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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

しぶとかった中堅&昇格クラブ!プレミアリーグ2015-16・偏愛的監督ランキング【後篇】

「抜きん出ていた上位3人!プレミアリーグ2015-16・偏愛的監督ランキング【前編】」より続きます。ここまで、1位~5位にランクさせていただいた監督たちを紹介させていただきましたが、ここからは6位~10位です。曲者揃いのTOP5に対して、ひとりを除けば地味めな監督が揃いました。さっそく、まいりましょうか。6位は、今シーズンのトピックスのひとつである「プレミアリーグに守備戦術を輸入してくれたイタリア人監督」です。では。

6位 フランチェスコ・グイドリン(スウォンジー)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★
やりくり力★★★

年末に解任されたモンク監督の後を受け、1月に就任して以来、8勝4分5敗は素晴らしい戦績。半期に満たない就任期間ながら、6位に入れさせていただきました。シェルヴィを放出したチームを率いた新監督は、後半戦のプレミアリーグだけで9ゴールを挙げた好調シグルズソンと、昨季セインツから移籍したジャック・コークを中盤の軸に指名。最終ラインにランヘルを抜擢して守備の安定化を図り、点が獲れなくなっていたスワンズをバランスのいいチームに作り直しました。ストライカーが機能しないなか、12位でフィニッシュできたのは、接戦をものにする試合運びをできるようにした監督の功績だと思います。補強がうまくいけば、来季はこのクラブが上位の脅威になるかもしれません。

7位 キケ・フローレス(ワトフォード)
戦略   ★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★
やりくり力★★★★

守備を固め、ボールを奪ったらカプェに預け、ディーニーとイガロの速さ・強さで勝負と、やっていたことはシンプル、まさに「弱者のサッカー」。その徹底度とともに、守備の安定感を評価したい監督です。カプェとニョムを欠いたラスト5試合は13失点と、「獲られない方程式」が崩れましたが、それまでの33試合で37失点は、トップクラブに引けをとらない数字でした。多国籍軍をうまくまとめた監督だっただけに、クラブともめて今季限りで去るのが残念です。

8位 アーセン・ヴェンゲル(アーセナル)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★
モチベート★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★

1月末まで首位だったヴェンゲル監督が、悲願のプレミアリーグ優勝を果たすシーズンだと疑わなかったのですが…。カソルラの穴が埋めきれず、ジルーがスランプとなり、バルセロナに敗れた後に調子を崩して優勝争いから後退。チェフの加入で、プレミアリーグでは3失点が3試合だけと守備の安定感が増し、エルネニーやイオビをうまく活用したのはよかったのですが、エジルも語っていたように、痛いドローと敗戦が多すぎました。ウォルコットを重用する一方で、ジョエル・キャンベルの出場機会は少なく、戦況によって選手を使い分ける柔軟性に欠けた印象。ラスト10戦負けなしの2位フィニッシュで、トップクラブの意地を見せた土壇場の地力は評価するものの、ヴェンゲルさんの悪いところが例年以上に目立ってしまったシーズンだったのではないでしょうか。

9位 エドワード・ハウ(ボーンマス)
戦略   ★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★

ただでさえトップリーグ昇格は初めてのクラブが、期待のCBタイロン・ミングスをプレミアリーグ出場わずか1試合で失い、エヴァートンから来たディスタンもパッとせず。新戦力のストライカー3人は、ジョシュア・キング以外は空振りと、厳しい状況を抱えていたチームをサンダーランドやニューカッスルの上で着地させただけでも拍手です。マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーを倒したハウ監督のチームは、中盤の選手の運動量が生命線でした。とはいえ来季は、降格候補筆頭でしょうね…。上下動をさぼらなかった選手が、マンチェスター・ユナイテッド並みの45点を積み上げて何とか残りましたが、67失点はぶっちぎり最下位のヴィラに次ぐワースト2位ですから。

10位 トニー・ピューリス(ウェスト・ブロムウィッチ)
戦略   ★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★
育成・登用★★★
やりくり力★★★★

もう、これは名人芸としかいいようがありません。残留職人、トニー・ピューリス。4失点以上はゼロ。3失点が6回あったものの、うち3回は2-3と競っており、完敗はマンチェスター・シティ、サウサンプトン、ウェストハムの3つだけ。プレミアリーグ10勝のうち7勝までが1-0で、相手が強かろうが弱かろうが、すべてのゲームを1-0か1-1で終えればOKと決めているかのような戦いぶりで、予定通り(?)の14位フィニッシュです。守備を固め、ロングボールやクロスを前線に送ってフィジカルが強いサロモン・ロンドンが何とかするという「伝統芸能」。最終ラインはジョニー・エヴァンス、ドーソン、オルセン、マコーリー。中盤はヤコブとフレッチャー、前線はサロモン・ロンドンと後ろと背骨を固め、相手が嫌がるベタ引きと縦ポンをひたすら繰り返すのがトニー流。この規模のクラブが、アニチェベ、リッキー・ランバート、ベラヒーノとハズレストライカーを3人も出したら普通はアウトですが、何しろ1-0でいいので、「獲ったらロンドン」「ゴールが見えたらMFがミドル」です。いや、素晴らしい。彼のチームには、古典歌舞伎を観ているような清々しさがあります。

