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現地記者がわざわざ座談会!「今季のプレミアリーグの監督は、なぜ解任されないのか?」

Why have no Premier League managers been sacked this season?」。明け方にプレミアリーグ関連の記事をあれこれ読むのがルーティンなのですが、コーヒーを吹いてしまったのは久しぶりです。「プレミアリーグの監督は、なぜ解任されないのか?」って、そっちがフツーじゃないですか?平和でよろしいではありませんか。

「アスレティック」がこの記事を配信したのは、プレミアリーグ12節が開催される直前の11日でした。クレジットは「The Athletic UK Staff」となっており、記者たちの座談会です。記事のツカミは「悪人の自白」。われわれフットボールファンは、人が職を失うのをエンタメにしているんですよね…。

「プレミアリーグのオーナーは、必ずしも忍耐強いことで有名なグループではない。しかし今季は、今までとは少々違うように感じられる。今年最後のインターナショナルブレイクを迎えようとしている今、われわれはシーズン最初の監督の解任はまだかと待ちわびている」

「マンチェスター・ユナイテッドのエリック・テン・ハフ、シェフィールド・ユナイテッドのポール・ヘッキングボトム、ボーンマスのアンドニ・イラオラが、ブックメーカーの解任レースで候補に挙がっている。しかしこれまでにデスクの上を片付けるようにいわれた監督は、開幕の数日前に双方合意の上で去ったウルヴスのフレン・ロペテギだけである」

いわれてみれば、今季プレミアリーグが開幕してからクラブを離れた監督はひとりもいません。2021-22シーズンは最多タイの10人で、昨シーズンはぶっちぎりのレコードとなる14人が解任の憂き目に遭っています。最速のスコット・パーカーは4節まで。トゥヘル、ブルーノ・ラージ、ジェラード、ハーゼンヒュットルは、ワールドカップが始まる前に仕事を失ってしまいました。

プレミアリーグをよく知る記者たちは、なかなか興味深い理由を挙げています。ひとつは、昇格組のルートン、バーンリー、シェフィールド・ユナイテッドが降格ゾーンを占めており、残留争いを勝ち抜いた既存クラブにポジションを失う懸念がないこと。もうひとつは、1シーズンで逆戻りとなる可能性がある昇格クラブが現職を切ろうとしていないことです。

シェフィールド・ユナイテッドのヘッキングボトム監督は、解任レースの大本命ですが、低迷の要因はエンディアイェやサンダー・ベルゲなど主力の放出といわれています。「咎められるべきは現場より経営ボード」「あわてて監督を代えてもよくなるわけではない」と考えているということでしょうか。

19位のバーンリーは、革命的にチームを変えたヴァンサン・コンパニを信頼。大量補強を敢行したルートンは、ロブ・エドワーズ監督がチームを作り直している最中です。17位のボーンマスは、6月に就任したばかりのイラオラ監督について、「新しいことにトライし始めたばかり」と様子見をしているようです。

これらに加えて、ダンカン・アレクサンダー記者は、「チャンピオンシップでレスターとリーズが好調だから」と指摘しています。昨季の降格組はレスターが首位、リーズは3位、サウサンプトンは4位で、この状況を見れば「主力を何人か残し、新戦力に投資すれば、簡単に立ち直れる」と考えるオーナーもいるのではないかといっています。

このほか、ピンチといわれていた指揮官が残っている理由を挙げるとすれば、ノッティンガム・フォレストのスティーヴ・クーパー監督は「サポーターの絶大な支持がある」。13位のクリスタル・パレスについて、「ザハが移籍したのにプアな補強しかできなかった経営ボードは、功労者ロイ・ホジソンを切れない」といわれれば納得です。

マンチェスター・ユナイテッドのテン・ハフ監督は、「何かが起こるとすれば、サー・ジム・ラトクリフの株式取得が決まってから」と見られています。なるほど。ヨーロッパリーグで順調にポイントを積み上げているハマーズのデヴィッド・モイーズや、主力を大量に手離したのに13位で粘っているウルヴスのガリー・オニールもしばらくは安泰でしょう。

そうなると、現在の「隠れ大本命」は、それなりに補強もしたのに16位に沈んでいるフラムのマルコ・シウヴァ監督なのかもしれません。いえ、解任してほしいわけではありません。こういう話になると、競馬好きの血が騒いで、ついつい予想してしまうんです。何はともあれ、みなさん、ご無事で何より!(ヴァンサン・コンパニ 写真著作者/Christian David)


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“現地記者がわざわざ座談会!「今季のプレミアリーグの監督は、なぜ解任されないのか?」” への1件のコメント

  1. アイク より:

    刺激的な記事をありがとうございます、私もこちらの見出しで吹きましたよ笑 シュールでイギリスらしくて良いですね。
    どの推察もごもっともです。
    ペップやクロップにアルテタも加わり、長期戦略の重要性が見直されているのかと思いましたが、悠長なことを言ってられない局面の連続で決断を迫られる経営ボードの苦労も想像を絶しますね。そう思うと、アルテタがチェルシーにおけるランパードと同じ結末を迎えても不思議ではない局面はあったと思いますが、アーセナルの慧眼と忍耐力にリスペクトが深まりました。

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