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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

興奮、落胆、決意、惜別…プレミアリーグ最終節を戦った直後に残した指揮官8人の言葉

プレミアリーグ最終節が終わり、シーズン総括といきたいところなのですが、今季はまだ1試合残っています。オールド・トラフォードで不審物騒ぎがあり、中止となったマンチェスター・ユナイテッドVSボーンマスは、本日夜に実施されることになりました。この試合が終わり、全38試合の完了したところでベストイレブンや監督について、私なりに振り返ってみたいと思います。

本日お届けするのは、「プレミアリーグ最終節終了後の監督語録」と、「2015-16シーズンのびっくりスタッツ」です。まずは、38試合を終えた直後の監督たちの言葉を紹介させていただきたいのですが、日曜日はやはり長い1日でした。アーセナルがヴィラに圧勝、トッテナムは10人のニューカッスルに3点を奪われるという信じられない惨敗を喫し、2位と3位が逆転。マンチェスター・シティがスウォンジーに手堅く引き分けてチャンピオンズリーグ出場権を確保すると、サウサンプトンはクリスタル・パレスに4-1で快勝して5位にジャンプアップし、来季のヨーロッパリーグ参加が決定。ストークに2-1と敗れたウェストハムの欧州行きは、FAカップ決勝の結果次第となりました。まずは、2位に食い込んだアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督のコメントです。

「シーズンを2位で終えたことに満足はしていないが、それより下で終えた18チームにしてみれば、われわれが今いるポジションにいられれば満足だろう。もちろん目標は優勝だったし、ある程度の段階まではそれが可能だった。しかし、トッテナムはずっとわれわれよりいい位置にいたし、マンチェスター・シティもそうだった。われわれは最後まで戦い続け、困難な時期にも団結して最後を10試合無敗で終えることができた。チームにメンタルの強さがあるからこそ、そういう時期を乗り越えられたのだと思う。トッテナムより上で終えたいとシーズンをスタートさせたわけではなく、プレミアリーグでの優勝を望んでいたので、不満が残るのは確かだ。今日は、2位という残された目標に向かって戦うしかなかった。われわれのサポーターは、最近は満足して帰宅できないことが多かったが、今日はある程度満足してもらえただろう」

一部報道で、「1位になれなければ10位も12位も変わらない」「1位以外はゴミだ」といったと伝えられていましたが、原文は、”But if you’re not first, you might as well be 10th or 12th.””You might as well say first is good and the rest is rubbish.”。自分たちの準備が足りなかったという文脈のなかで「あなたがたはそういうかもしれない」と語っただけで、ガナーズのボスは終始冷静でした。「レスターは3試合しか負けなかったが、2試合は私たちによるものだ」といったのも、自画自賛ではなく悔しさゆえでしょう。監督も選手たちも、サポーターのみなさんにとっても、チャンスがあっただけに悔しいシーズンでしたが、最後の10試合で崩れることなく踏みとどまり、2位に上がってくるあたりはさすがです。夏は補強に動くでしょう。来シーズンのアーセナルもまた、優勝争いをおもしろくしてくれるものと期待しています。

チェルシーに引き分け、23勝12分3敗という素晴らしい成績で優勝を飾ったレスターのラニエリ監督は、いつもどおりの明るいメッセージを残しています。「難しい試合だったけど、楽しみながら勝ちたかった。特に前半は苦労したね。シュマイケルがよくセーブしてくれた。後半のわれわれはいいプレイができていたし、チャンスも創れていた。クリーンシートで終わりたかったので、失点は残念だったけど、ドリンクウォーターのゴールは素晴らしかったよ」「2位を10ポイントも離せたこと、3敗でシーズンを終えたことにはびっくりしている。忘れられないシーズンになった」。そして、最後はお得意のネタです。

「今日はピザはなしだよ。会長がわれわれをディナーに招いてくれているからね」

イタリアといえば、スウォンジーのグイドリン監督に続いて、来季はチェルシーにコンテ監督がやってきます。プレミアリーグのピザ旋風は、今後さらに強まっていくのかもしれません。そしてもうひとり、上機嫌だった監督を紹介しましょう。5位に食い込み、マンチェスター・ユナイテッドの結果次第ではヨーロッパリーグ本大会にストレートインとなるサウサンプトンのクーマン監督です。勝ち点63は、昨季を3ポイント上回るクラブレコード。この素晴らしい結果に、指揮官も興奮気味でした。

「クラブの全員で成し遂げたファンタスティックな成果だ。4-1は大きな成果であり、われわれは自分たち自身でやるべき仕事をしたんだ。私たちを助けてくれたストークとウェストブロムには感謝しないといけないが、これはわれわれ自身でつかんだ成果であり、選手たちには”信じられない結果だ”とメッセージを送りたい。昨季よりもいいシーズンだった。勝ち点のレコードはクレイジーで称賛すべきものだね。ファンのサポートは素晴らしく、選手たちのスピリッツと信頼のおかげで、楽しみながら仕事ができたよ」

さて、ここからは、がっかりコメント集です。プレミアリーグ全20クラブのマネージャーのなかで、最も肩を落としていたのはこの方でしょう。今季もまた、アーセナルの後塵を拝してしまったトッテナムから、マウリシオ・ポチェッティーノ監督です。

