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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「彼は選手と対立する」ポール・ポグバがモウリーニョを批判。スパーズの選手たちは…!?

プレミアリーグ32節、エヴァートン2-2トッテナム。CL出場権を視野に入れていた両者ともに、痛いドローでした。27分に先制したのはスパーズ。パス交換を繰り返しながら、左サイドに出たエンドンベレがクロスを入れると、マイケル・キーンがかぶってしまい、背後にいたハリー・ケインがワントラップボレー。左足で止めてから左隅に決めるまでの動きにムダはなく、ポストの内側に叩き込まれたボールにピックフォードが触れないのは当然です。

0-1となった4分後、シグルズソンが左から入れたグラウンダーがハメス・ロドリゲスの足元に届き、左足で直接打とうとした瞬間、レギロンが後ろから引っかけてしまいました。シグルズソンがロリスの逆をとってPKを右に蹴り込み、同点。後半に入り、62分に勝ち越しゴールをゲットしたのはエヴァートンです。リシャルリソンとのワンツーで縦に抜けたコールマンが、中央に送ったクロスのコースはパーフェクト。スプリントしながら左足で合わせ、左のサイドネットに収めたシグルズソンのボレーはスーパーショットでした。

2-1となった6分後、スパーズがあっさり追いつきます。右サイドにいたラメラがクロス。ホルゲートが頭上を越され、後ろにいたマイケル・キーンのヘッドがホルゲートに当たってこぼれたところに、最も怖い男が待ち構えていました。ハリー・ケイン、今季プレミアリーグ21発めは右足で叩いた強烈なボレー!両者ともに譲らず、追加タイムが2分を過ぎた頃、最後の事件が発生します。ピッチにうずくまるハリー・ケイン。ヘディングの着地の際に、足首を痛めたようです。

カラバオカップ決勝まで9日、ユーロの開幕戦まで58日。軽い捻挫か、あるいは…。右足首は、1月に痛めたウイークポイントだけに、心配です。リヴァプールとチェルシーが勝てば、CLどころかプレミアリーグ6位奪取も厳しくなり、アーセナルの足音が気になり始めるチームにとって、エースのリタイアは最も考えたくないアクシデントでしょう。彼を欠いて戦うことになれば、ジョゼ・モウリーニョの2020-21シーズンは冴えなかった1年として歴史に刻まれることになりそうです。

ポチェッティーノ解任の後を受けた昨季は、プレミアリーグ13勝6分7敗で6位フィニッシュ。7人の新戦力を加えて臨んだ今季は、プレミアリーグ14勝7分10敗で7位と、順位も勝率も落ちています。前任者は公式戦293試合で159勝62分71敗で勝率54.3%、モウリーニョは44勝19分23敗で勝率51.2%。チームを強化したとはいえない指揮官は、2002年まで率いたウニオン・レイリアを下回る自身ワーストの勝率に甘んじています。ハリー・ケイン&ソン・フンミンというリーグ屈指の得点源を擁するクラブに、何が足りなかったのでしょうか。

スタッツを見ていて最も気になるのは、力を発揮できていない選手が多いことです。デル・アリはプレミアリーグ9試合ノーゴールに留まり、10試合出場のハリー・ウィンクスも後半戦はたったの2試合。公式戦30試合ゴールなしのベルフワインは、直近2ヵ月のプレミアリーグ出場は24分しかなく、2月中旬から6試合6ゴール3アシストという出色の数字を残したガレス・ベイルも、その後のリーグ戦では67分しか使われていません。プレミアリーグで20試合以上先発した選手が最終ラインにいないのは、トッテナムとクリスタル・パレスだけです。

モウリーニョ監督のマネジメントについて、前のチームでぶつかった選手が批判しています。「Jose Mourinho went against Manchester United players – Ole Gunnar Solskjaer is different(ジョゼ・モウリーニョはマンチェスター・ユナイテッドの選手たちと対立したが、オーレ・グンナー・スールシャールは違う)」。発言の主はポール・ポグバ、記事にしたのは「スカイスポーツ」のジャック・ウィルキンソン記者です。「BBC」もいち早く伝えたレポートから、緊張感の高い日々を過ごしたプレーメイカーの言葉を紹介しましょう。

「自分が今、オーレとの間に持っているものは以前とは異なる。彼は選手と対立したりしないからね」「オーレのやり方は機能するか?おそらく。彼は選手との距離が近いから」

「ひと頃は、モウリーニョと素晴らしい関係を築いていた。誰もがそれを知っている。だけど翌日になると、何が起こったのかわからなくなる。モウリーニョとの間に起こった不思議なことについて、うまく説明できないよ。自分でもわからないんだから。そうだろう?」

「すべてのコーチに、プレーヤーを指導し、さまざまなことに対処する独自の方法がある。プレーヤーはそれに適応する必要がある。自分に合わない場合もあれば、合うこともある」「オーレはルーク(・ショー)を大いにヘルプした。ルークとモウリーニョは厳しいシーズンを過ごしていた。マネージャーとの信頼関係があれば、クオリティを発揮できることを彼は証明した」

「(トッテナム戦のソン・フンミンのプレイを巡る発言について)何が起こったのかわからないけど、モウリーニョがみんなをざわつかせることをいったのだと思う。それが彼のやり方だ」
「われわれは望んだ結果を得た。オーレはわかってる。その時間を愉しんだ。われわれはモウリーニョを知っているし、彼が好きなものもわかっているからね。論争なんか要らない。自分たちにフォーカスしたい」
「われわれはゲームに勝った、彼は負けた。そうなると、彼はゲームについて話したくない。だから、誰かの父親について話したんだろう。それが彼のやり方だ。誰もが知っている、まさにモウリーニョだ」

ジャック・ウィルキンソンさんのレポートによると、モウリーニョ監督と離れた後のルーク・ショーは、試合あたりのドリブル成功数、パス本数、アシスト、チャンスクリエイト、クロス&CKといった指標で数字を大きく伸ばし、イングランド代表に復帰しています。現在のトッテナムにも、そんな選手が存在するのではないでしょうか。ポグバの批判について問われた指揮官は、ひとことだけ「気にしていない」とコメントを残していますが…。

「CL出場権を逃したら、退団する意向」と伝えられたハリー・ケインの真意によっては、ダニエル・レヴィ会長は、苦しいシーズンを過ごした選手たちを守ろうとするかもしれません。大事なゲームをドローで終え、プレミアリーグ7位に留まった指揮官に必要なのは、カラバオカップのトロフィーでもCLの入場券でもないように思えてなりません。


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