偏愛的プレミアリーグ見聞録

23試合10勝6分7敗で、プレミアリーグ9位。これまでの戦績と順位は、ダニエル・レヴィ会長やトッテナムのサポーターの望むものではないでしょう。ハリー・ケインは21試合13ゴール11アシスト、ソン・フンミンは23試合13ゴール6アシスト。前線のコンビが出色の数字を残している一方で、期待通りのパフォーマンスを披露できていない選手が多いのが気がかりです。「スカイスポーツ」の名物解説者コンビ、ジェイミー・キャラガーさんとガリー・ネヴィルさんが、チームと指揮官が抱えている問題について意見を交わしています。

「Tottenham’s troubles: Jamie Carragher and Gary Neville discuss what has gone wrong for Jose Mourinho at Spurs（トッテナムのトラブル：ジェイミー・キャラガーとガリー・ネヴィルが、スパーズにおけるモウリーニョが何を間違ったのかを議論する）」と題した記事は、「彼らはプレミアリーグの5試合中4試合を失い、FAカップから追い出されたばかりだ」というレッズOBの言葉で始まっています。1月末には首位と7ポイント差で5位だったチームは、4位チェルシーに6ポイント差という厳しいポジションに後退しています。

「欧州のトップマネージャーは、みんな積極的な試合をしているといっても過言ではない。しかしジョゼ・モウリーニョはリアクションだ。トップチームは計算しながらリスクを負う。ジョゼはリスクを回避する」。キャラガーさんが凋落の原因と指摘しているのは、守備偏重の戦術と人選です。

エンドンベレ、ホイビュルクが軸となり、ゴールがないベルフワインが重用されているのは、闘志を前面に出し、叱咤に発奮するモウリーニョ好みの選手だからでしょう。「彼らの仕事は相手をマークするだけで、自分たちがどうプレイするかは考えられていない」。以前にモウリーニョ監督が率いたチェルシーやインテルほど守備が強くないと評価するキャラガーさんは、現在の戦力でリアクションに徹しても、TOP4にふさわしいチームにはならないと考えているようです。

「ポチェッティーノが特別だったのは、トッテナムのサポーターたちに、プレミアリーグやチャンピオンズリーグというビッグなトロフィーを獲得できると信じさせたことだ」
「今の彼らはポチェッティーノのチームとはほど遠い。現在のパフォーマンスとプレミアリーグのポジションがそのまま続くのであれば、リーグカップを獲得しても正当化されない」（ジェイミー・キャラガー）

レッズのレジェンドの見解を受けたガリー・ネヴィルさんは、「状況を好転させるためには、デル・アリとガレス・ベイルを引き上げないといけない」とコメント。マドリードから戻ってきたレフティのプレミアリーグ出場は249分、24歳のイングランド代表に至っては100分しか起用されていません。

「現状は、ジョゼ・モウリーニョが数年前にリーグを制覇した後と同じように、トッププレーヤーをコントロールできていないことを意味するのかもしれない。彼が望むようにならないのなら、プレーヤーの扱い方を変える必要があるだろう」（ガリー・ネヴィル）

ポチェッティーノ率いる最強チームの看板選手と、スペインやポルトガルから引っ張ってきた鳴り物入りを使いこなせず中位に甘んじれば、投資対効果にこだわるレヴィ会長は、高額のサラリーを必要とする指揮官を出口に誘うのではないでしょうか。

「戦績が厳しいとはいえ、直近の相手はチェルシー、リヴァプール、マンチェスターシティだった。今後数週間は、もう少し快適なゲームになるだろう。だからこそ、正念場だ。彼は権利を剥奪され始めるのか、方針を変えて1～2人の選手を味方につけることができるのかが決まる」（ガリー・ネヴィル）

ウェストハム、バーンリー、クリスタル・パレスと続くプレミアリーグで、デル・アリやガレス・ベイルが輝くシーンを見られるのでしょうか。モウリーニョ監督の起用法と戦い方に注目したいと思います。ハリー・ケイン、ソン・フンミン、ガレス・ベイル、デル・アリ、ルーカス・モウラ、ヴィニシウス…マンチェスター・ユナイテッドやレスターより強そうですよね。