀誉褒貶相半ば、南野は不完全燃焼、マネは無念。モチベーターの指揮官はヒーローも新戦力も激賞しましたが、4者4様だったリヴァプールのストライカーたちへの評価を端的に表現すれば、こんな言葉がフィットするのではないでしょうか。ハーフタイムでふくらはぎに違和感があり、ケアを必要とした南野について、多くの現地メディアが及第点の「6」と採点。「スピードについていけていないシーンがあった」「慣れるまで時間が必要」など、チーム戦術に乗れていないとするコメントが目立ちました。

なかでも、地元メディア「リヴァプール・エコー」のイアン・ドイル記者の指摘が的確でした。「左サイドにいたときは、ロバートソンとの連携でいくつかいい兆しがあったが、中盤の右に移った後半はより厳しかった」。なるほど、個人力に自信があるアーノルドとサラーがいる右サイドと、周囲を使うマネやロバートソンのエリアでは、新人の居心地は違うのかもしれません。「ユーティリティーが高い南野は、残りのシーズンで効果的な存在となるはず。マネがしばらくチームを離れるなら、なおさらだ」。レッズをよく知る記者は、クロップ監督が彼の獲得を熱望した理由を熟知しているのでしょう。シュート数2本、パス29本、パス成功率93%、ドリブル成功2回のプレミアリーグ緒戦は、決して悪くはありませんでした。

素晴らしいボールタッチで決勝ゴールのきっかけとなったサラーについては、「南野は彼のセルフィッシュなプレイの犠牲者となった」という声もあります。前半終了間際にドリブルで斬り込んだサラーは、左でフリーだった日本代表にパスを出さず、強引なシュートをDFにぶつけてしまいました。サディオ・マネなら猛烈に抗議したシーン。多くのプレミアリーグファンが「なぜ出さない!」と叫んだのではないかと想像しますが、あそこで打とうとするのがモー・サラーです。最後のゴールシーンでも、諦めの悪いドリブルがあったからこそ、ヘンダーソンからフィルミーノへのパスコースが空いたともいえます。称賛と批判を同時にもらったレフティには、「彼は持ちたがるときこそ好調」とメモを残して、今後に期待したいと思います。

さて、マネです。ナビ・ケイタ、ララナ、デヤン・ロブレンが復帰するタイミングで、最も厳しい負傷者が出てしまいました。クロップ監督が、オリギではなく南野を送り出したのを「チーム内の序列が動いた」と見る向きもあるようですが、指揮官の今後のチョイスは相手との力関係や戦況次第で変わるだけでしょう。攻守のバランスを重視するならチェンバレンと南野、1発がほしいときはシャキリやオリギを選ぶのではないかと思われます。ロバートソンやファビーニョの導入に時間をかけたクロップ監督は、南野にも無理をさせず、持ち味を発揮することを求めていくはずです。

あらためて現在のリヴァプールを見ると、最前線にはウイングもストライカーもトップ下もできる4人が揃い、中盤はアンカーもインサイドもこなせるオールラウンダーが大半を占めています。4-3-3、4-4-2、4-2-3-1。ユーティリティーの高さと個性の強さを融合させたチームは、3年前には考えられなかったほどの戦術的なアイデアと選手の組み合わせを備えています。こういうチームに南野が請われたという事実に心が震えます。パスセンス、得点力、ドリブル、オフ・ザ・ボールのクオリティ…すべてにおいて一流と見做されなければ、マイケル・エドワーズとユルゲン・クロップのリストには名を記されないのですから。

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