2023.12.21 監督トピックス
29人の大量補強は終わりの始まり…ノッティンガム・フォレストが功労者クーパーを解任。
11月まで監督の解任がなかったプレミアリーグは、平常運転に戻りつつあります。最下位に沈むシェフィールド・ユナイテッドのポール・ヘッキングボトム監督がクラブを去った2週間後、サポーターから絶大な信頼を得ていたノッティンガム・フォレストのスティーヴ・クーパー監督が解任となりました。
直接的な理由は、「テレグラフ」のジョン・パーシー記者の表現が最もわかりやすいでしょう。「過去の実績はどうあれ、このレベルでは、13試合で1勝しかせずに残れる者はそうそういない」。開幕からのプレミアリーグ4試合は2勝2敗とまずまずのスタートでしたが、その後は1勝5分7敗。直近の1ヵ月は1分5敗で17位に転落し、出口が見えないトンネルに突入していました。
オーナーのエヴァンジェロス・マリナキスが激怒したのは、15節のクレイヴン・コテージ。フラムに5-0で惨敗した一戦です。73分のイオビのゴールを見て、スタンドから消えたギリシャのメディア王は、近隣の民家の庭にスタジアムに入場するためのパスを投げ捨てています。それからの2試合は、新たなマネージャーを探すためのリードタイムだったようです。
2017年にノッティンガム・フォレストを買収したマリナキスは、故郷のピレウスを本拠地とするオリンピアコスのオーナーでもあります。彼の人物像を知りたい人には、オリンピアコスで過去16ヵ月に5人の監督をクビにしたというエピソードを最初に伝えるといいでしょう。イングランドでも、6年の間に9人の監督を招聘しており、クーパーの2年3ヵ月は異例の長期政権です。
ノッティンガムに彼がやってきたのは2021年9月。イングランドU-17代表チームを率いて、2017年のワールドカップを制した44歳のウェールズ人監督は、濃密な時を過ごしました。クリス・ヒュートンの後を継いだときは、チャンピオンシップで1分6敗の最下位。そこから23勝10分6敗という快進撃で4位にジャンプアップし、プレミアリーグ昇格を争うプレーオフに進出しました。
シェフィールド・ユナイテッドとのホーム&アウェイはトータル3-3で、PK戦を3-2で制してファイナルへ。ハダースフィールドに1-0で勝ったウェンブリーの一戦は、フォレストのサポーターにとって忘れられない最高の瞬間でしょう。24年ぶりのトップリーグ復帰を果たした指揮官は、地元の人々の絶大な支持を受けて2年めを迎えています。
リーグに残留するだけでは満足できないオーナーは、2022年の夏に29人の新戦力を獲得。クラブが歩んできた157年で費やした総額を超える1億5000万ポンド超の移籍金は、その夏のバルセロナ、レアル・マドリード、パリ・サンジェルマンを上回っています。ここまでは、マリナキスとクーパーは相思相愛といっていい関係でした。
クーパーの足跡を振り返ると、プレミアリーグ昇格初年度の大量補強が解任へのトリガーだったように思えます。プレミアリーグ2022-23シーズンの序盤戦は、あまりにも大人数のスカッドを束ねるのに手間取り、1勝1分6敗で最下位。解任かと思いきや、クラブはクーパー監督との新契約締結を発表しました。
何でわざわざアナウンス?と思った当時の私は、「最下位なのに3年契約!? ノッティンガム・フォレストとクーパー監督の契約延長は美談かコントか?」と題した記事に顛末をまとめています。今にして思えば、あの発表はオーナーの信頼ではなく、脅しだったようです。「アスレティック」のダニエル・テイラー記者は、その後も何度か解任の危機があったといっています。
プレミアリーグに昇格したらTOP10、上位に進出したら6位以内…フォレストの事情をよく知る記者によると、とにかく上にいきたいオーナーとクーパーの間にはすき間風が忍び込み、今年の夏には関係修復は不可能という状況に陥ってしまったようです。2022-23シーズンの16位に納得できないオーナーが、次に落ちたら動くのは、誰の目にも明らかでした。
オーナーとの軋轢に加えて、ダブついた戦力も指揮官を苦しめました。初年度はジョンジョ・シェルヴィーとの確執があり、今季はキャプテンのウォーラルとマッケンナがトレーニングから離脱。アンドレイ・サントス、オモバミデル、ヌーノ・タヴァレス、モンティエルら出番が少ない選手は不満を抱えていたといいます。
クラブ内の人間関係に軋みが生じた指揮官は、ピッチで結果を残せず、任を解かれることになりました。「アスレティック」によると、マリナキスとクーパーが和やかに別れの会話を交わした午後は、後任のヌーノ・エスピーリト・サントと鉢合わせしないように入念な調整がなされていたそうです。2人は握手を交わし、かつて蜜月といわれた関係は終わりました。
クーパーにとっては、栄誉と失望を味わった2年3ヵ月。マリナキスにとっては、我慢を重ねて最大の敬意を払った2年3ヵ月。念願のトップリーグ復帰を実現させてくれた指揮官と、クラブに多大な投資をしたオーナーの双方に歓声を挙げたサポーターにとっては、悲しい1日でもあり、新たなチャプターが始まる瞬間でもあります。
