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物議を醸したマルセロ・ビエルサの「ゴールお返し」。現地のファンは賛否イーブン!

確かに、アンフェアではありました。2019年4月28日、エランド・ロードで行われたリーズ・ユナイテッドVSアストン・ヴィラ。問題のシーンは、0-0の72分にヴィラのFWコジアが足を引っかけられて負傷したのが発端でした。プレイをやめるようアピールしたヴィラの選手に対して、リーズの最終ラインはパスをまわして突破口を探しています。ハイテンションのままで続けていれば、少なくとも乱闘騒ぎはなかったかもしれませんが、左サイドのタイラー・ロバーツがプレイを止める素振りを見せた後に縦パスを通したことで、話がややこしくなりました。フリーで中央に斬り込んだマティウシュ・クリヒが豪快に右隅に叩き込んだ瞬間、アンフェアだと怒り狂ったフリハンが胸倉をつかみ、プレミアリーグではめったに見られない大乱闘が勃発しました。

リーズMFベラルディとヴィラのCBタイロン・ミングスが、「殊勲の先制ゴール」を決めたクリヒをフリハンから引き離しますが、左サイドで別なもみ合いが続き、レフェリーは混乱を収拾できません。ピッチの中央ではコジアが治療を受けており、タッチラインの外ではヴィラでアシスタントコーチを務めるジョン・テリーが両手を広げて抗議しています。ラインズマンの報告を受けたレフェリーがヴィラのエル・ガジに近づき、レッドカードを提示。アウェイチームは、到底納得できない失点と退場者ひとりという大きなビハインドを抱え、試合は再開されようとしていました。

そのとき、リーズの指揮官マルセロ・ビエルサは、ピッチの脇に立って大声で選手たちに指示を出していました。この試合に勝てば、最終節を残して2位シェフィールド・ユナイテッドとの勝ち点差は3ポイントとなりますが、得失点差は10以上開いており、プレーオフなしのプレミアリーグ昇格はほぼ絶望的です。それでも、この状況に立たされた多くの監督が、そのまま勝利をめざすでしょう。ルール上は明確にゴールです。フェアプレー云々という批判に耳を塞いで、20分ほどの残り時間をやり過ごせば、最終節の奇跡に一縷の望みを託すことができるのです。

モハマディとアドマーが、キックオフをしようとしています。ビエルサ監督は、念を押すように選手たちを怒鳴りつけています。彼の意向は、相手チームの耳にも届いていたのでしょう。ホイッスルが鳴った直後に2人の選手はぴったりくっついて並走し、アドマーがドリブルでボールを前に進めます。指揮官の厳命を受けたリーズの11人は誰も動かず…いや、ひとりだけ反抗する選手がいました。CBヤンソンがアドマーをチェックしますが、GKカシージャは持ち場を離れており、無人のゴールに1-1となるシュートが転がります。

ベンチに抗議するヤンソンをアドマーが後ろから小突き、またもエラント・ロードに不穏な空気が流れますが、ここでもベラルディが味方を落ち着かせ、次のキックオフが行われました。その後リーズは勝ち越しゴールを得られず、シェフィールド・ユナイテッドのプレミアリーグ昇格が決まりました。経緯はどうあれ、手に入れたリードを返上してドローに終わるリスクを受け入れるという決断は、誰でもできるものではありません。試合後、現地メディアの記者に「みなさんが見たまま。あれが事実であり、すべてだ」と語った指揮官は、フェアプレー精神なのか事態の収拾を図ったのかと問われると、「私にはその2つの違いがわからない。同じことだ」と返しています。

「イングランドサッカーは、気高いプレーをすると世界に知られているだろう」

多くのメディアに「変人」と書かれ続けたビエルサ監督は、昨夏にリーズのオファーを受けてからも、数々のエピソードを紹介されています。「芝の長さに異常にこだわる」「選手たちに毎日3時間もトレーニング施設を掃除させる」「練習場に自分のベッドルームとキッチンを設置」…!年明け早々、ダービー・カウンティの練習場に派遣したスパイを発見された際には、「20年来やってきたこと。ランパード監督にフェアじゃないといわれたが、私にとってはフェアとか正しいとかは重要なことではない。しかし彼らがそういうなら、それが大事だ」と事もなげにいってのけています。フットボールで勝つためなら何でもやろうとする貪欲さと、揉めたときには相手の言い分をあっさり通す軟弱外交のアンバランス…今回も、これぞビエルサ!と叫びたくなる痛快なシーンを見せてもらいました。

「スカイスポーツ」が土曜日に放映している「Soccer AM」の公式ツイッターが、この件についてファンにアンケートを実施しています。「リーズがプレイを続行してゴールを決めたのは正しいといえるか」は、59%がイエス、41%がボールを外に出すと回答。「If you were Marcelo Bielsa, would you have made your team let Aston Villa score?(あなたがマルセロ・ビエルサだったら、ヴィラにゴールを決めさせるか)」という問いに対しては、50:50と真っ二つに分かれました。「レフェリーが止めていないので、リーズのプレー続行はおかしくない」というのは正論なのですが、ロバーツが止めようとしたという1点で「外に出す」のほうに手を挙げたくなります。

WBAが最終節で勝ち、リーズが負ければ、4位と5位がぶつかるプレーオフ1回戦はリーズVSヴィラというドローです。ホーム&アウェイのファーストレグでリーズが0-1で敗れ、次戦で同じシーンがあったら、マルセロ・ビエルサはプレミアリーグ昇格よりもフェアプレーを優先するのでしょうか。きっと、するのでしょうね…。そのときは、指揮官に反対するのはヤンソンだけではなさそうですが。

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“物議を醸したマルセロ・ビエルサの「ゴールお返し」。現地のファンは賛否イーブン!” への1件のコメント

  1. アイク より:

    更新ありがとうごさいます。
    フェアプレー精神だと答えていれば、もっと賞賛されたと思いますが、やっぱり面白い監督ですね。ぜひプレミアで観たかったので残念です。
    ただサポーターの無念も分かりますが、残り20分、10人相手に追加点を奪うチャンスはあったので、この「ゴールお返し」ばかりに試合結果の原因を求めるのもこれまたアンフェアですよね。

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