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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「勝負するエリアは前だ」カルヴァート=ルーウィンの才能を引き出したアンチェロッティの慧眼。

トッテナムとのアウェイ戦勝利で波に乗り、WBA、クリスタル・パレス、ブライトンを連破。エヴァートンが絶好調です。プレミアリーグ4節で単独首位に立ったマージーサイドのクラブが、最後に開幕4連勝を飾ったのは1969-70シーズン。51年前は、2位リーズに9ポイント差をつけて優勝を遂げていますが、アンチェロッティ監督は1994-95シーズン以来25年ぶりとなるプレミアリーグ制覇を実現できるでしょうか。気の早い話なのは重々承知しつつ、アラン、ドゥクレ、ハメス・ロドリゲス、ゴドフリーという的確な補強を見ると、否応なく期待が高まるのであります。

躍進の主役は、2019-20シーズンに36試合13ゴールと完全に覚醒したストライカーです。ドミニク・カルヴァート=ルーウィン。スパーズ戦で決勝ゴールをゲットした後、WBA戦ではハットトリックを達成し、プレミアリーグ開幕から4戦連発の6ゴールで得点王争いのTOPに立っています。カラバオカップのハマーズ戦でもハットトリックを決めており、公式戦6試合9ゴールの荒稼ぎ。2017年に韓国で開催されたU-20ワールドカップのファイナルで決勝ゴールを挙げた23歳のヤングスターは、年を経るごとに得点力を高めており、初めて召集されたイングランド代表でもハリー・ケインを脅かす存在となりそうです。

序盤戦の最大のトピックスとなりつつあるゴールゲッターの躍進について、「スカイスポーツ」のアダム・ベイト記者がヒートマップやショットロケーションマップを用いて解説しています。「How Everton striker’s output exploded(エヴァートンのストライカーは、どうやって爆発力を引き出したのか)」と題されたアナライズは、187cmのストロングヘッダーの変化をロジカルに語るとともに、才能を開花させたカルロ・アンチェロッティの素晴らしい仕事ぶりをもリスペクトする秀逸なレポートです。

リシャルリソンを上回るスピード、力強いポストプレー、空中戦の強さがセールスポイントだったカルヴァート=ルーウィンの最大の変化は、ボックス内でプレイする時間の増加です。「スカイスポーツ」の記者は、「マルコ・シウヴァの下でプレイしていたときの懸念は、クオリティの高いチャンスの終わりにいないこと」と指摘。2019年12月にマージーサイドにやってきたイタリア人指揮官は、同郷のワンタッチゴーラーの名前を挙げ、よりゴールに近い位置でプレイするようアドバイスしたそうです。

「カルロは、適切なタイミングで適切なポジションにいることを強調した。自分がピッポ・インザーギのカーボンコピーであるとはいえないけど、ゲームのなかで示している要素が彼と重なる部分はあると思う。ワンタッチのフィニッシュ、正しいエリアにいること」

「センターフォワードとして進化しており、技術を磨いている。以前は、ゴールから離れたところでベストなプレイをするという過ちを犯していた。今はゴール前に入ってネットにボールを押し込むことに集中している」(ドミニク・カルヴァート=ルーウィン)

2019-20シーズンのプレミアリーグと今季を比較したヒートマップは、ボックス内にいる時間が格段に増えたことを示しており、マルコ・シウヴァ時代とアンチェロッティとの比較では、至近距離から決められるようになったのが一目瞭然です。昨季の1試合あたりのシュート数は2.91、絶好調の直近4試合は3.97。ボックス内からのショットも2.53から3.44に増えています。

なるほど。カルヴァート=ルーウィンのフィニッシャーとしての才能を見抜いたアンチェロッティが必要としたのは、縦に突破しようとするウォルコットではなく、ラストパスのバリエーションが豊富なハメス・ロドリゲスだったのですね。若きストライカーの変化もさることながら、名将の慧眼を思い知って心が震える素晴らしい解説でした。次節のマージーサイドダービーは、ハメス・ロドリゲスのパスワークとカルヴァート=ルーウィンのポジションに注目したいと思います。狙い目はおそらく、ジョー・ゴメスの周辺…!(ドミニク・カルヴァート=ルーウィン 写真著作者/Ardfern)


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“「勝負するエリアは前だ」カルヴァート=ルーウィンの才能を引き出したアンチェロッティの慧眼。” への1件のコメント

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ライバルチームですが、今シーズンのトフィーズの
    観ていて面白いです。アンチェロッティはチームを別の次元へ引き上げるかもしれませんね。
    次節のマージーサイドダービーは楽しみですが、ゴメスのエリアが弱点なので、ここ狙われると怖いですね。。。。レッズも大敗後なのでこのダービーは熱くなりますね。

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