次につながるナイスゲームだった…フランク・デブールが4戦ノーゴールで無念の解任!
クリスタル・パレスの前任者は、ママドゥ・サコに助けられて何とか残留を果たしたサム・アラダイス。ハイプレス、ポゼッション、コレクティブといった言葉で形容されるフランク・デブールのサッカーとは真逆の監督です。このクラブの攻撃陣が戦術的な理解度が高くないことは、あらかじめわかっていました。昨年のボクシングデーにパーデュー監督の後を継いだアラダイスさんもまた、最初の5試合を1分4敗、わずか2ゴールと厳しいスタートを強いられています。
リヴァプールでクロップサッカーになじめなかったベンテケ、マンチェスター・ユナイテッドでうまく機能しなかったザハ、フランク・デブールの下で今までより低いポジションに戸惑っていたパンチュンなどは、ある程度自由を与えつつ、時間をかけて戦術をインストールしないといけない選手の代表格です。スティーブ・パリッシュ会長の最大の過ちは、ここにありました。フォス・メンサー、リーデヴァルト、ロフタス=チークなど3列めより後ろはまずまずの補強をしたチームは、フランク・デブールが動かしやすい前線の選手こそ獲るべきでした。プレミアリーグ屈指のドリブラー、ザハが開幕戦の後、リタイアしてしまうという不運もありました。キャバイェを活かしきれず、前で動くタレントに乏しかったチームが、しばらく苦戦するのは自明でした。
今回の解任劇について、私は急激にチームを変えようとしたフランク・デブールのフレキシビリティの欠如が原因とみていました。しかし昨日、あまりにもせつなかったバーンリーとのラストゲームをリプレイで見て、少し考え方が変わりました。開始3分、イ・チョンヨンがバックパスをクリス・ウッドにプレゼントしてしまい、ダイレクトで無人のゴールに流し込まれる苦しいスタート。監督の采配が及ばない事故のような失点で、ただでさえアウェイのクリスタル・パレスに強いプレッシャーがかかります。
しかし、フランク・デブールのチームはここから戦いました。アラダイス時代を思い出させるベンテケへのロングフィードをみて、オランダ人監督は決して自らのスタイルを押しつけるばかりではないことが見て取れました。6分にはセットピースで素晴らしいトラップを見せたスコット・ダンが左隅を狙いますが、枠の中にいたDFにクリアされます。彼は終盤にも同じようなクロスを同じ場所でトラップして、GKの脇を抜いたシュートをタルコフスキにブロックされています。初めてこのチームを観た人は、開幕からノーゴールでプレミアリーグ未勝利とは思わないでしょう。
アグレッシブに仕掛けるタウンゼントはシンプルなプレイを心がけており、ベンテケに合わせるアーリークロスはチャンスになりやすいことを再確認します。空中戦の勝利数で昨季プレミアリーグNo.1だったベンテケは、やはり危険です。必死に攻めながらもゴールが奪えず、1-0のまま終盤戦に突入すると、最終ラインの選手はアラダイスさんの顔が浮かんだかのように17番にロングフィードを集めます。
79分、ベンテケが競ったボールがマッカーサーに渡り、ラストパスをもらったエースストライカーがドリブルで突破すると、ヒートン負傷の後を受けたポープと1対1となるもシュートはGKにヒット。89分、最後のチャンスはこれぞアラダイスサッカーです。フォス・メンサーの長い放り込みにベンテケが競り勝って落とすと、ボックス右に流れたキャバイェが優しいクロス。スコット・ダンはヘッドで前にプッシュするだけでしたが、DFを気にしたのか左に外してしまいました。いいときの彼らに戻りつつあったチームは、冷静さだけをロッカールームに置き忘れ、再三の決定機を活かせず。指揮官にイングランドで味わう初めての歓喜を届けられませんでした。
強引なチームづくりを反省した指揮官が選手たちの強みを取り入れたフットボールを展開しているのではないか…。負ければプレミアリーグ降格という大事な試合のように闘志をむき出しにしてプレイしている選手たちを見て、私は新監督の巻き返しに期待したいと胸が熱くなりましたが、パリッシュ会長はそうではなかったようです。既に後任の人選を進めていると報じられていたトップは、開幕3試合で下した指揮官解任という決断の正しさを確認しに来ただけだったのかもしれません。
