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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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モウリーニョ、ファン・ハール、ロベルト・マルティネス…FAカップが3人の監督の人生を変える!?

欧州のトップクラブの監督にとっては、ひとつのゴールが天国と地獄を分けるほどのインパクトを持つことがあります。マンチェスター・シティに敗れたパリ・サンジェルマンのブラン監督にしてみれば、1-0で欧州制覇の夢を断たれたアウェイゲームの最終盤にカバーニが1対1を止められたシーンは、自身の人生を左右するぐらいの大きな出来事だったのかもしれません。同点に持ち込み、ベスト4進出を果たしてさらに優勝まで漕ぎ付ければ、来季の続投は確実だったでしょう。

最近20年でチャンピオンズリーグ優勝を果たしてクラブを離れた監督は3人しかおらず、1996-97シーズンにドルトムントを優勝させたヒッツフェルト監督はSDに「昇進」、ポルトとインテルを勝たせたモウリーニョ監督は直後にチェルシーとレアル・マドリードに引き抜かれ、2012-13シーズンにバイエルンで3冠を達成したユップ・ハインケス監督は「勇退」でした。唯一クビになったのは、1997-98シーズンにレアル・マドリードでビッグイヤーを掲げた監督で、15年後に最高の辞め方で現場を去ったユップ・ハインケスさんです。マンチェスター・シティのペジェグリーニ監督は、チャンピオンズリーグ史上2人め、前身のチャンピオンズカップを入れても3人めとなる「クビになった欧州チャンピオン監督」達成に向けて邁進中なのであります。この「怪挙」については、「レアル・マドリード以外で初の」というひとことも添えておきましょう。

さて、話はブラン監督に戻ります。ベスト4進出を逃した指揮官が、パリ・サンジェルマンから手腕を疑問視されており、今季限りで解任となるのではないかと伝えられています。イギリスメディア「デイリー・メール」によると、後任として白羽の矢が立っているのは、みなさんご存知のプレミアリーグ大好き監督、ジョゼ・モウリーニョ。今季はチェルシーでアンハッピー・ワンとなってしまったポルトガル人監督は、今までパリのオファーを2度断ったといわれており、たとえサラリーが破格だったとしても、プレミアリーグに納得のいくポジションがあれば、そちらを選ぶでしょう。3月中旬にリーグアンの優勝を決めてしまうチームを引き受け、前任者と同じように優勝してみせても、モウリーニョさんには喜びも達成感も残らないのは容易に想像できます。

そうなると問題は、「プレミアリーグに空く椅子があるのか」です。マンチェスター・ユナイテッドとモウリーニョさんは両想いなのか、あるいはクラブが「今季の結果が出るまでは判断しない」としているのか。ここにきて、イギリス紙「ガーディアン」などがファン・ハール続投の可能性ありと報じており、モウリーニョさんにとっては逆風が吹いてきているようです。

ファン・ハールさんの逆転勝利の根拠として伝えられているのは、「若手を育てたことが評価されている」「オーナーのグレイザー一族がモウリーニョさんの人柄を好ましく思っていない」こと。ただし、現指揮官が来季も残るためには、「チャンピオンズリーグ出場権獲得が条件」ともいわれており、これが事実であれば、シーズンが終わるまでは何も決まらないということになります。私は、「FAカップのタイトルを獲得したら続投。若手育成路線を継続し、翌シーズン終わりにライアン・ギグスに禅譲」という線まであるのではないかとみておりますが、いかがでしょうか。1月には未来が見えず、早期に監督を代えたほうがいいのではないかと考えておりましたが、その後のラシュフォードやフォス=メンサーなどの若手の活躍には、スタメンを固定しベテランを重用するモウリーニョさんという路線変更をやめてほしいと願ってしまうぐらいの眩しさがあります。

モウリーニョさんにとっては座り心地は悪そうですが、プレミアリーグには、もうひとつ空きそうな椅子があります。「BT Sport」が報じているのは、今季プレミアリーグで12位と不振に陥ったエヴァートンのロベルト・マルティネス監督解任と、クリンスマン監督の招聘です。「来季のマージ―サイドは”ユルゲン・ダービー”となるかもしれない」と報じられたこちらの話も、エヴァートンがFAカップを制覇すれば一発で吹っ飛ぶのかもしれません。1週間後のウェンブリーは、「2人の監督が自らの人生を賭ける一戦」なのかもしれず、結果如何でモウリーニョ監督のキャリアまで変わる可能性があるわけです。勝者と敗者のコントラストは、プレミアリーグの4位争いに負けず劣らず大きそうです。

1989-90シーズン、マンチェスター・ユナイテッドの監督に就任してから3年無冠だったアレックス・ファーガソン監督が、FAカップを制覇して解任の噂を一蹴したことを思い出します。ひとつのゴールが、天国と地獄を分けるぐらいのインパクトを持ち得ることがあるわけで、このたびのやや地味めなFAカップのセミファイナルを指揮官のサバイバルゲームと捉え、ルカクとブリントの駆け引きを味わうのも楽しいと思いませんか?キックオフは日本時間で4月24日の1時15分です。ご興味ある方は、ぜひ!

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