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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「モウリーニョはイケメン。不公平だ」…ご機嫌すぎるファーガソンさんの最新大放言録!

26日のボクシングデーに放映される「BTスポーツ」のドキュメンタリー番組で、元マンチェスター・ユナイテッド監督のサー・アレックス・ファーガソン氏がロングインタビューに答えているのですが、そのぶっちゃけぶりがイギリスメディアで話題になっています。「マイケル・キャリックはイギリスのサッカー界で最高のセントラルMFであり、最高の英国人選手」という発言は、プレミアリーグでジェラードやウィルシャーを観ているわれわれからすると、さすがに手前味噌じゃないですか?とツッコミを入れたくなります。しかし、このぐらいはまだ序の口。現役監督時代にサー・アレックスが敷いていた厳しい情報統制を知る者としては、まさか彼が「ジョゼ・モウリーニョはイケメン。今の髪型はジョージ・クルーニーっぽい。(カッコいいだけじゃなく)5ヵ国語を話せるうえにさまざまな能力を持っており、不公平だ」などとお茶目でミーハーなことをいうとは思いませんでした。確かに、いかにもモテそうですけどね、モウリーニョさん。

サッカー選手としての実績がなく、バルセロナの通訳からスタートしてプレミアリーグ、セリエA、リーガ・エスパニョーラを制覇したモウリーニョ氏に対するファーギー流のリスペクトはとどまるところを知りません。「プレイヤーとして高いレベルでサッカーをしたことがない人間に、どれだけ多くのクラブ会長が監督をまかせるだろう? どの会長も、普通はそんなことはしない。ところが、モウリーニョはそれを実現したんだ。成功したい人々にとって、彼は素晴らしいお手本だと思う。彼のいる場所に辿り着きたいなら、自分の前に壁を作るべきではない」。ライバルとしてプレミアリーグを争っていた時代から、おふたりがウマが合うのは知られていましたが、それにしても手離しの褒めっぷり。チェルシーの監督の素晴らしさよりも、ファーガソンさんの高すぎるテンションのほうが印象に残ってしまいます。

御大は、今季の序盤戦で苦戦していたファン・ハール監督についてもしっかりフォローされておりました。「ベストのプレイヤーたちが復帰してくれば、マンチェスター・ユナイテッドが躍進する姿が見られるだろう。ファン・ハールは素晴らしい監督だから、うまくやってくれると思う」「エヴラとビディッチは、マンチェスター・ユナイテッドのプレイに慣れ、文化や歴史を理解するのに5ヵ月かかった。新しい選手というのはそういうものだ」。ファン・ハールさんのほうは、「サー・アレックスの信頼や後押しを得られるのは、幸せであると同時に結果を出さないといけないというプレッシャーでもある」と語っていましたが、ネガティブな発言や余計な口出しはせず、裏から後押しをしてくれるファーガソン氏の存在は、プレミアリーグが初めての監督にとっては非常に心強いのではないでしょうか。

そして、このインタビューのなかでいちばん興味深かったのは、有名な「ファーギーズタイム」についてのコメントです。追加タイムに入り、マンチェスター・ユナイテッドが勝っているときには、自身の腕時計を指差し、「早く終わらせろ」。負けているときにも同じく時計を指差し、「まだ時間はある」。これが実際に、レフェリーの心理にどれだけの影響を与えたのかは定かではありませんが、ある時期、妙に長い追加タイムが多かったのも事実。マイケル・オーウェンやフェデリコ・マケダが起死回生のゴールを次々と決めていた、2008-09シーズンは顕著でした。今回びっくりしたのは、「時計は見ておらず、実際にどのくらい時間が残っているのかはわかっていなかった」という言葉です。

「相手チームはいつもその時間を恐れていた。私は腕時計を使っていたが、時計は決して見なかったし、正直なところ、どれだけ追加タイムが残っているのかはわかっていなかった。あれは、相手チームと主審を悩ませるトリックだったんだ。ゲームの終盤、残り10分~15分は、オールド・トラフォードの65000人のファンを味方に、思いのままにプレイできた。私は常に前線に数を増やし、勝負に出た。いつでもとはいわないが、その多くがうまくいった」

いわれてみれば、そうですよね。ヘアドライヤーといわれた激情家が、押しまくっているのに勝ち越せないゲームで「あと2分を切った」などと冷静でいられるわけがありません。「いちばん大事なのは、ファンがスタジアムを出た後、パブや自宅で友人や家族とゴールを話題に盛り上がってくれること。彼らをハッピーな気分にして帰すのが私の仕事だった」という言葉には、感動してしまいます。自分の応援するクラブには、サポーターを愛する最高の監督がいてくれたのだとあらためて思います。

今のプレミアリーグにも、サポーターを煽るのがうまく、一緒になってスタジアムを盛り上げてくれる情熱的な監督がいます。ジョージ・クルーニーに似た、チェルシーのイケメン監督とスタンフォード・ブリッジに陣取る青いサポーターたちもまた、最高の出会いの真っただ中にいるのではないでしょうか。ジョゼ・モウリーニョが発するチェルシーへの愛情のこもった言葉に触れると、晴れ晴れとした表情でオールド・トラフォードのサポーターに感謝の気持ちを告げていた、サー・アレックスの最後の姿を思い出します。

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