イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

回復途上か、終わりの始まりか…現地メディアが「モウリーニョ発言に選手たちが反発!」と報道!

「I didn’t like my team」。その指揮官の言葉は、過激だったといわざるをえません。「セカンドハーフのゴールを決められた後、われわれはプアで、強いフィジカルも集中力もなかった。多くの選手がフィジカルコンディションを欠いていた」。プレミアリーグ開幕節、ホームのエヴァートン戦を0-1で落としたジョゼ・モウリーニョ監督は、トップフォームではなかったと前置きしながら、選手たちに不満があると受け取られる表現を選びました。

「戦いはプレスで始まった。しかし、われわれの前線からのプレッシャーはとても、とてもプアだったので、プレスはかからなかった。怠惰なプレッシャーであり、プレスがなければ後方からのビルドアップを許すことになる。プレミアリーグのほとんどのクラブに後ろでプレイさせれば、悠々とボールを持たれてしまう」
「前線の怠惰なプレッシャーは、他の場面でアンバランスを生じさせる。それは私を失望させた。ワークすべきところだ」

同じ状況を迎えたとき、大半の監督が「うまくいかなかった」「相手が素晴らしかった」というはずです。プレスに対して、「lazy」という表現は必要だったのでしょうか。この言葉を使った瞬間、矛先はチーム全体の出来ではなく、選手たちの姿勢に向かいます。2015-16シーズンのチェルシーでは、開幕のスウォンジー戦でエバ・カルネイロ医師に暴言を吐いてトラブルとなり、マンチェスター・ユナイテッドで職を追われたシーズンも戦力に対する不満が止まらず、開幕前のブックメーカーで解任候補の大本命とされました。トラブルが勃発して解任の憂き目に遭った年はいつも、開幕前後から問題を抱えている…。初戦の敗戦と不要なコメントに、不安を抱いたプレミアリーグファンは少なくないのではないでしょうか。

指揮官の嘆きは止まりません。「ピッチにもサイドにも多くのレフェリーがいるのに、(カルヴァート・ルーウィンのゴールにつながった)FKが5~6メートルも前で行われたのは信じられない」「コロナウイルスのテストで陽性反応を示した選手がいた」「彼はいつものマット・ドハーティではなかった。鋭さ、激しさ、俊敏さは求めていなかったが、チームとしても個人としても、もっとうまくやってくれると期待していた」。敗戦につながった要素を次々と並べたモウリーニョ監督について、ドレッシングルームを混乱に陥れるリスクを冒していると指摘したのは、「ミラー」のチーフフットボールライター、ジョン・クロスさんです。

Jose Mourinho facing dressing room backlash after Tottenham claims(ジョゼ・モウリーニョは、トッテナムに対する主張の後、ドレッシングルームの反発に直面)」と題した記事によると、何人かの選手がモウリーニョ発言に悩まされ、「彼は自らに対する非難を逸らそうとしている」と感じているとのこと。ベン・デイヴィスは、「みんな、がんばっていた。自分もすべてを尽くした。パフォーマンスがよくなかったのは事実だ。でも、それを努力の欠如が原因だったかのようにいうのは適切ではない」と反論しており、自分たちに対する批判はアンフェアと捉えている選手もひとりふたりではないようです。

ハリー・ケインはフルトレーニングセッションを1回しかこなしておらず、シソコは2回でプレミアリーグの新シーズンに突入しています。選手たちの調子はいずれ上向くはずで、最初の敗戦で何かを失うと決まったわけではありません。今は、チームのモチベーションを高めていけばいい時期ではないでしょうか。CLの準決勝のファーストレグで不甲斐ない試合をしたかのような切羽詰まった発言には、違和感を覚えます。

むしろ気になるのは、戦術のほうです。エヴァートンのカルロ・アンチェロッティは、新戦力に対して徹底的に戦術をインストールしていたようです。アランが持ったらドゥクレはここ、アランが出ていったらこのエリアをカバー、ドゥクレがキープしたらアランは近くでフォロー、ハメス・ロドリゲスが中に斬り込んだら右サイドはこう動く…。ハメスのロングフィードがリシャルリソンにぴったり収まるシーンが何度もあったのは、プレーメイカーが中を向いたらここに出てくるとストライカーが確信していたからでしょう。

対するスパーズは、縦へのロングフィード以外の狙いがわかりませんでした。クラブOBのジャーメイン・ジェナスさんは、「BBC」の取材に対して、「選手たちはフラストレーションを抱えているように見えた」「連携が全く洗練されていない。初めてチームを組成したかのようだった」とコメント。プレスとカウンター以外の戦い方が明確ではなく、個人力への依存度が高いチームだったとすれば、指揮官が個人を叱咤するしかないのも納得です。

まだ始まったばかりとやり過ごしていいのか、いつか見た終わりの始まりか。モウリーニョさんのチームを見続けてきたマンチェスター・ユナイテッドサポーターとしては、「応援しているほうもテンションが下がるので、会見で選手をくさすような表現を用いるのはやめませんか?」とひとことだけ、残しておきたいと思います。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す