アラダイスが辞めなければ監督を探す必要がなかった会長と、プレミアリーグで勝ちたいと1年前のリベンジに燃えていた指揮官。何度もテーブルをはさんで会話を重ね、合意しながら、2人は違う未来を描いていたのでしょう。チームの改革を名将に託して腹をくくるほどの器の大きさは、サウスロンドンのクラブの経営陣は持ち合わせていませんでした。フランク・デブールにぴったりだったのは、クリスタル・パレスよりも格段に野心が強いサウサンプトンなのではないでしょうか。若い選手が多く、監督が代わっても守備陣がさほど崩れないチームで、ウォード=プラウズを本格的にブレイクさせつつシムズ、ブファル、ホイビュルグを育てたかもしれないと思うと、悔しさがこみ上げてきます。あのエリクセンを世に送り出した育成上手の若き指揮官が、こんな形でプレミアリーグを離れるのが、とにかく残念です。(フランク・デブール 写真著作者/Saskia Bosch van Rosenthal)
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
結果を出さないといけないのがプロの世界だとは重々承知してはおりますが、あまりにも早い解任劇でしたね。デ・ブールの何かを変えたいと意思は素人目に見ても感じて取れたので、後2試合、1試合で劇的な変化があるのではないかと思っていたので残念です。もっと残念なのは、後任がロイホジソンになりそうなことです。これではクリスタルパレスはいつまで経ってもクリスタルパレスのまま。経営陣はそれで良しと判断したのかもしれませんが、デ・ブールが就任した時の「また楽しみなチームが増えるな」という期待を返して欲しいですね笑
ザハがユナイテッドに合流したのは、ファーガソン監督が勇退されてからですよ、それにベンテケもザハも戦術理解度が低い選手とは思いません。ザハはファン・ハールがまったく彼の事を見てなかったから退団を余儀なくされただけですし、ベンテケはクロップと合わなかっただけだと思います。もっとも前線で得点を決めるより、相手を追いかけ回す事を優先する監督に合うCFは世界中探してもあまりいないと思いますが
更新ご苦労様です。
このゲームはデ・ブールの動向もありゲームをチェクしました。連敗中のチームとは思えないほど気持ちの入ったゲームでしたし、ベンテケにボールを集めゴールを目指すアラダイス方式がやはりこのチームには合っていると思いました。ただ惜しいですね、デ・ブールの目指すサッカーは面白いと思いましたが、このチームの選手には合っていなかったのかもしれません。パレスはどうするのでしょうか?そしてデ・ブールの次が気になります。インテルとパレスで失意を味わったオランダ人の今後が気になります。やはり母国で再出発でしょうか、、、。
なんで
まったく関係ないチームの記事のコメント欄でうちのチームがディスられないかんのですかね?皮肉だとしてもまったく面白くもないし不愉快極まりないですね。管理人さんにはしっかりと注意してもらいたいです
ベンテケについては強力なストロングポイントありますからね。前チームのフロントと監督の意志疎通できなかった被害者だと思ってます。
ズラタンにひたすら前からプレス掛けさせて個性発揮できるのか?と同じようなものかな、と。
This boyさん>
ひと頃のスワンズのような個性的なチームがえきるのか?と思ったのですが、今のメンバーならホジソンという選択は悪くないかもしれません。就任時にお互い無理をした結果なのかもしれません。
プレミアリーグ大好き!さん>
すみません。ファン・ハールと書いたつもりでした。ありがとうございました。訂正させていただきました。彼らが戦術的理解が低いとは思いませんが、過去経緯から、約束事が多いスタイルのなかでは時間がかかるという認識がありました。ベンテケは、もう少し時間があれば、クロップ戦術のなかで機能する道もあったのではないかと今も思ったりします。ちなみに「前線で得点を決めるより、相手を追いかけ回す事を優先する監督」とはどなたのことですか?
