解任29人、平均寿命は2年に満たず!報われない「イングランドのクラブの監督」というお仕事
プレミアリーグだけでいえば、ここ数年とさほど変わらないのですが、チャンピオンシップの10人は尋常ではありません。ブラックバーン、ブレントフォード、ブリストル、チャールトン、フラム、ハダースフィールド、リーズ、QPR、レディング、ロザラム…。14位以下で、監督交代に踏み切っていないのは、ミルトン・キーンズ・ドンズとボルトンのみ。13位のプレストンが8勝11分8敗ですので、「勝敗がイーブンを割ったらゲームオーバー」状態です。プレミアリーグの監督の平均在任期間が2.1年と聞いただけでも、「わわ、短い!」と叫んでしまうのに、チャンピオンシップは1.4年で、リーグ1(3部相当)に至っては1.2年!LMAのリチャード・ビヴァンCEOが、この状況を憂慮するのは当然でしょう。
「私たちはこの問題について、今後もスポットを当てていかなければならない。hire-and-fire culture(雇ってはすぐに解雇の文化)は、フットボールに 深くはびこってしまっている。この世界では、ミスや経験から学び、生き抜いていくのはとても困難なことだ。監督は瞬時に判断しなければならないのに、成功と失敗はしばしば隣り合わせなのだ」
記事中には「監督の在任期間ランキングTOP10」が掲載されているのですが、化け物がひとり、その半分がひとり、あとはドングリの背比べで、棒グラフにした意味がありません。1位は、いわずとしれたプレミアリーグの主、アーセン・ヴェンゲル監督の20年め。2位は、明日のFAカップ再試合でアンフィールドに乗り込むエクセターのポール・ティスデール監督で10年め。3位は、誰もが容赦なくクビを斬られる戦国時代のチャンピオンシップで、20位なのになぜか生き残っているミルトン・キーンズ・ドンズのカール・ロビンソン監督の5年め。プレミアリーグの監督における第2位は、ぎりぎり10位にランクインしたボーンマスのエディ・ハウさんの3年3ヵ月なのですが、彼は2008年から2年にわたってボーンマスの指揮を執っているので、このクラブでの指導歴は通算5年強となります。いやいや、92人中の10位で3年ですから。やっぱり怖ろしい…。
ペースが変わらなければ、期初に監督だった方々のうち、来季も指揮を執る方は1/3になります。プレミアリーグには30代の将来性ある監督が2人いるのですが、ノリッジのアレックス・ニールさんと、ボーンマスのエディ・ハウさんにはぜひとも踏ん張っていただきたいものです。しかし、そうなると今度は、ニューカッスルのマクラーレンさん、サンダーランドのビッグ・サム、スワンズのグイドリンさん、ヴィラのレミ・ガルドさんのうち2~3人がアウトになりそうで…。オーナーのみなさん、それぞれ得がたい人材だと思われますので、ぐっとこらえて長期的なチームづくりに取り組んでみませんか?サッカーのスタイルや人となりをようやく覚えた頃にハイ、サヨナラでは、われわれファンも追いかけるのが大変ですので。
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本当にそうですね。短期的に監督の首を斬ると成績が上がるというセオリーがまかり通っている気がします。モウリーニョ⇒ヒディング。ベニテス⇒ジダン。成績不振であろうと好調であろうと、ぶれずにじっと耐えてくれることを大将の規範とする薩摩人のような鈍感力の高い人材がフロントに欲しいところ。
監督の首を切らない方が費用面・成績面の両方から長期的に良いというデータを誰かまとめてくれればいいのにと思います。
だしまるさん>
昨季、ピューリス、パーデュー、シャーウッドが結果だしちゃいましたからね…。ミューレンステーンやカーパーという悪しき例がかき消されるぐらい、成功が輝いてしまい、ムードが出来上がっている気がします。
プレミアリーグで長期政権でなおかつタイトルを継続的に取れたのはファーガソンしかいませんね。彼は27年のユナイテッドでのキャリアで13回も優勝した傑物でした。
単純な比較だとヴェンゲルが20年で3回、モウリーニョが6年で3回優勝してますが、タイトル数だけでいうと長期政権よりも適度なサイクルで回す方が効率が良いとも言えます。
なのでどちらが良いとは言い難いですが、例えばヴェンゲルがチェルシーやシティで指揮していれば解任されてるだろうし、モウリーニョが逆の立場だったらまだ監督をしていたかもしれません。そのクラブによって処遇の違いはあれど、近年のプレミアはお金がかかってる分すぐに結果が欲しくなり監督に課せられる責務が多くなってるように感じますね。好景気による弊害なのかあるべき形なのか、これはこれからのプレミア勢の欧州での戦いぶりで判断したいところです。