6連敗で指揮官解任の噂も…クリスタル・パレスを巣食う「パーデュー・シンドローム」はいつ終わる?
プレミアリーグ5位の21ゴールは、既に5ゴールのベンテケと、パイェに次ぐクロス本数94本のタウンゼント獲得が正しかったことを物語っており、クロス数No.1を誇るサイド攻撃は機能しています。問題は守備です。26失点は、最下位ハル・シティと2点差で下から2番め。そのうち18失点を6連敗中に喫しており、10月以降のクリスタル・パレスを端的にいえば、「2点獲って3点獲られるチーム」。なぜ、こんなことになったのでしょうか。昨季からの経緯を平易に語れば、こうなります。
2015-16シーズンを15位で終えたクリスタル・パレスは、得点39で失点51。失点数は7位ウェストハム、8位リヴァプールとさほど変わらず、数字だけ見れば問題はプレミアリーグ17位の得点力のほうにあります。前線にベンテケとタウンゼントと代表クラスを足し、後ろはウェストハムから獲得したトムキンスとGKマンダンダのみという補強は一見、妥当です。しかしこれは、「森を見て木を見ず」だったのかもしれません。このチームの根本的な問題は、攻撃と守備がそれぞれどうこうではないところにあったのではないでしょうか。みなさんは、「パーデュー・シンドローム」という症状をご存じ…なわけはないですね。私が秘かにそう呼んでいるだけですので。これは、3年に1回周期的に襲ってくる奇病で、パーデュー監督のチームは、ある日突然まったく勝てなくなるのです。
2006-07シーズンのウェストハムで8連敗。2008-09シーズンのチャールトンと2011-12シーズンのニューカッスルでは8試合勝利なし。昨季のクリスタル・パレスはさらに重症で、ボクシングデーからの14試合を5分9敗と勝利なし。5連敗で始まった年明けからの12試合で全体の半数以上となる26失点を喫しており、それでも降格しなかったのですから、1試合平均1失点以下だった前半戦がいかに素晴らしかったか。ちなみにニューカッスル時代の8戦未勝利は、開幕11戦無敗の後でした。あまりにも極端な天国と地獄が交互にやってくるのが、パーデュー軍団の常なのです。
最大の理由は、「見た目インテリ、中身は武闘派」のパーデュー監督が、チームが悪くなってもやり方を変えずに、選手に一層のファイトを求めるからでしょう。機会あれば、5-4の撃ち合いで敗れたプレミアリーグ13節、スウォンジー戦の追加タイムを見ていただければと思います。3-4でリードして90分を終えながら、追加タイムにジョレンテに2発喰らって大逆転負けとなったゲームだったのですが、クリスタル・パレスの守備陣は完全にパニックに陥っていました。決勝ゴールのシーンを平易に描写すると、「FKから最前線に出たロングボールをヘッドで落とされ、落下点に入ったジョレンテがプッシュした」となるのですが、DF4人がジョレンテを囲みながら誰も当たりにいかず、その後方ではスワンズの選手が2人もフリーになっていました。熱血監督が気合いを注入すると、いいときは選手が実力以上のパワーを絞り出して勝ち続けるのですが、糸がぷっつり切れるとピッチをさまようゾンビ状態になります。そんなチームにアイデアを授けず、さらに気合いを注入したら…膨らみ過ぎたものはいつか弾けるのが、世の慣わしです。
さて、Xデーはいつでしょうか。…すみません、誤解を招く表現でした。私が申し上げたいのは、「パーデュー解任の日」ではなく、「パーデューシンドロームがおさまる日」のほうです。今週末は、ホームながらも相手はセインツ。EFLカップでアーセナルに完勝し、意気が上がる堅守のチームからは勝ち点1が精一杯ではないでしょうか。となると、15節の「逆シックスポインター」ハル・シティ戦ですね。これを逃すとマンチェスター・ユナイテッド、チェルシーと続き、いよいよ解任Xデーという話になってしまいそうです。いや、その前に、ハル・シティに完敗したら…。
ここは何としても勝ってください。毀誉褒貶ありながらも、好調時には素晴らしいサッカーを見せてくれる名物監督には残っていただきたいのです。とにかく気合いで…と、これがいけないんですね。冷静なラインコントロール、的確なポジショニングによる今季プレミアリーグ初のクリーンシート勝利を期待しております。「パーデュー・シンドローム」は、ネーミングが地味ですね。ここはひとつ、時流に乗って「Panic of Premier-league by Alan Pardew」はいかがでしょう。四文字で略すと…。
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早く落ちてもらいたいです
おはむさん>
どうなるか、まったくわかりませんね…。