偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Former Villa boss to sign two and a half year Norwich deal on Saturday evening（アストン・ヴィラの前監督は、土曜日の夜にノリッジとの2年半の契約にサイン/スカイスポーツ）」。フランク・ランパードの就任が噂されていたノリッジが選んだのは、ダニエル・ファルケとほぼ同時に解任となったディーン・スミスでした。「スカイスポーツ」は「法的に必要な書類と手続きはすべて完了している」とレポート。50歳の新指揮官のミッションは、プレミアリーグで1勝2分8敗の最下位チームを残留させることです。

アウェイでブレントフォードを1-2で下しながら、勝利の数時間後に解任されたダニエル・ファルケの後任探しは、予想外のスピードで着地しました。プレミアリーグ5連敗という泥沼にはまり、日曜日にヴィラとの契約を解除されたディーン・スミスとの交渉は、4日後の木曜日。仕事を終えた後、ニューヨークにいる家族を訪ねていると伝えられた元監督は、ノリッジの現状、プレースタイル、カルチャーについての知識を披露し、経営ボードに感銘を与えたそうです。

一方、チェルシーを離れて以来、10ヵ月をフリーで過ごしていたランパードも木曜日に交渉のテーブルに着いています。こちらも監督としてのスキルに対する評価は高かったものの、ランパードのほうが自分にふさわしい仕事ではないと判断したとのこと。強豪クラブで指揮を執りたいブルーズのレジェンドは、残留に成功した際の未来と失敗に終わった場合のリスクを並べ、魅力的なプロジェクトではないと感じたのでしょう。

2人の職務経歴書を比べると、ディーン・スミスのほうがノリッジが求める要素が多いという評価になるはずです。ウォルソールとブレントフォードを指揮した後、2018年にアストン・ヴィラに招聘されると、初年度のチャンピオンシップで5位に食い込み、プレーオフを制して見事に昇格。ウェンブリーでプレミアリーグ参入を賭けて戦った相手は、ランパードが率いるダービー・カウンティでした。

2019-20シーズンは36節まで19位という危機的な状況でしたが、アーセナルに1-0で勝ち、最終節のハマーズ戦をドローで終えて17位フィニッシュ。エミリアーノ・マルティネス、マティ・キャッシュ、ベルトラン・トラオレ、オリー・ワトキンスを加えた昨季は、11位にジャンプアップしました。前線の補強がうまくいったとはいえず、11試合で5ゴールに留まっているノリッジの活性化という課題なら、43歳の元イングランド代表よりも適任のように思えます。

ランパードの動向をレポートした「ガーディアン」は、ノリッジが冬に補強する可能性が低いと知ったことが撤退した理由のひとつと指摘しています。昨夏のクリスタル・パレスとの交渉がうまくいかず、慎重になっていたところに、より難易度の高いオファーが到来したため躊躇したのでしょう。勇敢なディーン・スミスは、クラブが望む結果を残すことができるでしょうか。前半戦の残り8試合のうち、5試合はTOP10との戦いです。