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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

エメリ時代より勝率は悪化…ミケル・アルテタは「クラブを復活させたレジェンド」になれるのか?

アーセン・ヴェンゲルのプレミアリーグにおけるラスト50は、27勝7分16敗で勝率54%。エメリはプレミアリーグ通算51試合で25勝13分13敗、勝率49%と前任者の晩年に及びません。では、ミケル・アルテタは…? 50試合21勝12分17敗で42%。アルテタの8日後にウウェストハムの監督に就任したデヴィッド・モイーズは50試合20勝12分18敗で、総ゴール数77はガナーズの指揮官を5つ上回っています。

クラブとグーナーは、「レジェンドがアーセナルを復活させた」というハッピーエンドの成就をどこまで待てるのでしょうか。「やりたいフットボールが見えてこない」といわれたウナイ・エメリは、プレミアリーグ初年度をトッテナムと1差の5位で終えており、ヨーロッパリーグはファイナル進出。解任されたときは6位で、戦績だけを見れば前任のヴェンゲルより悪化したとはいえません

フレディ・リュングベリが12位に沈めたチームを引き受けたアルテタは、プレミアリーグの順位を8位に戻し、FAカップを制覇。初めてのフルシーズンの初戦となったコミュニティシールドでリヴァプールに競り勝ち、開幕節のフラム戦を0-3で快勝しました。この頃、グーナーのみなさんは、期待で胸を膨らませていたのではないでしょうか。最後の2シーズンはCL出場権に届かなかったヴェンゲルよりも、チームを復活させてくれる存在と信じられなかったエメリよりもやってくれるはずだ、と。その後3節で前年王者のリヴァプールに敗れたものの、4節終了時は3勝1敗で4位に着けていました。

ここまでは、多くのジャーナリストが「時間を与えられれば、経験を積めば、彼はアーセナルを以前のポジションに導くはずだ」と評価していました。メスト・エジルとパパスタソプーロスを登録メンバーから外すという非情のジャッジも、指揮官に対する批判にはつながりませんでした。しかし…。

5節からの10試合を1勝2分7敗という絶不調に陥り、15位に転落。「負けたら解任」と噂されたチェルシー戦を3-1で制し、5勝2分と持ち直したのですが、2月以降は公式戦5勝4分5敗、プレミアリーグ3勝2分4敗と停滞しています。リヴァプール戦の惨敗の後、「スカイスポーツ」のジェイミー・キャラガー&ガリー・ネビルコンビが、ハングリーさも自信も感じられなかったと厳しく批判。ポール・マーソンさんは、指揮官の問題に言及しています。

「彼らが打ちのめされ、非難されたとき、選手を批判するジョゼ・モウリーニョとは逆のことをしているが、アルテタはモウリーニョと全く同じように考えているのだと思う。違いがあるとすれば、もうひとりのマネージャーは長い間存在しており、すべてを勝ち取ったことだけだろう。

「アルテタは監督を始めたばかりで、カメラの前で正しいことをいわなければならないのに対して、彼は思ったことをそのままいうことができる。しかし、いざカメラが離れれば、アルテタはモウリーニョと同じようなことを考えているだろう」

いわれてみれば、ノースロンドンの2人の監督には共通項があります。アルテタはエジルを構想外とし、モウリーニョはデル・アリを突き放しました。アーセナルはウィリアンとトーマス・パーティー、トッテナムはガレス・ベイル、ヴィニシウス、ドハーティーと、それぞれ未だフィットしていない新戦力を抱えています。意に沿わない選手、闘争心を表に出さない選手に厳しいのも特徴のひとつ。ペップやクロップがユーティリティを好むのに対して、スペシャリストに持ち場をまかせるのも共通しています。

アルテタ監督は、これまで一貫性をもって歩いてきたわけではなく、試行錯誤の連続で苦しんできました。開幕当初は3バック、その後4-3-3、スミス・ロウという救世主とウーデゴーアを手に入れると4-2-3-1。いくつかの戦術を用いたものの、複数のフォーメーションを自在に操って勝った試合はほとんどありません。天才肌のプレーメイカーを2人も加えたのに、3勝2分4敗では批判が増えるのもやむをえません。ティアニーが負傷でリタイアしたと聞いて、「コラシナツとメートランド=ナイルズを放出したのはなぜだ!?」と落胆しているグーナーもいるのではないでしょうか。

アルテタは、ガナーズを復活させられるのか。そう問われたら、「メイビー・イエス、しかし…」と始め、こう続けるでしょう。「彼が納得する戦力を揃えるお金と、選手たちに戦術をインストールして熟成させる相当の時間が許されるならば」。モイーズの後を受けたファン・ハールは4位、ロジャースの後任となったクロップは翌シーズンからずっとTOP4、ファン・ハールの特殊な戦術の消去に手間がかかると嘆いたモウリーニョは2年めに2位、10位だったチームを率いたコンテは3-4-3を見出して初年度優勝、新戦力ゼロでバトンを渡されたランパードは4位です。ヨーロッパリーグで敗れ、プレミアリーグでも停滞が続けば、アルテタは戦績を悪化させた監督でしかなくなります。そうなれば、もう一度問いたくなるでしょう。

クラブとグーナーは、「レジェンドがアーセナルを復活させた」というハッピーエンドの成就をどこまで待てるのでしょうか?


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