Mackiさん>
いい試合でしたよね。インパクトが強い解任が続いたので、欧州は一時的に手が出しづらくなっているかもしれませんが、母国では喜んで迎えるチームもあるのではないでしょうか。
にわかサッカーファンさん>
2番めのコメントの方ですか?どの監督のことをいっているのでしょうね。お嫌いな監督がいるようですが、クラブのことをディスってはいないようですね。本論と関係ないところで明確に中傷されてる方がいれば、お声がけいたします。
プレミアリーグ大好き!さん>
被害者かどうかはわかりませんが、ヴィラ時代はアグボンラホルやヴァイマンとの速攻が冴えていたので、レッズでもやりようはあったと思ってます。
この試合のパレスの戦法をデ・ブールの柔軟性と見ますか。なかなか面白いですね。
私はベンチで不安そうに座っているだけのデ・ブールを見て、自分のスタイルはもう放棄しますという白旗宣言のように感じ残念に思いました。
選手は慣れたキックアンドラッシュ戦術でやりやすそうでしたが、ベンチワークは交代要員の人選も含めてイマイチだったようにも思います。
左右ウィングの入れ替えやパワープレーのオプションもなく、この2週間で柔軟に戦術を練り直したと評価するのは不十分のような気もします。
クラブ首脳陣はキックアンドラッシュのスタイルを脱却したいと思いデ・ブールを招聘したはずですが、結局アラダイスと同じ戦法を選択したデ・ブールは、この試合でゴールが生まれ勝ち点1を持ち帰っていたとしても解任されたのではないかと思います。
今季のこれまでのパレスのリーグ戦4試合はすべてフルで見ましたが、個人的には守備戦術と人選がちぐはぐで解任もやむなし、かなと思います。
ノーゴールも深刻ですが、ハダースフィールドとスウォンジー相手のホーム2試合で5失点もなかなか深刻だと思います。
中盤の深い位置に攻撃的な選手を並べるなら、もっと守備時の約束事をしっかり決めるか、最終ラインにお互いの特徴をよく知る選手を配置し連動性のあるカバーリングをさせるべきだったように思います。
一方、スウォンジー戦の3-5-2でタウンゼントの中央起用はデ・ブールらしいアイディアで、フォーメーションに慣れてベンテケ・タウンゼント・パンチョンの縦関係の連携が良くなれば機能しそうな予感がありました。
タウンゼントはコンディションも良さそうだったので攻撃のコンセプトはこのままで、サコを加えて守備を改善してほしいなと思っていたので、方針転換から解任の流れはとても残念です。
デブール監督就任時「パレスでTOP10フィニッシュを成し遂げ、TOP6の監督にキャリアアップする」と豪語していたのと同じ方が書いた記事とは思えませんね…
COYSさん>
「とにかくこの一戦を勝ちたかった」、その一心で選んだ打ち手だったのではないでしょうか。ずっとこの形で戦おうとまでは考えていなかったのでは?と思います。強引さを反省してまずは結果を出し、そのうえであらためて徐々に…とやれれば、今までとは違うクリスタル・パレスが見られたかもしれないと思うと、やはり残念です。
プレミアリーグ大好き!さん>
よく読んでいただき、ありがとうございます。以前にそう書いたのをご存じの方に読んでいただけるといいなと思い、「新監督の巻き返しに期待したいと胸が熱くなった」「残念」と書きました。いざ始めてみたら、監督の構想はうまく現場に伝わらず、経営陣と監督の間にギャップがあった…それらを折り合わせる時間をもらえなかったというお話で、とても悔しいです。「同じ方が書いたとは思えない」というのはどういうことでしょうね。