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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

誤算だらけの前半戦、すべてがかみ合った後半戦。4連覇を達成したペップとマン・シティの軌跡

最終節のウェストハム戦を3-1で勝ち切り、プレミアリーグ4連覇達成。ペップ・グアルディオラ監督と選手、スタッフ、そしてシティズンのみなさん、おめでとうございます。サリバと冨安健洋の負傷をきっかけに停滞したアーセナルを怒涛の12連勝でまくった昨シーズンと比べると、よりきわどいリーグ制覇でした。

誤算だらけだった前半戦、すべてがかみ合った後半戦。マフレズ、ラポルテ、ギュンドアンがチームを離れ、得点力ダウンが懸念された昨季王者は、最初の試合でデブライネを失ってしまいました。最終ラインの軸となるジョン・ストーンズも臀部の負傷で出遅れ、ギュンドアンの代役として獲得したコヴァチッチとマテウス・ヌネスは、フィットするのに時間がかかりそうでした。

開幕からの6連勝は、昨季プレミアリーグで残留を争ったチームと昇格クラブが4つもある幸運な組み合わせに助けられたものです。2節のニューカッスル戦は、フリアン・アルバレスのゴールシーン以外にチャンスを創れず、1-0の辛勝。最初のつまずきは、6節のノッティンガム・フォレスト戦がきっかけとなりました。後半開始早々のロドリの1発レッドは激痛でした。

2点をリードしながら10人となったマン・シティは、ポゼッション31%、シュート数1対9という信じられないスタッツで、何とか逃げ切りました。しかしウルヴスとアーセナルに連敗し、3位に転落。中盤のハブを欠くと、攻守ともに安定感を失い、アーセナル戦は後半のシュート1本という厳しい展開を強いられています。

15節のアストン・ヴィラ戦も、ロドリがサスペンデッドで1-0の敗戦。マン・シティのインサイドストーリーを配信した「アスレティック」のサム・リー記者によると、チェルシー戦以降の6試合を1勝4分1敗と停滞したこの頃、ペップは大荒れだったそうです。グリーリッシュは「集中力を欠いたから負傷した」と非難され、ジョン・ストーンズも同じ見方をされていたといいます。

デブライネに続き、ハーランドも骨折でリタイア。エティハドのクリスタル・パレス戦は、2-0から追いつかれてしまいました。中盤でボールをロストし、取り返そうとムキになってマテタに無謀なタックルを仕掛けたフォーデンは、PKを献上した自らを責める苦しい夜を過ごしたのではないでしょうか。

しかしここから、マン・シティは19勝4分という快進撃で、後半戦を16勝1分2敗で駆け抜けたアーセナルに競り勝ちます。無敗で過ごした5ヵ月は、2つに分けて語るべきでしょう。骨折したハーランドの調子が上がらず、フリアン・アルバレスも不振に陥ったアーセナル戦までの14試合で、4ゴール以上はゼロ。ペップの手柄は、後にキーマンとなる2人をうまく活用したことです。

ひとつは、クリスタル・パレス戦でミスをしたフォーデンを先発に固定したこと。もうひとつは、グヴァルディオラを左SBにまわしてチームのバランスを改善したことです。復帰直後から4連続アシストのデブライネと、キャプテンマークを得てテンションが上がったカイル・ウォーカー、守備陣の負担を減らしたロドリも、エース不在の季節を支えた立役者です。

アーセナル戦は、ポゼッション72%と主導権を握りながら、2つのビッグチャンスを活かせずスコアレスドロー。2月に復帰した後、9戦4発とペースダウンしていたハーランドは、首位攻防戦を終えるのを待っていたかのように量産モードに入りました。最後の7試合で9ゴール。クラブワールドカップをきっかけにリフレッシュしたフォーデンも、ガナーズ戦以降は6戦8発です。

苦しい試合で決め手となったギュンドアンの攻め上がりを失ったチームは、強烈なミドルを連発したフォーデンと、巧みなカットインから4ゴールをゲットしたグヴァルディオルが穴を埋めてしまいました。最後の9連勝は、トータル31発のゴールラッシュ。デブライネの5アシストと、中盤のコントロールに貢献したコヴァチッチも見逃せません。

関係者に対して緻密な取材を重ねたサム・リー記者は、「出番を得られないと不機嫌になるマフレズとラポルテが去り、ドレッシングルームは穏やかになった」「プレミアリーグを制するうえで、CLの撤退はプラスに作用した」と指摘しています。オルテガのビッグセーブがなければ窮地に追い込まれていたスパーズ戦は、バイエルン戦とトレードオフだったのかもしれません。

23試合連続無敗で、これでもかと勝利を重ねても、アーセナルとは2ポイント差。壮絶な優勝争いは、まさに紙一重でペップに利する着地となったようです。トレブルに続いて4連覇という偉業を達成した指揮官は、何を目標として戦うのでしょうか。FFP違反の容疑に白黒がつくのは2025年の春といわれていますが、さすがの名将も主導権を握れない裁判という勝負が惨敗となれば…。

すべてを手に入れた彼にとって、2024-25シーズンは最後のステージとなるのかもしれません。エキサイティングな優勝争い、素晴らしい決着でしたが、エヴァートンとノッティンガム・フォレストのみが複数回のペナルティを受けたことで、グレーのしみを拭えないシーズンとなったこともまた事実です。今はただ、頂点に立った指揮官と選手たちに拍手を送るのみではありますが。


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