あまりにも濃密だった466試合。リヴァプールとの別れを決断したユルゲン・クロップに思うこと。
そのニュースを知ったのは、26日の夜。都内のカラオケ店の喫煙室でした。「X」のタイムラインに流れてきたのは、ファブリツィオ・ロマーノさんが配信した短いポスト。「BREAKING」のひとことの後、心の底で怖れていた言葉が並んでいました。
「Jurgen Klopp has decided to LEAVE Liverpool at the end of the season.」
どう見ても噂や憶測ではなく、発表です。見なければよかったと思いました。しばらくは、ひとりになれる状況ではなかったからです。ユルゲン・クロップが、マージーサイドに別れを告げる…。私にとってこの知らせは、プレミアリーグで起こりえるリアルな出来事のなかで、最も悲しいことだったのだと自覚しました。
「最初に聞いたとき、多くの人にとってショックなのは理解できる。でも私は、はっきりいえる。少なくとも、説明しようとトライすることはできる。このクラブのすべてを愛している。この街のすべてを愛している。すべてのサポーターを愛している。チームもスタッフも愛している。すべてを愛している。それでもこの決断を下したのは、そうするべきと確信したからだ」
「私は…どういえばいいのか、エネルギーが尽きかけているんだ。もっと前から、いつかは発表しなければならないとわかっていた。今なら、まったく問題ない。この仕事を、何度も何度も何度も何度もすることはできない」(リヴァプール公式サイト「Jürgen Klopp announces decision to step down as Liverpool manager at end of season」より)
リヴァプールで下した最大の決断は、11月にクラブに伝えていたそうです。プレミアリーグ、FAカップ、カラバオカップ、ヨーロッパリーグの4冠をめざして戦い続けている今、あえて発表したのは、来季に向けて次の人選を進めるクラブの動きから噂が広がったり、話が漏れ伝わったりするのを嫌ったのでしょう。
「私の仕事について、少し説明が必要だろう。外からは、タッチラインの上にいたり、トレーニングセッションに参加していたりするように見えるのかもしれない。しかし大半のことは、その周辺で起こっている。シーズンが始まると、もう次のシーズンの計画を立てることになる」
「そこに座って、サインする選手の候補や次のサマーキャンプの行き先について話していたら、そのときはもうここにいる自信がないという考えが浮かんだ。自分でも驚いた」
ブレンダン・ロジャースの後を継いだのは2015年10月。初年度からキャピタルワンカップとヨーロッパリーグでファイナルに進出したものの、マンチェスター・シティとセヴィージャに敗れて翌シーズンの欧州へのチケットを獲り逃しました。2016年から、プレミアリーグで2年連続の4位フィニッシュ。2017-18シーズンにはCL決勝で、レアル・マドリードに敗れています。
ペップ率いるマン・シティとの2強時代が始まったのは、ここからでした。2018-19シーズンは、30勝7分1敗という素晴らしい戦績を残しながらも、1ポイント差でトロフィーに届かず。しかしチャンピオンズリーグのファイナルではトッテナムを2-0で下し、14年ぶりの欧州戴冠を果たしました。
クラブの悲願だったプレミアリーグ初制覇は、2019-20シーズン。1989-90シーズンのファーストディビジョン以来、30年ぶりのリーグ優勝でした。UEFAスーパーカップとクラブワールドカップも制した指揮官は、4冠にあと1歩に迫った2021-22シーズンにFAカップとカラバオカップを獲得。イングランドで得られる果実をすべて手に入れています。
サラー、フィルミーノ、マネの最強フロントスリー。対峙したストライカーをすべて止めたファン・ダイク無双。ワイナルドゥムとオリギの4発に狂喜したCL準決勝セカンドレグのバルサ戦。27戦26勝という信じられない独走で駆け上がったリーグの頂点。苦しい状況からTOP4フィニッシュを手繰り寄せたWBA戦のアリソン・ベッカーの劇的ヘッダー…。
