プレミアリーグ復帰どころか、今や降格候補!? マガト監督&スールシャール監督が相次いで解任!
より厳しい状況に陥っているのは、チャンピオンシップで1分け6敗の最下位というフラムのほうです。2014年2月にマガト監督が就任して以来の20試合で4勝4分け12敗では、解任やむなしでしょう。17日に首位のノッティンガム・フォレストに3-5と惨敗。サポーターから「マガト出て行け!」のチャントが鳴り響いたゲームの直後、指揮官は「今季は大惨事だ。これまでの自分のキャリアでこんなことはなかった。ファンには大変申し訳なく思っているが、私はここから順位を上げていけることを疑ってないので、しばらくの我慢をお願いしたい。この状況が私の立場に影響することはないだろう。ただ仕事をするだけだ。選手たちはいいプレイをして、3点を奪ってくれた。私たちは不運だった」と語っておりましたが、その発言からたった1日で「立場に影響する」決定がなされることとなりました。
マガト監督就任後、昨季プレミアリーグの最初の8試合は、3勝1分け4敗。フラムは最下位から抜け出し、ここまでは軍隊のような規律を敷き、厳しい練習を課すと評判の鬼軍曹起用というショック療法は功を奏したかにみえました。しかし、最後の最後で1勝2分け2敗と踏んばりがきかず、フラムは残留を果たすことができませんでした。ドイツでは「過去の人」「サッカーが古い」という評価がなされているこの監督を、「能力の問題」「プレミアリーグには合わなかった」と切って捨てる方もいらっしゃるようですが、残留失敗は、単純に「時間が足りなかった」のではないでしょうか。スパルタ指導で心身ともにチームを疲弊させるため、長期的にクラブを強くできる監督ではなさそうですが、ピンチヒッターとしては実績があります。カーディフのスールシャール監督のように1月にクラブに来ていれば、カーディフと違った結果もあったかもしれません。
そして、今季の目を覆うばかりの惨状については、最大の理由は主力選手の離脱です。降格が決まった直後から「フラム解体ショー」が始まり、7月を待たずにダフ、ハイティンハ、リーセ、カラグニスなどの主力選手がクラブを離れます。放出を回避した選手でも、2部では納得させられないということで、ギリシャ代表FWミトログル、元オランダ代表GKステケレンブルフ、核弾頭カカニクリッチを海外クラブにレンタル。残った主力はコスタリカ代表ブライアン・ルイスやスコット・パーカー、ロダジェカ、アモレビエタぐらいです。マガト監督の能力やマネジメントの問題もあるとは思いますが、現状のフラムで指揮を執ることが、難易度が高い仕事であるのも間違いありません。
ノッティンガム・フォレストやリーズなど、過去には旧チャンピオンズカップで優勝・準優勝という実績のある古豪ひしめくチャンピオンシップで、他クラブが昨季からの積み上げでチームづくりをしているなか、主力を抜かれてのリニューアルとなれば、マガト監督でなくても苦戦は必至でしょう。ヨル監督に始まり、ミュレンステーン、マガトと、フラムは1年足らずの間に3人の指揮官のクビを切りましたが、クラブの凋落はとどまるところをしらず。来季チャンピオンズシップに残留できる見込みすら、今のところ全くありません。
フラムよりもカーディフのほうが多少は明るい状況ですが、2勝2分け3敗の17位は、1季でプレミアリーグ復帰をめざすクラブにとっては、我慢できるポジションではありません。オーレ・グンナー・スールシャール監督は、「オーナーとの哲学の違いにより、辞任する決断に至った」とコメントしていますが、一方でオーナーのヴィンセント・タン氏は「残念ながら、直近の成績はオーレに監督を継続させることを正当化できるものではない」と語っており、実質的には解任でしょう。
こちらは、そもそも今年1月にプレミアリーグ17位だったクラブを降格ゾーンに落としてしまったわけですから、「仕方がない」としかいえません。とはいえ、スールシャール監督の肩を持つとすれば、「ゴールを挙げていない」という理由でGKを放出しようとする無知なオーナーと哲学を共有するのは、温厚なキャラで知られる世界一監督のアンチェロッティさんでも難しい、ということですね。若き指揮官にとっては、やりがいのあるチャレンジだったのだと思われますが、この結論は「就任時に多くの方が懸念していたことが予想通り起こった」というお話でしょう。
スールシャール監督はマンチェスター・ユナイテッドのOBであり、わが家のクローゼットにはオールド・トラフォードのメガストアで買ったユニフォームが飾ってあります(買うとき、スールシャール、ソルスキアルと発音を変えても、なかなか伝わらず難儀しました)。そしてフラムは、一時期QPRから間借りしていたロフタスロードとクレイブンコテージで2試合も彼らのホームゲームを観戦しており、それぞれにご縁があります。ヴィンセント・タンオーナーには、一度痛い目をみてご退場いただきたいと思っていますが、ノルウェー人の青年監督と、稲本潤一がかつて所属した西ロンドンのクラブには、がんばっていい結果を出してくださいと願うばかりです。
それにしても、侮れませんね、チャンピオンシップ。プレミアリーグにいたクラブだからといって、大量に選手を放出してシーズンに臨めば、あっという間に降格候補です。こういうところからも、イングランドサッカーの奥の深さをあらためて感じます。
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「ソーシャー」と発音していれば、伝わったかもしれませんね。
aさん>
おっしゃるとおり、最後はそれで通じました(苦笑)