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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ罰金対決!「アラン・パーデュー頭突き事件」VS「ピューリス自軍FWに激怒事件」

何だかんだで、ラテン系の他国リーグと比べると、プレミアリーグはフェアでクリーンです。先日のサウサンプトン戦では、最近あまりのプレイの素晴らしさに誰も大っぴらには指摘しなくなった「名優スアレスのPKいただき大作戦」が見事にはまり、3点めのPKをジェラードがゲット(レッズサポーターのみなさん、申し訳ありませんが、VTRを見ると明らかに自分から足をかけてます)。このウルグアイ代表の天才やアシュリー・ヤングなど、微妙なダイビングの常習犯は当地ではごく一部です。

昔からフェアプレイに対する要求が高く、正当性の高いハードタックルについてはレフェリーもぎりぎりまで獲らないプレミアリーグ。そんな伝統とカルチャーがあるからこそ、この2つの罰金事件が大きな話題になっているのだと思います。

ひとつは、ニューカッスルのアラン・パーデュー監督の頭突き事件。3月1日のハル・シティ戦で、眼の前にこぼれてきたボールのスローインを巡って、相手MFデイヴィッド・メイラーと口論になったパーデュー監督は思わず頭突きをかましてしまいました。1-3で勝っている試合で、何をそんなに熱くなることがあったのでしょうか。昔から「注意1秒、ケガ一生」などといいますが、この一瞬の激情は、おそらく当事者の想像以上に高くついたのではないかと思われます。FA(イングランドサッカー協会)の調査と処分に先がけて、ニューカッスルがパーデュー監督に下したペナルティは、罰金10万ポンド(約1700万円)!クラブからレッドカードを突きつけられては、さすがの監督も抗議のしようがありません。

この話を「プレミアリーグらしい」と感じたのは、2011年8月にスペインで起こった「モウリーニョ目つぶし事件」を思い出したからです。スペインスーパーカップのレアル・マドリードVSバルセロナ、セカンドレグ。試合中にマルセロがセスクに危険なタックルを仕掛けたということで険悪な雰囲気になり、モウリーニョ監督は倒れているセスクに蹴りを入れるジェスチャーをし、あろうことかバルサのアシスタントコーチだったティト・ビラノバ氏に目つぶしを喰らわせたのです。ライバル対決とはいえ、まだ開幕直後。なぜそんなにエキサイトしてしまったのでしょうか。しかも、モウリーニョ氏はその後のインタビューで、「●ト・ビラノバなどという人物は知らない(現地の言葉ではあんまりな下ネタなので、伏字にしました)」とわざわざかぶせるという挑発的な言動に出るなど、反省の色はまったくなしです。

この時のスペインサッカー連盟の処分は、2試合のベンチ入り禁止処分とわずか600ユーロ(約6万1000円)の罰金。しかも、出場停止は「スペインスーパーカップにのみ適用」です(意味なし…)。証拠不足というのがこの軽い処分についての連盟の言い分ですが、Youtubeに映像がUPされたぐらいなのに…。

これに比べれば、1700万円をニューカッスル自らが徴収しただけでなく、クラブOBのアラン・シアラーが「辞任すべし」と発言しているプレミアリーグの厳しさは格段に上。シアラーは、

「今後、彼の選手が誤った行動をしたら、アラン・パーデューは選手に何がいえるんだ?彼がこの事件で辞任したとしても、私だけでなく誰も驚かないだろう。本人が辞任したくないとしても、クラブは彼に”われわれが解任するより自分から辞任した方がいい”といっているかもね。パーデューがニューカッスルで仕事を続けていくのは難しいと思う」

といっています。うーん、辞任まですべきかどうかは議論の分かれるところですが、「選手に示しがつかない」という意見は正論すぎて、おっしゃるとおりとしかいえません。

そんななかで、ほぼ時を同じくして罰金の話題で報道されたプレミアリーグの監督がもうひとりいました。クリスタル・パレス監督のトニー・ピューリス。昨年まで、ストークでロングスローと放り込みサッカーを徹底し、アーセナルやリヴァプールをいじめていた、あの名物監督です。彼が報じられたのは、パーデュー監督とは真逆ともいえるお話で、「ファールをもらうためにわざと何度も倒れたMFトーマスとFWシャマフに自ら罰金を科した」からです。ピューリス監督は、こうコメントしているそうです。

「彼らには罰金を払ってもらうことにした。あれは病気だ。わざと倒れてファールをせびるのは一番やめてほしい行為だ。それは正しくないと理解させないといけない」

今季序盤に、モイーズ監督やモウリーニョ監督も「選手にはダイビングはするなと言い聞かせている」とコメントしていましたが、自主的にペナルティを与えたと報道されたのは、ピューリス監督が初めてでしょう。これまた、正論。ピューリス監督、素晴らしいです!