以上、10人でございますが、最後にあの「奇将」についてだけ、触れさせていただきます。ラシュフォード、リンガード、フォス=メンサー、ボースウィック=ジャクソンらを抜擢し、FAカップ決勝に進出したファン・ハール監督です。昨季はディ・マリアやファン・ペルシ、今季はデパイと「我の強い個人技大好きキャラを使い切れない」弱点は相変わらず。シュナイデルランとシュヴァインシュタイガーを「守備的MF」にしてしまい、「ストライカー・ルーニー」を当てにしすぎて、ラシュフォード登場までの時間を苦しみながら過ごすことになってしまったのは誤算だったでしょう。未来に対する期待感はあれど、プレミアリーグ4位を外した単年で見れば、リスペクトすべきポイントと同じぐらい、残念な要素が多いのではないかということで選外とさせていただきました。以上、素晴らしい指揮官をほめるに留めたく、ワーストや解任された監督たちについては、語らずで終わらせてください。何しろ、激務です。今季プレミアリーグを盛り上げてくれた29人の指揮官に、最後は等しく「おつかれさまでした!」と申し上げたいと思います。

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“しぶとかった中堅&昇格クラブ!プレミアリーグ2015-16・偏愛的監督ランキング【後篇】” への6件のフィードバック

  1. おハム より:

    エディハウとピューリスはいい監督ですよね。
    ボーンマスはウィルソンが序盤に大怪我をして長期離脱をしたので
    降格すると思ってたんですけどねー
    そこをなんとか、さすがです。
    ピューリスのサッカーは個人的に好みです。

  2. リバサポ より:

    来年はこれにペップが加わると思うと、やっとプレミアにも戦術的アップデートが起こりうるのかとワクワクします。
    来年は欧州にプレミア勢が返り咲いて欲しいと思います。(我々は出れませんが…

  3. タカシ より:

    お疲れ様です。
    個人的な意見ですがグイドリンよりもエディーハウやキケフローレス、アラダイスの方が今季は賞賛に値すると考えています。
    特にアラダイスのサンダーランド残留はとても厳しいミッションだったと思います。
    グイドリンのスウォンジーも素晴らしかったですけどね。

  4. グローリーグローリー より:

    彼以上に奇将と言う表現がこれほどハマる監督はいないんじゃないでしょうか。そのあまりのエキセントリックぶりというか迷将ぶりがシーズン中は嫌いで仕方ありませんでしたが、どれだけ困難な状況に置かれても諦めずに最後まで戦い続けた彼の姿勢はファーガソンさんの勇退以後、ユナイテッドのベンチに欠けていたものだと感じました。世界中から誹謗中傷を浴び、1番苦しんだのは彼でしょうから奇将のまま終わらせたくないですね。来季がどうなるであれ是非ともタイトルを勝ち取って今季を閉めて欲しいと願います

  5. ぐら より:

    大量補強のワトフォードは、魅力的な選手獲得もありましたが、戦術の浸透に時間がかかり、厳しい残留争いに巻き込まれるのだと思っていました。
    残留争いのライバルをしっかり叩き、余裕を持ってプレミア残留を決めたキケフローレスは素晴らしかったですね。
    退任は非常に残念ですが、来シーズンもプレミアのどこかのチームでぜひ指揮をとってほしいです。

  6. makoto より:

    おハムさん>
    私も、開幕後はボーンマスは厳しいだろうなと思ってました。エディ・ハウさん、がんばりましたね。ピューリスのイングランドの香りは、私も好きです。

    リバサポさん>
    変わるでしょうね!欧州で復活するプレミアリーグ勢をぜひ観たいと思います。レッズも観たかったのですが…。

    タカシさん>
    グイドリンさんが就任したときのスワンズはボロボロだったのに、就任以降の戦績は同時期のマンチェスター・シティより上!という絶対的数値の強さを評価しました。サンダーランドは評価が分かれるところかもしれませんが、個々の選手の水準は決して低くはなく、ビッグ・サムにしては思いのほか苦戦したという評価です。

    グローリーグローリーさん>
    おっしゃるとおり、勝つために考え抜くことができる、力のある指揮官だと思います。CLの大事な場面で、マタをニック・パウエルに代えちゃったりするので、名将という言葉が出て来ず、「奇将」と呼んでしまうのですが…。FAカップ、楽しみです。

    ぐらさん>
    寄せ集め感があったチームに複雑なことをさせなかったのが勝因でしょうね。来季も観たい監督です。

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