イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

とにかく守れ!勝つしかなかったアルテタ戦術とキーマンの奮闘を振り返る。

プレミアリーグ2020-21シーズンを制したマンチェスター・シティが19勝3敗でTOP、12勝8分3敗のマンチェスター・ユナイテッドが2位。クリスマス以降の戦績のお話です。タイトなスケジュールをこなす年末年始から順位が大きく変動した今季は、負けなくなったマンチェスター勢の強さが目を引いたシーズンでした。では、3位は…?「フットボール・ロンドン」のカヤ・カイナック記者のレポートを読むまで気づかなかったのですが、12勝5分5敗のアーセナルが赤い悪魔の背中を追っていたのです。

22試合のうちクリーンシートが8試合で、失点は20。ビッグ6&レスターには4勝1分2敗と勝ち越しています。マンチェスター・シティ、チェルシーに次いで失点が少なかったチームは、ヨーロッパリーグのセミファイナルまで勝ち進んだのですが、ビジャレアルに攻撃を封じられて2試合トータル2-1と惜敗。プレミアリーグの戦績がよくなったとはいえ、前半の不振で吐き出した勝ち点を取り戻すには至らず、9位に沈んだまま終盤を迎えていました。

勝ち点を落としたら、EL出場権を諦めなければならなかったチェルシー戦は、こんな勝ち方もできるのかとプレミアリーグファンや評論家を驚かせたゲームでした。「相手の強みを消そうとした。自分の能力を信じて役割に集中し、1対1の対決に注力した」。試合後のホールディングの言葉は、指揮官が勝利にしか興味がなかったことを物語っています。最重要テーマは、失点をしないこと。相手をゼロに抑えて、ビジャレアル戦では得られなかった先制点で逃げ切るというゲームプランでした。

アルテタの覚悟を後押しする待望のゴールは、16分という早い時間に幸運な形で転がり込んできました。ジョルジーニョがバックパスミス、ケパはゴールライン上で掻き出すのが精一杯。ゴールの左脇で拾ったオーバメヤンは、シュートの仕方まで指示するような丁寧なグラウンダーをスミス・ロウの左足の外側に転がしました。ダイレクトショットが右隅に決まり、0‐1。スミス・ロウのシュートはこれ1本のみで、オーバメヤンはシュートゼロでした。最前線をまかせられたのに、多くの時間を自陣でのチェイシングに費やしたストライカーは、79分で成功したパス12本という数字だけ残してラカゼットに後を譲りました。

65分にサカをベジェリンに代えたのも、アルテタ監督の「徹底的に守れ」というメッセージのひとつでしょう。守備力が高いウインガーをベジェリンというSBにスイッチするという決断は、「ときどき3-4-2-1のふりをしていたけど、これからはずっと5-4-1で守り切ります」と自白するようなチョイスです。選手たちは、指揮官の意向を理解していました。65分という早い時間だったのに、「Hey, hey B, time!」と叫んだのはオーバメヤン。このままで試合を終えたかったキャプテンは、「ブカヨ、ゆっくり引っ込め」と時間を遣うことを求めるほど必死だったのです。

ズマとジルーのシュートがクロスバーにヒットするという幸運もあり、指揮官と選手たちはイメージした勝ち方でEL出場権獲得に希望をつなぎました。MVPに指名したいのは、チェルシーのアタッカーたちの目論見をことごとくつぶしたトーマス・パーティーです。デュエル8勝、タックル5回、インターセプト3回はNo.1。デュエルで1勝6敗というエルネニーの弱点をカバーし、3バックの負担を軽減しました。度重なる負傷でプレミアリーグへのフィットが遅れたセントラルMFは、来季こそはチームの心臓と形容できるようなパフォーマンスを見せてくれるでしょう。

シュートを諦めたアタッカーたちと、シュートを浴びながら耐え抜いた守備のスペシャリストたちの奮闘は、逆転の7位フィニッシュという最高の結果につながるでしょうか。スパーズはウルヴス、ヴィラ、レスター。トフィーズはシェフィールド・ユナイテッド、ウルヴス、マンチェスター・シティ。両者とも1勝1分1敗以下という厳しい条件ではありますが、クリスタル・パレスとブライトンに勝ち切るという前提条件を満たしつつ、祈るよりほかはありません。


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