イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

実は名将⁉イングランド代表を生み出し続けるトッテナムのポチェッティーノ監督に称賛を!

私自身への戒めも込めてですが、よくよく考えると奇異な価値観がプレミアリーグまわりのお話を支配しているように感じます。 「補強にお金をかけないのは偉い」。リヴァプールの新監督にユルゲン・クロップさんが就任すると、最初のブンデスリーガ制覇までに50億円しか使っておらず、若手を育ててチャンピオンズリーグのファイナリストになった素晴らしい監督であると凄い勢いでリスペクトされていますが、果たしてそうなのでしょうか。クロップさんの履歴を見ていると、「もう一段積極的に補強をしていればチャンピオンズリーグを制覇でき、昨季のどん底を見なくてよかったのではないか」と思ったりもするのです。

いえ、大型補強を手離しで礼賛したいのではなく、「たら・れば」でクロップさんを批難したいわけでもありません。いいたいことは1点で、「いちばん偉いのは、お金を使わないことではなく勝つことである」…プレミアリーグに限らず、これがプロスポーツにおける唯一無二の価値観なのではないかということです。プレミアリーグにおいて、この5年間で移籍収支のマイナスが最も大きいのはマンチェスター・シティ。直近3年に絞ればマンチェスター・ユナイテッドですが、お金を使うこと自体については、糾弾されるいわれはないと思います。私がクラブの経営者であれば、20%を超えるイギリスの法人税を無策で払うぐらいなら、スターリングやマルシアルといった将来売ればお金が戻ってくる人材に投資したほうがいいと考えるでしょう。両者の大型補強には、企業経営的な判断も多分に入っているはずです。

しかし一方で、それだけの投資をしたのであれば、プレミアリーグはもちろんチャンピオンズリーグも獲りましょうよ、とは思います。レアル・マドリードやバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンを見るまでもなく、現地のファンは強いチームのプロセスには文句はいわないものです。

前置きが長くなりました。この方のチームがプレミアリーグ4位以内に食い込んだら、「お金使わないのが偉い派」からも、「結果が出ればOK派」からもリスペクトされるでしょう。トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督です。ホワイト・ハート・レーンに収容力がなく、トップ5よりも実績がないためにブランド力で勝負できないトッテナムは、「育てて売って儲ける」という中堅以下のクラブの経営手法を徹底しており、「トップクラブとそれ以下」のラインは彼らの頭上にあるのだと思われます。そんな状況のなかで、ポチェッティーノ監督はうってつけのタレントといえるのではないでしょうか。ガレス・ベイル売却以降、2年連続で移籍収支黒字のクラブを預かった指揮官は、若手を大胆に起用しながら、サウサンプトン時代を含めれば在任中に9人をイングランド代表に送り込んでいるのです。

■サウサンプトン
リッキー・リー・ランバート、アダム・ララナ、
ジェイ・ロドリゲス 、ルーク・ショー、
カラム・チャンバース、ナサニエル・クライン
■トッテナム
ハリー・ケイン 、ライアン・メイソン、デル・アリ

以前から代表に選ばれていたカイル・ウォーカーやタウンゼントを入れれば、1チームぶんの選手をイングランド代表に供給している監督の下には、キーラン・トリッピアー、エリック・ダイアー、アレックス・プリチャードと、さらに代表を窺う選手が控えています。週末のプレミアリーグ、リヴァプール戦が楽しみです。クロップ監督の初陣に注目する一方で、ポチェッティーノ監督が先輩の貫録を見せて完勝するシーンを観たい気分もあります。昨季のヨーロッパリーグで、「スタメン11人全とっかえ」という痛快なターンオーバーをかました大胆な指揮官が、トップクラブばかりが話題になりやすいプレミアリーグで「経済的上位」を食うのを観るのも醍醐味のひとつです。クラブに文句も泣き言もいわず、自らの仕事を淡々とこなす「隠れ名将」の奮闘を見逃さず、ウォッチし続けたいと思います。

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