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ヴェンゲル監督が引き際を語る…重要なのは「いつ辞めるか」ではなく「誰に渡すか」

「クラブに大きな成功を再度もたらすため、契約最終日まではこの仕事をやりきる決意を固めています。私がいなくなる時には、これまでにない最高の状態にしたい。後任がクラブを進化させやすい形で受け渡すのが、私にとって重要なことなのです」

1996年にプレミアリーグにやってきて、今季が20年め。プレミアリーグ制覇3回、FAカップ優勝4回、チャンピオンズリーグ準優勝という輝かしい成果を残したアーセナルのヴェンゲル監督が、クラブの株主総会におけるスピーチで、自らの引き際について語りました。イギリス紙「デイリー・ミラー」は、最終日まではという言葉から「2017年6月の退任を示唆」と報じているようですが、ご本人は具体的な時期について言及しておらず、契約延長の可能性もあるので、「今季末の退任はない。その先はわからない」と受け取ったほうがいいのではないでしょうか。ただし、こうもいえると思います。ヴェンゲル監督がこういうコメントを出さなければならない時期が来てしまったのだな、と。スタジアム建設の借金返済のために強化が制限された難しい時期を、最高の形で切り抜けてくれた名将の後釜を探すのは、アーセナルにとって過去にないほど難易度の高いプロジェクトでしょう。マンチェスター・ユナイテッドの厳しい状況を見てきた私としては、重要なことは「ヴェンゲル監督がいつ辞めるか」ではなく、「いつ、誰を立てるのか」のほうではないかと思います。

マンチェスター・ユナイテッドがバトンタッチに失敗した最大の理由は、「サー・アレックス・ファーガソンが自ら辞める時期を決めたこと」、言い換えれば「クラブにとって誰がいいのかを最優先としなかったこと」ではないでしょうか。もう1年早ければ、グアルディオラ監督が空いており、逆に1年待てば、ワールドカップで仕事が一段落する名将たちから適任を選んで直接仕事を渡せたでしょう。2012年の夏にバルセロナの監督を辞任したペップは、1年休むと公言しておりましたが、「いつかここで指揮を執ってみたい」ともらしていたオールド・トラフォードでファーガソンの後を継ぐという話がバイエルンより前にあれば、心が動いたかもしれません。

モウリーニョ、グアルディオラ、アンチェロッティ、ファン・ハール、クロップといった、サー・アレックス自身がいうところの「非常に望ましい何人かの候補」が全員NGだったために、マンチェスター・ユナイテッドは6番人気のデヴィッド・モイーズにすべてを賭けるという穴馬券を購入しなくてはならなくなりました。その後の結果は、みなさんもご存じのとおりです。同様に影響力のあるヴェンゲル監督の引き際において、プレミアリーグのライバルと同じ轍を踏むわけにはいきません。「後任ありき」で御大に動いてもらうのが、クラブの未来を明るくするための最重要ポイントだと思います。

その意味では、「FAカップ連覇をおみやげに、この夏勇退」もありだったのではないかと考えていました。ユルゲン・クロップさんがドルトムントを離れたからです。ヴェンゲル監督のサッカーをポゼッションサッカーだと定義するなら、ゲーゲン・プレッシングとは違うという話になるのかもしれませんが、私はヴェンゲルサッカーの本質を「よどみないパスワークによる速い攻撃」だと捉えており、クロップ監督の哲学と重なる部分は大きいと思っています。しかしこれも、レッズにいってしまった今となっては昔話です。ヴェンゲルさんの後継者は誰がいいでしょうね。私のイチ推しは、ローマのルディ・ガルシアさんです。攻撃的なコンセプトをベースにしながら、守備戦術にも長けたバランス感覚のいい指導者です。リールでエデン・アザールを育てたように若手をうまく使えるのも魅力で、プレミアリーグでくすぶっていたモハメド・サラーは完全に復活しました。2年後の夏には53歳。いい頃合いではないですか?あ、そうでした。2年後と決まったわけではありません、念のため。

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“ヴェンゲル監督が引き際を語る…重要なのは「いつ辞めるか」ではなく「誰に渡すか」” への4件のフィードバック

  1. ガナユ より:

    大金が動くプレミアでフィールドプレーヤーの補強ゼロで優勝出来たら移籍市場の流れすら変えそうな偉業だと思います。ヴェンゲルには勇退という形で監督業を終えて欲しいと願っております。固執すると辞める時期逃すのも事実ですが^^;

  2. 新参 より:

    長期政権を意識してバトンタッチするのであればガルシアやマルティネスのような若手に任せそうですね。または、すぐにビッグイヤーを掲げるチームを目指すのであればアンチェロッティですかね。

    だれに任せるにしろ改善が求められるのはセットプレーですね。かつてフィオレンティーナでセットプレー専門コーチを務めたジョバンニ・ビオ氏を招聘してほしいです。

  3. ぐん より:

    個人的にはレーヴさんかなあと思ってます。
    何かとこの2人、共通点が多いしレーヴさんも長期のプロジェクトでW杯を取った方ですので。
    数年前に実はレーヴさんで内定してるなんて噂もありましたね。
    ヴェンゲルさんが契約延長するとレーヴさんも契約延長してるので。

  4. makoto より:

    ガナユさん>
    ロマンがありますよね。そうはいっても、中盤の底はひとり獲ったほうが…と心配になりますが。

    新参さん>
    中盤にポテンシャルが高い若手も多いですし、長期政権を意識した次世代政策がいいのではないかと思います。セットプレーはいつもヒヤヒヤしますね。

    ぐんさん>
    レーヴさんはありですね。未来を見ながらチーム作りできる監督ですね。

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