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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

実は用意周到なマネジメント!?アルテタ監督がレギュラーを固定する理由を考えてみた。

マンチェスター・シティは、プレミアリーグ全試合先発は3人で、5試合以上先発は12人。トッテナムはフルが3人で、5試合は13人です。マンチェスター・ユナイテッドは4人と12人で、リヴァプールは3人と12人。チェルシーは全試合はゼロで、14人が5試合以上という希望に満ちたチームです。

なぜ、こんな数字を挙げたかといえば、アルテタ監督のレギュラー固定ぶりが突出しているからです。プレミアリーグで全試合スタメンは、ラムズデール、ベン・ホワイト、ウィリアム・サリバ、ガブリエウ、サカ、ジャカ、ガブリエウ・ジェズス、マルティネッリの8人。10試合のウーデゴーアは、ふくらはぎの痛みがなければ、ブレントフォード戦も出場していたはずです。

9人固定のブライトンに次ぐガチガチのチームは、5試合以上に枠を広げると…あれ?11人。先発8試合のトーマスは、太腿の負傷がなければ絶対的レギュラーで、5試合のジンチェンコも元気なら全試合スターターです。あな、怖ろしや。世が世なら、アルテタ監督は1試合たりともスタメンを選ばず、プレミアリーグ11試合を同じリストで走り抜けていたかもしれません。

40歳の若きマネージャーが、先発メンバーを固定する理由について、可能性を最大限にして列挙してみましょう。うまくいっているチームは変えたくない。選手層が薄い。レギュラーと控え選手のレベルにギャップがある。プレミアリーグとヨーロッパリーグで分けている。ターンオーバーが嫌い。あるいは苦手。まさか、いろいろ考えるのが面倒…!?

いや、リヴァプール戦の左SB冨安という工夫を見れば、「メンドクサイ」は却下できます。最も可能性が高い理由は、「うまくいっているチームは変えたくない=ワールドカップでひと息つけるので、そこまでは走り切ろう」と、「ラクに戦えるヨーロッパリーグを控え中心としている」ではないでしょうか。

PSV、ボデ/グリムト、チューリッヒと当たったELの出場記録を見ると、プレミアリーグとは全く違う顔ぶれが浮かび上がります。300分以上出場している選手を並べてみましょう。マット・ターナー、ホールディング、冨安健洋、ティアニー、サンビ・ロコンガ、ファビオ・ヴィエイラ、エンケティア。GK以外は全試合出場で、プレミアリーグのレギュラーで300分以上は、ハイテンションの鉄人グラニト・ジャカだけです。

なるほど。プレミアリーグとヨーロッパリーグで、レギュラーとサブの関係を逆転させているというわけですね。同じ大会に出場しているマンチェスター・ユナイテッドのスタッツを見ると、アルテタの徹底ぶりがよくわかります。デ・ヘアは国内も欧州も皆勤賞。300分以上は、リサンドロ・マルティネス、リンデロフ、ダロト、マラシア、ブルーノ・フェルナンデス、エリクセン、カゼミーロ、アントニーという豪華な顔ぶれです。

アルテタ監督の起用法で、もうひとつ特徴的なのは、予定行動に見える選手交代が多いことです。開幕に間に合わなかった冨安健洋は、プレミアリーグ2節から8節まで、すべて途中出場。最も衝撃的なスタッツは、「エンケティアの公式戦全試合出場」です。

国内でも欧州でも、セーフティーリードでもきわどい展開でも、10分、15分、20分の区切りでサブを投入することがある指揮官には、4つの狙いがあるのではないでしょうか。「主力を休ませる」「サブのガス抜き」「次戦に向けたコンディショニング」「いざというときのためにレギュラーとサブの連携を図っておきたい」。こう考えると、「ジェズス、使うんですか!?」と疑問が湧いたPSV戦の采配も納得できます。

木曜日の欧州と日曜日の国内を合わせると、ガナーズの「レギュラー」は17人。このやり方で、プレミアリーグもヨーロッパリーグも首位なら、「相手チームと自チームの実力計算はパーフェクト」と称賛するしかありません。

ガナーズが「主力が疲れている?」「ターンオーバーするべき」と騒がれるのは、ジャーナリストとわれわれファンが、勝手に目標を上げているからでもあります。9勝1分1敗という素晴らしい戦績でTOPに立ったので、「ペップに勝つなら」「優勝するなら」といった言葉を、無意識に頭に付けて語っているのだと思います。

しかし実際のところ、アルテタ監督とエドゥTDの頭のなかにあるミッションは、「今季はプレミアリーグのTOP4奪還」であり、優勝云々を考えるのは春に首位に立ってからでしょう。CL出場権が目標なら、11節で4位に7ポイント差は順調のひとことです。

頭ではわかっていても、リヴァプールやトッテナムに勝つのを見ると、ついつい盛り上がっちゃうんですよね…。「セインツに引き分けるなんて、補強が足りなかったからだ」「冬にティーレマンスとコーディー・ガクポを押さえろ」などなど。フットボールファンというのはタチが悪い種族だなと、あらためて感じる今日この頃です。もちろん、私も。


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