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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「開幕から7戦で勝ち点1、監督続投、降格回避」は30年で1回…どうするレスター、そしてロジャース!

プレミアリーグ7試合で1分6敗、もちろん最下位。「BBC」のエムレン・ベグレイ記者がレポートしている過去のデータを見ると、レスターとブレンダン・ロジャース監督が置かれている現状がいかに厳しいかがよくわかります。

プレミアリーグの開幕7試合で勝ち点1以下だったのは、これまでに10チームしかありません。そのなかで、残留を果たしたのは4チームのみです。1998-99シーズンのサウサンプトン、1999-2000のニューカッスル、2013-14のサンダーランド、2017-18のクリスタル・パレス(開幕からノーゴールで7連敗!)。4つのうち、監督を解任せずに戦い抜いたのは、デイヴ・ジョーンズ監督が指揮を執ったセインツだけです。

1998-99シーズンのセインツは、最初の8試合を1分7敗というひどいスタートを切りました。古くからのプレミアリーグファンなら、ジェームズ・ビーティー、マット・ル・ティシエ、マーク・ヒューズ、ウェイン・ブリッジといった在籍選手の名前を聞くと、懐かしく感じるのではないでしょうか。8戦3発22失点は今季のレスターよりもゴールが7つ少なく、せっかちなオーナーなら、こうなる前に監督を変えるはずです。

初勝利は10節、17節まで最下位、35節まで降格圏。クラブを所有した10年で、8人の監督と契約したルパート・ロウオーナーが、なぜ耐えたのかは未だに謎です。3連勝したラスト3試合の最初の相手は、中位にいたレスターでした。何とか17位で残ったセインツは、次のシーズンに事件の被疑者となった指揮官の任を解いています(後に無罪判決)。

話をレスターに戻しましょう。つまりブレンダン・ロジャースは、30周年を迎えたプレミアリーグのなかで、ひとつしかない成功事例をトレースしようとしているのです。ニューカッスルのルート・フリットは8月でアウト、クリスタル・パレスのフランク・デブールは4試合で解任。最も長持ちしたサンダーランドのディ・カーニオも、9月末まででした。

7試合で22失点は、彼らを超える最悪のスタッツです。この夏は、レスターのディフェンスを根こそぎ破壊しようとする見えざる力が存在するかのような事件が続出しました。主軸となるカスパー・シュマイケルとフォファナが退団。リカルド・ペレイラとバートランドは負傷リタイア。ソユンチュは「プレイできるレベルにない」という指揮官の判断で、プレミアリーグの出場はありません。

フォファナやソユンチュの状況を見て、先に獲得したヴェステルゴーアも未だリーグでは出番なし。代役として獲得したヴォウト・ファエスは、フィットするのに時間がかかりそうです。CBとしても起用できるエンディディはスランプ。34歳になったジョニー・エヴァンスは、衰えが始まったのか、負担が大きすぎて集中力を欠いているのか、別人のような緩いチェックが目立ちます。

一方、パトソン・ダカ、デューズバリー=ホール、ハーヴィー・バーンズ、ティーレマンス、ジェームズ・マディソンなどクオリティが高いタレントが揃う前線は、ヴァーディーがノーゴールでもプレミアリーグ8位の10ゴールをゲット。彼らよりもゴールが多いチームは、すべてTOP10で、守備を改善できれば上位を窺えるチームに変身する可能性があります。

スパーズ戦の大敗で、ロジャース解任説が急速に広まっていますが、クラブが残留させるとすれば、考えられる理由は2つです。「財政難のため、できれば違約金や新監督との契約金の支払いを回避したい」「トラブル続きの守備陣が整備できればいけると、指揮官と握れている」。就任以来、2シーズン連続でTOP4争いに食い込んだマネージャーを信頼するという選択肢は、決して無謀ではないと思うのですが…。

思い出すのは、2014-15シーズン。6節から2分10敗という絶不調に陥り、最下位に沈んだレスターは、ナイジェル・ピアソン監督にその後の指揮をまかせました。29節終了時点で、4勝7分18敗で最下位。しかしここから7勝1分1敗という大変身を遂げ、まさかの14位でフィニッシュしました。

こうなれば当然、ピアソン残留かと思いきや、ラニエリ招聘というサプライズ。プレミアリーグファンを2度驚かせたクラブは、1年後にリーグの頂点という最大のびっくりを実現しました。予測不能のクラブは、どんな決断を下すのでしょうか。このうえは、当たり前のような解任劇より、ロジャースの奇跡的な巻き返しを描いたサクセスストーリーのほうに期待したいと思います。


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