イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

激痛!サンティ・カソルラ3ヵ月離脱。アーセナルは「いつもの失速」を避けられるか?

これは痛い!アーセナルのサンティ・カソルラが、スウェーデンで右足底腱の手術を行うことになり、3ヵ月離脱と発表されました。10月19日に開催されたチャンピオンズリーグのルドゴレツ戦で負傷したセントラルMFは、当初は復帰までさほどかからないと見られており、1か月後のプレミアリーグ12節、マンチェスター・ユナイテッド戦の欠場がニュースになったぐらいです。開幕当初からメルテザッカーとウェルベックこそ欠いていたものの、シーズンが始まってから3ヵ月は長期離脱者ゼロ。例年になく戦力が充実していたヴェンゲル監督のチームは、またも主軸を失ったままで戦うことを余儀なくされます。

昨季のカソルラは、11月末のノリッジ戦でじん帯を損傷し、プレミアリーグ出場は15試合に留まりました。9月末からのプレミアリーグで5連勝を飾り、チャンピオンズリーグではバイエルン・ミュンヘンに勝利したチームは、カソルラ離脱直後の12月こそ踏ん張ったものの、年明けから失速。今季の彼は、開幕のリヴァプール戦は途中出場でしたが、その後先発したゲームでは負けなし。チームは8月末からプレミアリーグ6連勝を飾っており、その間16ゴールと攻撃が好調だったのは、カソルラが崩しのバリエーションを広げていたからです。8節までのクロス本数39本は、チーム1位。アレクシス・サンチェスの偽トップ戦術がはまり、ロングボールを使わなくなったチームのなかで、攻撃にアクセントをつけてくれるスペイン代表MFの存在は重要でした。レスターに優勝をさらわれた昨シーズン、カソルラがいないゲームで勝率5割を切っていたガナーズは、同じ停滞を繰り返すわけにはいきません。

さて、アーセナルは、今後どうなるでしょうか。1年前と比較すると、ポジティブな要素とネガティブな状況がそれぞれあります。明るい材料は、セントラルMFの充実です。1月に加入し、プレミアリーグによりフィットしたエルネニーと、チームにダイナミズムをもたらすことができるグラニト・ジャカがいるのは大きな違いです。ラムジーまでカウントすれば中央に4人いる現在のチームは、年明けからのプレミアリーグ10試合で3勝4分3敗と崩れた2015-16シーズンの失敗をなぞらなくてもすむのではないでしょうか。

一方で、最大の不安は、ライバルが明らかに強くなっており、さほど負傷者を出していないことです。昨季の年末年始は、マンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールが野戦病院と化しており、チェルシーのモウリーニョ監督は不振から脱却できずに辞任。一方、現在はコンテ、ペップ、クロップの3人が負けないチームを創り上げており、2ヵ月以上離脱する選手はひとりもいません。マンチェスター・ユナイテッドはエリック・バイリーが復帰間近で、チェルシーの最終ラインにはズマが合流します。リヴァプールのコウチーニョは年明けには戻ってくる見通しで、今のコンパニは「いればプラス」という状態でしょう。2016-17シーズンは、あれだけ勝ち点を落としたアーセナルが2位でフィニッシュできた前年とは違う展開になるはずです。

最近のヴェンゲル監督は、復帰したラムジーの居場所探しにやっきになっているように見えますが、今急ぐべきはジャカの定着ではないでしょうか。プレミアリーグでスタメン6試合ながら、エジルと3つしか違わないスルーパス7本を記録している攻撃センスあふれるMFが、中盤を仕切れるようになれば、カソルラの穴は埋まるでしょう。選手を試す場は、チャンピオンズリーグ最終節の消化試合として、ハマーズやストークとの対戦では、スイスから来た大型セントラルMFをできるだけ長い時間プレイさせたほうがいいと思います。当面のベストメンバーは、この顔ぶれではないでしょうか。GKチェフ、DFガブリエウ、ムスタフィ、コシールニー、モンレアル、MFジャカ、コクラン、エジル、ウォルコット、イオビ、FWアレクシス・サンチェス。アーセナルにはぜひ踏ん張っていただき、マンチェスター・ユナイテッドとトッテナムも合流して壮絶な優勝争いと椅子取りゲームが最後まで展開されることを望みます。…が、TOP3は落ちてきそうにないですね。この稿は、今季プレミアリーグの優勝争いが「3」なのか、「4」なのかというお話をしているのかもしれません。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“激痛!サンティ・カソルラ3ヵ月離脱。アーセナルは「いつもの失速」を避けられるか?” への5件のフィードバック