ひとたび語り始めれば、エピソードが止まらなくなる濃密な8年。ユルゲン・クロップは、憎らしいライバルの将であるとともに、プレミアリーグの素晴らしさを欧州に知らしめてくれた誇りでした。公式戦283勝105分78敗、プレミアリーグ199勝74分44敗。そのすべてを見続けてきた者として、今感じる悲しみと悔しさを凝縮すると、このひとことに尽きます。
リヴァプール2.0が、欧州を制するシーンを観たかった。
スポーツに関する出来事に触れて、思わず泣いてしまったのは、ドーハの悲劇とアイルトン・セナ、そして昨日の夜だけです。惜別の日まで残り30試合。ピッチサイドの笑顔を、目に焼き付けておきたいと思います。56歳になった指揮官は、ドイツに帰って、マージーサイドでは得られなかった家族との穏やかな時間を取り戻すのでしょう。それはどんな勝利よりも、大事なことです。
「またマネージャーとして働くのかと聞かれたら、今ならノーというだろう。でも実際にそんな状況になったことがないので、どう感じるかはわからない。はっきりわかっているのは、イングランドでリヴァプール以外のクラブの監督は、100%ないということ。それは不可能だ」
「Jurgen Klopp has decided to LEAVE Liverpool at the end of the season.」
どう見ても噂や憶測ではなく、発表です。見なければよかったと思いました。しばらくは、ひとりになれる状況ではなかったからです。ユルゲン・クロップが、マージーサイドに別れを告げる…。私にとってこの知らせは、プレミアリーグで起こりえるリアルな出来事のなかで、最も悲しいことだったのだと自覚しました。
「最初に聞いたとき、多くの人にとってショックなのは理解できる。でも私は、はっきりいえる。少なくとも、説明しようとトライすることはできる。このクラブのすべてを愛している。この街のすべてを愛している。すべてのサポーターを愛している。チームもスタッフも愛している。すべてを愛している。それでもこの決断を下したのは、そうするべきと確信したからだ」
「私は…どういえばいいのか、エネルギーが尽きかけているんだ。もっと前から、いつかは発表しなければならないとわかっていた。今なら、まったく問題ない。この仕事を、何度も何度も何度も何度もすることはできない」(リヴァプール公式サイト「Jürgen Klopp announces decision to step down as Liverpool manager at end of season」より)
リヴァプールで下した最大の決断は、11月にクラブに伝えていたそうです。プレミアリーグ、FAカップ、カラバオカップ、ヨーロッパリーグの4冠をめざして戦い続けている今、あえて発表したのは、来季に向けて次の人選を進めるクラブの動きから噂が広がったり、話が漏れ伝わったりするのを嫌ったのでしょう。
「私の仕事について、少し説明が必要だろう。外からは、タッチラインの上にいたり、トレーニングセッションに参加していたりするように見えるのかもしれない。しかし大半のことは、その周辺で起こっている。シーズンが始まると、もう次のシーズンの計画を立てることになる」
「そこに座って、サインする選手の候補や次のサマーキャンプの行き先について話していたら、そのときはもうここにいる自信がないという考えが浮かんだ。自分でも驚いた」
ブレンダン・ロジャースの後を継いだのは2015年10月。初年度からキャピタルワンカップとヨーロッパリーグでファイナルに進出したものの、マンチェスター・シティとセヴィージャに敗れて翌シーズンの欧州へのチケットを獲り逃しました。2016年から、プレミアリーグで2年連続の4位フィニッシュ。2017-18シーズンにはCL決勝で、レアル・マドリードに敗れています。
ペップ率いるマン・シティとの2強時代が始まったのは、ここからでした。2018-19シーズンは、30勝7分1敗という素晴らしい戦績を残しながらも、1ポイント差でトロフィーに届かず。しかしチャンピオンズリーグのファイナルではトッテナムを2-0で下し、14年ぶりの欧州戴冠を果たしました。