「まずはファンに謝りたい。今日はひどかった。恥ずかしく思う。今季戦ってきたチームではなかった。私の監督キャリアで最悪の日だ。戦術にもフィジカルにも問題はなかった。改善すべきはメンタリティーだ。今日は充分なクオリティでボールを扱えてなかった。もっと走り、100%を出さなければならない。(ドローに終わり、レスターの優勝を決めてしまった)チェルシー戦の結果を消化するのは難しいことだった。その後、われわれは多くの弱さを見せてしまった。2度と繰り返してはいけない。私の責任だが、失望している。最初の45分間はとても悪く、後半は10人を相手に3失点してしまった」

37試合で30失点と、プレミアリーグ最少だったトッテナムの5失点惨敗は衝撃的でした。優勝という大きな目標を失い、デル・アリとデンベレが暴力行為でシーズン終了となったとき、彼らは既に別なチームになってしまっていたのでしょう。同じロンドンに、順位を落としてがっかりしたクラブがもうひとつありましたが、こちらのほうが失うものがより大きいかもしれません。最終節で、ストークに2-1と惜敗。FAカップでクリスタル・パレスが優勝すると、ヨーロッパリーグに出られなくなるウェストハムのビリッチ監督です。

「非常に不満だね。われわれはシーズンの大半をそこ(ヨーロッパリーグ出場圏内)で過ごしていた。やれると思ってたが、本当に厳しい戦いだった。全体的には素晴らしいシーズンだったと思う。マンチェスター・ユナイテッドがFAカップで勝ってくれると期待しよう。そうすればヨーロッパリーグの予選に行けるからね」

がっかり組のなかでも、こちらは「覚悟のドロー」でしょう。若手5人をスタメンで起用し、後半には19歳のテクニシャン、セルジ・カノスと7ヵ月ぶりに復帰したダニー・イングスまで投入して、WBAに引き分けたリヴァプールのユルゲン・クロップ監督。3-1で勝っていれば、来季のヨーロッパリーグに手が届く可能性がある7位に上がっていたところでしたが、3日後に控えた今季のヨーロッパリーグ決勝に向けて、フィルミーノ、コウチーニョ、ミルナー、スタリッジらを休ませることのほうが重要だったのでしょう。プレミアリーグの最終順位には不満をもらしながらも、欧州制覇という最高のフィナーレを実現したいと強調していました。

「プレミアリーグ8位は、私にとって夢のような順位ではない。だが、これが現実だ。われわれは60ポイントを獲得したが、どの試合で勝ち点を落としてきたのかは誰もが知っている。…水曜日にもうひとつチャンスがある。これをつかめるように全力を尽くす。勝てなければ、来季は他のチームが欧州で戦っている時間を有効に使わなければならない。現状に関しては不満はない。いいことも悪いことも自分たちの責任だ。水曜日は最高のプレイをしなければならない」

サウサンプトンとニューカッスルに2-0から追いつかれるなど、守備の不安を拭い去れないシーズンでしたが、課題は明確です。セビージャに勝ってチャンピオンズリーグ出場権を手に入れられれば、懸案のGKやDFの補強がしやすくなるでしょう。シーズンオフ、フルスロットルを標榜するクロップスタイルに耐えうる体を作り上げた選手たちが、トッテナムに負けずに走り回るであろう来季が楽しみです。長くなりましたが、最後に去りゆく方たちのメッセージを紹介して、締めさせていただきたいと思います。マンチェスター・シティ監督として最後の試合を戦ったマヌエル・ペジェグリーニ監督と、モウリーニョ監督の後を継いでチェルシー立て直しに尽力したフース・ヒディンク監督です。

「間違いなく特別な1日だった。3年間、やってきたこの生活サイクルを終わらせるのは簡単じゃないけど、ここで働けたことをうれしく思う。とてもいい3シーズンだった。人生のどんなことにも終わりはある。今日、それが終わった。最も大切なのは、チャンピオンズリーグ出場権を獲得したことだ」「総括すればいいシーズンだったと思う。とても、とてもいいシーズンではなかったが、いいシーズンだった」(マヌエル・ペジェグリーニ)
「彼(=コンテ新監督)にメッセージを残すとすれば、『楽しめ』だね。いうのは簡単だけど。ビッグクラブにはプレッシャーやストレスがあるものだけど、うまく対応して楽しめばいい。プレミアリーグは、私が経験してきたなかでも、最も美しいリーグのひとつだ」(フース・ヒディンク)

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“興奮、落胆、決意、惜別…プレミアリーグ最終節を戦った直後に残した指揮官8人の言葉” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    更新お疲れ様です。
    ペジェグリーニ監督、ヒディング監督の言葉はとても重く、仕事を全うしたことへの余韻も感じられます。
    結果に依らず、FAカップ後のファンハール監督のコメントも気になりますね。

  2. makoto より:

    yutoさん>
    ファン・ハールさん、気になりますね。苦しいシーズンだったので、ここはぜひ勝っていただいて、言葉を聞ければと思います。

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