プレミアリーグ20人めの監督決定。サウサンプトンが選んだのはクロード・ピュエル!
さて、サウサンプトンはピュエル監督のどこを評価して、3年契約に踏み切ったのでしょうか。1999-2000シーズンにモナコでリーグを制覇したなどという遠い昔の輝きではないでしょう。ここからは私の推測ですが、54歳のフランス人監督の評価ポイントは、「現在のサウサンプトンと状況が似ていたリールやニースでのマネジメント力」なのではないかと思います。2002年、フランスの一部リーグが「リーグ・アン」と呼ばれるようになった初年度に、ピュエル監督はリールの指揮官に就任しました。当時のリールは、成長した主力選手を上位クラブに抜かれる典型的な中小クラブ。「元リール、今リヨン」の選手は5人に留まらず、現在のプレミアリーグにおけるサウサンプトンとリヴァプールのような状態でした。
そんななかで、ピュエル監督のリールは、主力のエリック・アビダルをリヨンに抜かれた直後の2004-05シーズンに2位、翌年は3位。昨季プレミアリーグのレスターほどではないにせよ、これは快挙です。マテュー・ボドメとジャン・マクーンという地味な選手が中軸をなすチームがクラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場権を獲得したとき、フランスのファンはピュエル監督に惜しみない拍手を送りました。2005-06シーズンのチャンピオンズリーグでは、グループステージ3位ながらもマンチェスター・ユナイテッドに1勝1分。翌シーズンは、ミランに次ぐ2位でCLのラウンド16に進出しており、マンチェスター・ユナイテッド相手に0-1、0-1と善戦しています。マン・ユナイテッドのサポーターとしても、4試合戦って1度も2ゴールを奪えなかった堅守のクラブは、忘れられない対戦相手のひとつです。
ニースでも4位2回と健闘。プレミアリーグでくすぶっていたベナルファに17ゴールを挙げさせた選手再生の手腕もまた、セインツ経営陣の評価ポイントに加えられたのではないかと思われます。一方で不安があるとすれば、ニースでは最高4位で最低17位、リールでも3位以内2回に対して10位以下3回という好不調の波の激しさです。ピュエル監督は、ポチェッティーノ、クーマンの流れを継ぐ3人めの名指揮官となるのか、あるいはヴィラのレミ・ガルド監督のようにスランプにはまって残留争いを演じるのか。ニューカッスルのように大型補強に打って出た名門クラブでもあっけなく下に落ちるプレミアリーグは、昇格したばかりのクラブでも侮れず、迷いのあるチームは容赦なく叩かれます。グアルディオラ、モウリーニョ、コンテ、マッツァーリ、クーマン…おめでたい発表の直後に恐縮ですが、来季の新監督のなかで、いちばん不安なのはサウサンプトンの新監督であることは否めません。(クロード・ピュエル 写真著作者/Pymouss44)
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数年前までEL出場権を争っていたヴィラとニューカッスルの没落を見れば対岸の火事とは思えないでしょう。マネ放出後に素早くレドモンドを獲得したしたたかさがあれば大丈夫でしょうか。
Davinciさん>
フランスの方は、ヴェンゲルさんとウリエさん以外にめざましい成果を出した監督がいないという不安もあります。リールでラミやアザールを育ててローマに渡ったルディ・ガルシアさんのようなキャリアなら、また違うのですが。