クラブの悲願だったプレミアリーグ初制覇は、2019-20シーズン。1989-90シーズンのファーストディビジョン以来、30年ぶりのリーグ優勝でした。UEFAスーパーカップとクラブワールドカップも制した指揮官は、4冠にあと1歩に迫った2021-22シーズンにFAカップとカラバオカップを獲得。イングランドで得られる果実をすべて手に入れています。
サラー、フィルミーノ、マネの最強フロントスリー。対峙したストライカーをすべて止めたファン・ダイク無双。ワイナルドゥムとオリギの4発に狂喜したCL準決勝セカンドレグのバルサ戦。27戦26勝という信じられない独走で駆け上がったリーグの頂点。苦しい状況からTOP4フィニッシュを手繰り寄せたWBA戦のアリソン・ベッカーの劇的ヘッダー…。
ひとたび語り始めれば、エピソードが止まらなくなる濃密な8年。ユルゲン・クロップは、憎らしいライバルの将であるとともに、プレミアリーグの素晴らしさを欧州に知らしめてくれた誇りでした。公式戦283勝105分78敗、プレミアリーグ199勝74分44敗。そのすべてを見続けてきた者として、今感じる悲しみと悔しさを凝縮すると、このひとことに尽きます。
リヴァプール2.0が、欧州を制するシーンを観たかった。
スポーツに関する出来事に触れて、思わず泣いてしまったのは、ドーハの悲劇とアイルトン・セナ、そして昨日の夜だけです。惜別の日まで残り30試合。ピッチサイドの笑顔を、目に焼き付けておきたいと思います。56歳になった指揮官は、ドイツに帰って、マージーサイドでは得られなかった家族との穏やかな時間を取り戻すのでしょう。それはどんな勝利よりも、大事なことです。
「またマネージャーとして働くのかと聞かれたら、今ならノーというだろう。でも実際にそんな状況になったことがないので、どう感じるかはわからない。はっきりわかっているのは、イングランドでリヴァプール以外のクラブの監督は、100%ないということ。それは不可能だ」
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なんとも言えない複雑な気持ちで今は整理できませんが、本当に本当に濃密な時間だったんだなと感じます。
makotoさんが書き続けてくださったクロップレッズの記事にも感謝しかありません。
来季CLで最後にしてほしかったとか、挙げればキリがありませんが、残りの試合を一試合ずつ噛み締めようと思います。
昨日は泣かなかったのに、今日この記事を読んで泣きました。とても感情的で、とても心に染みる記事でした。
更新ありがとうございます。
いつか来るとは分かっていても受け止めるにはあまりに重く、大きな現実です…
ただ彼がこれまで投じてくれた情熱を裏切りたくありませんし、ショックを言い訳に現実逃避をするわけにはいきません。現地へ行くことが叶わずとも、再び冬の時代が訪れようとも、今後もチームを、クラブを愛し、見守ります。今日決めました。
一緒に歩む旅路は残り短くなりましたが、唯一取り残したELを含めて、勝者としてボスを送り出せると信じます。 YNWA
ありがとうございます。同じ気持ちでいてくださって救われます。
契約満了まではと油断していました。自分でも驚くくらいショックを受けています。
フットボールのライブ感は、眩くも残酷です。稀に多くの人たちの膨大なエネルギーが束なった時、信じられないような素晴らしいチームが出現することがありますが、旬は短く、選手寿命、スタメン争い、モチベーション、資金繰りなどの問題で長続きしないようですね。
CL決勝で敗れたレッズやスパーズの翌シーズンを観ていて、ペップのチームが常に新しいチャレンジを継続できているのは、優勝という成果を共有し続けられているからなのかなと考えたりします。(贅沢なタララバを承知で)四冠チャレンジがあと一つでも獲れてオフを迎えていれば、必要な達成感を得て黄金期を継続できていたのではと。
今となってはボスと闘う残りのシーズンを大切にするだけです。