  1. tomo より:

    更新ご苦労様です。

    ご指摘の通りカソルラの長期離脱は致命傷に成り得ます。それを避けるための鍵はジャカが
    握っていると私も思います。マンチェスター勢なら冬に補強するという話になりそうな気も
    しますがベンゲルはそういうことはしないでしょうね。これからも不可解なほどラムジーに
    こだわり続けることになると私は思っています。

    そういえば・・・冬にウィルシャーは戻せないんですかね?

  2. 新参 より:

    ジャカはボックス・トウ・ボックスという発言が以前ありましたが、今そういう選手なわけではなくて、将来こうなって欲しいということだったのではないかと思います。
    確かに、ジャカはいいパスを持ってはいるものの、安全なパスコースにいることを優先する傾向にあります。したがって、ボールホルダーより後ろに陣取ることが多くなってしまいます。
    ベンゲルはいいロングパスをさらにいかすために周りとのショートパスの交換もうまくなって欲しいのだと思います。

    カソルラの代役はジャカにしかできないと思っているので、是非とも大暴れして欲しいものです。

  3. ひとっちゃん より:

    変えが効かない2箇所が怪我で離脱です。
    個人的にはベジェリンの年内復帰も怪しいと
    見てます。
    カソルラの代役は攻守のセンスを考えると
    おっしゃるとおりジャカしかいません。先日の
    ボーンマス戦後半のように広い範囲をカバー
    出来れば、カソルラの正式な後継者になれると
    見てます。
    後は、ボスの変なこだわりグセが発動しない
    ことを祈るばかりです。

  4. ヤンガナ大好き! より:

    カソルラ、今期絶望かと思います。年齢、今後の契約を考えると真剣に後継者育成が必須だと思います。

    ジャカには本当にこれからもっとプレミアにフィットして活躍して欲しいですが、残念ながら彼がカソルラの後継者はなるのは難しいと思っています。正直、これほど利き足でない右足が使えない選手とは思っていませんでした。カソルラとは異なったタイプのロングフィードとボール奪取に長けた大型ボランチになって欲しいです。

    自分はボーンマスでワンタッチパスサッカーを再習得中のジャックこそ彼の後継者だと思っています。両脚がある程度使え、ドリブルも巧みなジャックが、ボールを持ちすぎたり、熱くなりすぎる悪い癖をハウ監督の指導で改善すれば、最適だと考えます。今期中のレンタルバックは難しいかと思いますが、生粋のジャックこそがカソルラの後継者となってくれることを自分はグーナーとして期待します!

    週末のリバプール対ボーンマス戦でジャックの成長度を確認しようと思っています。

  5. makoto より:

    tomoさん>
    ウィルシャーは無理でしょうね。ボーンマスに必要な選手になってます。

    新参さん>
    同感です。一方で、キャリックのように後ろから凄いパスを出しまくる、という道もありますね。シュート力があるので、下がり過ぎないほうが貢献度は上がると思いますが。

    ひとっちゃんさん>
    みなさん、こだわりグセ(フラットにいえば、「信じてガマンして使う」)を気にされてますね。ジャカにこだわり出せば、丸くおさまるんですけどね。

    ヤンガナ大好き!さん>
    利き足、器用さではカソルラに負けるかもしれませんが、ジャカは違うタイプのスケールの大きいセントラルMFになってくれるのではないでしょうか。ウィルシャーと比べると悩みますが、上背があってフィジカルが強いのは有利だと思います。

コメントを残す