直接的な理由は、「テレグラフ」のジョン・パーシー記者の表現が最もわかりやすいでしょう。「過去の実績はどうあれ、このレベルでは、13試合で1勝しかせずに残れる者はそうそういない」。開幕からのプレミアリーグ4試合は2勝2敗とまずまずのスタートでしたが、その後は1勝5分7敗。直近の1ヵ月は1分5敗で17位に転落し、出口が見えないトンネルに突入していました。
オーナーのエヴァンジェロス・マリナキスが激怒したのは、15節のクレイヴン・コテージ。フラムに5-0で惨敗した一戦です。73分のイオビのゴールを見て、スタンドから消えたギリシャのメディア王は、近隣の民家の庭にスタジアムに入場するためのパスを投げ捨てています。それからの2試合は、新たなマネージャーを探すためのリードタイムだったようです。
2017年にノッティンガム・フォレストを買収したマリナキスは、故郷のピレウスを本拠地とするオリンピアコスのオーナーでもあります。彼の人物像を知りたい人には、オリンピアコスで過去16ヵ月に5人の監督をクビにしたというエピソードを最初に伝えるといいでしょう。イングランドでも、6年の間に9人の監督を招聘しており、クーパーの2年3ヵ月は異例の長期政権です。
ノッティンガムに彼がやってきたのは2021年9月。イングランドU-17代表チームを率いて、2017年のワールドカップを制した44歳のウェールズ人監督は、濃密な時を過ごしました。クリス・ヒュートンの後を継いだときは、チャンピオンシップで1分6敗の最下位。そこから23勝10分6敗という快進撃で4位にジャンプアップし、プレミアリーグ昇格を争うプレーオフに進出しました。
シェフィールド・ユナイテッドとのホーム&アウェイはトータル3-3で、PK戦を3-2で制してファイナルへ。ハダースフィールドに1-0で勝ったウェンブリーの一戦は、フォレストのサポーターにとって忘れられない最高の瞬間でしょう。24年ぶりのトップリーグ復帰を果たした指揮官は、地元の人々の絶大な支持を受けて2年めを迎えています。
リーグに残留するだけでは満足できないオーナーは、2022年の夏に29人の新戦力を獲得。クラブが歩んできた157年で費やした総額を超える1億5000万ポンド超の移籍金は、その夏のバルセロナ、レアル・マドリード、パリ・サンジェルマンを上回っています。ここまでは、マリナキスとクーパーは相思相愛といっていい関係でした。
クーパーの足跡を振り返ると、プレミアリーグ昇格初年度の大量補強が解任へのトリガーだったように思えます。プレミアリーグ2022-23シーズンの序盤戦は、あまりにも大人数のスカッドを束ねるのに手間取り、1勝1分6敗で最下位。解任かと思いきや、クラブはクーパー監督との新契約締結を発表しました。
何でわざわざアナウンス?と思った当時の私は、「最下位なのに3年契約!? ノッティンガム・フォレストとクーパー監督の契約延長は美談かコントか?」と題した記事に顛末をまとめています。今にして思えば、あの発表はオーナーの信頼ではなく、脅しだったようです。「アスレティック」のダニエル・テイラー記者は、その後も何度か解任の危機があったといっています。
プレミアリーグに昇格したらTOP10、上位に進出したら6位以内…フォレストの事情をよく知る記者によると、とにかく上にいきたいオーナーとクーパーの間にはすき間風が忍び込み、今年の夏には関係修復は不可能という状況に陥ってしまったようです。2022-23シーズンの16位に納得できないオーナーが、次に落ちたら動くのは、誰の目にも明らかでした。
オーナーとの軋轢に加えて、ダブついた戦力も指揮官を苦しめました。初年度はジョンジョ・シェルヴィーとの確執があり、今季はキャプテンのウォーラルとマッケンナがトレーニングから離脱。アンドレイ・サントス、オモバミデル、ヌーノ・タヴァレス、モンティエルら出番が少ない選手は不満を抱えていたといいます。
クラブ内の人間関係に軋みが生じた指揮官は、ピッチで結果を残せず、任を解かれることになりました。「アスレティック」によると、マリナキスとクーパーが和やかに別れの会話を交わした午後は、後任のヌーノ・エスピーリト・サントと鉢合わせしないように入念な調整がなされていたそうです。2人は握手を交わし、かつて蜜月といわれた関係は終わりました。
クーパーにとっては、栄誉と失望を味わった2年3ヵ月。マリナキスにとっては、我慢を重ねて最大の敬意を払った2年3ヵ月。念願のトップリーグ復帰を実現させてくれた指揮官と、クラブに多大な投資をしたオーナーの双方に歓声を挙げたサポーターにとっては、悲しい1日でもあり、新たなチャプターが始まる瞬間でもあります。
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ありがとうございます。意義深い記事でした。
良い監督、良いオーナー、良い戦略と補強について…切ない気持ちで色々考えさせられました。