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ハイライン、ハイプレス…現地のスパーズ担当記者が、ポステコグルーがもたらした変化をレポート!

プレミアリーグ12節で8勝2分2敗。10月まで順位テーブルの頂点にいながら、連敗でライバルにまくられてしまいましたが、首位に2ポイント差の4位なら上々でしょう。何しろアンジェ・ポステコグルー監督は、スパーズを率いてまだ4ヵ月。上にいるのは7年めのペップ、8年めのクロップ、4年めのアルテタです。

就任から10試合で26ポイントは、ペップの23ポイントやクロップの15ポイントを上回り、プレミアリーグで指揮を執る現職のなかではTOPです。ハリー・ケインを失うという強烈なダメージを受けながらも、夏に獲得した5人の即戦力と若いセントラルMFを活かし切り、よくぞここまで戦えていると脱帽します。

「アスレティック」でスパーズを担当するチャーリー・エクルシェア記者は、新監督がもたらした変化について、さまざまなスタッツを用いて解説しています。ハリー・ケイン、ホイビュルク、ペリシッチ、エリック・ダイアー、ロリスが主軸だった昨季は、平均年齢27.1歳で上から4番め。U-23を5人引き入れた現在は25.0歳で、4番めに若いチームに生まれ変わっています。

記者が最初に指摘したのはポゼッションで、コンテ時代は49.9%の9位、ポステコグルーは60.2%で5位。ファイナルサードにおけるパス本数の比率を示す「フィールドティルト」も、42.9%(16位)から60.8%(4位)にジャンプアップし、対戦相手を上回るようになっています。9人になりながら、ハイラインを貫いたチェルシー戦を見た方は、深くうなずくのではないでしょうか。

高いポゼッションを象徴している数字として、極端に少ないロングフィードの本数と比率も注目ポイントです。アルテタ率いるガナーズも、的確にパスをつないで攻めるチームですが、517本はリーグ17位。下にいる3チームは個性派揃いです。18位はエメリが指揮を執るヴィラで509本。デ・ゼルビのブライトンが最下位かと思いきや、485本は19位です。

最下位にいるポステコグルーのチームは、圧倒的に少ない411本!昨シーズンは10.5%だったロングフィードのシェアも6%まで落ちており、こちらもリーグ20位です。40メートルを超えるゴールキックも激減。ロリスとフレイザー・フォースターがゴールマウスにいた昨季の33.3%は、16.9%と半分になっており、彼らより長いボールのシェアが低いのはブライトンだけです。

パスのテンポが上がったアタックだけでなく、ディフェンスも大きく変わっています。PPDA(守備のアクション1回あたりのパス本数)を見ると、2022-23シーズンは13.8本(16位)、今は9.2本でリーグTOP。この変化が示しているのは、10本まわされる前に追い込むアグレッシブなプレスを継続できているということです。

1試合あたりのタックル数も、16.2回(13位)から20.2回(2位)に増加。ペドロ・ポロは3.5回でリーグ4位、イヴ・ビスマは3.3回で6位、ウドジェは2.7回で13位です。WBとして攻撃力が強みだったペドロ・ポロが、守備の意識を高めたのはいい話ですが、1試合あたりのドリブルで抜かれた回数は2.5回でリーグワースト。後ろが空いているSBは、早期に改善すべき数字でしょう。

最高のスタートとなったポステコグルー監督ですが、ジェームズ・マディソンとファン・デ・フェンのリタイアという試練を克服できるのでしょうか。これほど短時間でチームの意識と戦術を変えた指揮官ゆえ、サブの選手たちを同じように動かすマジックを披露してくれるのかもしれませんが、ソン・フンミンと中盤を分断させようとする相手に対抗するのは簡単ではありません。

26日のアストン・ヴィラ戦は、イエロー5枚のイヴ・ビスマ、チェルシー戦のレッドでサスペンデッドのロメロ、負傷したリシャルリソン、マノー・ソロモンも不在です。コンテ時代の主軸頼みの中盤と最終ラインは、オリー・ワトキンス、ムサ・ディアビ、マッギンを止められるのか。ポステコグルーの戦術は、こんな状態でもハイプレスとハイライン…?


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