サッカーの世界では、DFがユニフォームを引っ張り、どうしても勝ちたいFWがちょっとした接触で大げさに倒れるというシーンが日常茶飯事で繰り広げられています。これらについて、すべてを厳罰にすると選手がどんどんピッチを去ってしまい、おもしろさが失われてしまうので、さじ加減が難しいのもまた事実。先日のヨーロッパリーグでもみ合いからトッテナムのフェルトンゲンが倒れ、ドニエプロが10人になったシーンは、ジャッジの不透明もあり、後味の悪さが残りました。とはいえ、あからさまな暴力とずるい行為は、撲滅していかないといけません。

プレミアリーグは、フェアプレー精神が根底にしっかり流れており、監督たちがそれを実践しているところがいいですね。パーデュー監督は、昨季も副審を突き飛ばしてベンチ入り禁止となっており、情状酌量の余地はありません。解任するかどうかはニューカッスルマターですが、こういうときは、ちゃんと選手たちを前にして詫びを入れ、オフィシャルな会見で説明責任を果たすなど、最低限のけじめはつけないといけないと思います。ところでモウリーニョ氏は、改心したんですよね?チェルシー監督就任時に「プレミアリーグのフェアなところが好きだ」といっていたと記憶しておりますので、以前の狼藉については猛省しており、二度としないはずという認識です。大丈夫ですよね?しつこくてすみませんが、あなたには長きにわたってプレミアリーグにいてほしいので、念のため。(トニー・ピューリス 写真著作者/Add92)

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“プレミアリーグ罰金対決!「アラン・パーデュー頭突き事件」VS「ピューリス自軍FWに激怒事件」” への5件のフィードバック

  1. プレミア大好き! より:

    全然関係ないですが、スアレスの違約金問題についてどう思われますか?
    けっこう騒がしくなってきているように感じます。

  2. イレブン より:

    プレミア大好き!さん>
    「スアレスが希望すれば、4000万ポンドの違約金を払ったクラブには移籍できる」という話で、「結局スアレスは残留を選んだので、アーセナルの4000万1ポンドのオファーは実現しなかった」という認識でしたが、違うんですかね?

    ちなみに、元の報道は「4000万ポンド以上のオファーがあった場合は、クラブがスアレス本人に知らせる義務があるという条項」でした。これがイコール違約金だったとしても、クラブに断る権利やスアレスを説得する権利はあるでしょう。「スアレスが移籍したいという意志を変えなければ止められない」というお話だと思います。そうじゃなければ、夏の移籍騒動のとき、代理人が「契約違反だ!」と主張しますよね。

    あくまでも「ここまでの報道からいえること」という範囲ですが、「契約違反など存在しない」でしょう。ましてやスアレスと代理人が知らないなどということはありえない、と思います。

    —–
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    ご検討の程、メールにてお待ちしております。

  3. あああ より:

    私見ですが、ファールをもらいにいく技術というのはあると思うし、これは選手の実力の一つだと思ってます。
    苦しい状況とかだとこれはかなり助かります。
    スアレスはかなり上手ですよね。
    ファールをもらいにいくなんてのは、バスケとかでもよくあります。
    これとダイブの違いは、実際に相手からの接触があるかどうかだと思ってます。
    換言すると、わざと相手にファールさせるってことです。
     
    接触もないのにファールを貰うのはダイブですね。
    これもスアレスはかなり上手い(笑)
    こっちはダメですよね。
     
    しかしダイブはダメなのに、ゴールの際に明らかにオフサイドではないと分かっているのにアピールしたりするのは良いんですかね?(笑)

  4. クロップ より:

    汚いプレーは選手にさせない
    モウリーニョとベンゲルのふたりが大嫌いなプレーですね

  5. makoto より:

    あああさん クロップさん>
    私もあああさんと同意見で、「ファールをもらいにいくのも芸のうち」だと思います。ただし、失敗したときは「せこい」「ヘタクソ」とボロカスに非難されるのとセット、ですが(笑)。野球のキャッチャーが、ボール球を捕るときにミットをストライクゾーンに寄せる、など、審判と選手の駆け引きもプロスポーツの醍醐味のひとつですね。

    ピューリスやモウリーニョ、ヴェンゲルさんがこれを嫌うのは、フェアプレー精神だけでなく、「やりすぎるとチャンスを失うマイナスが多く、チーム全体のクオリティが上がらないから」という現実的な観点によるものだとにらんでいますが、どうなんでしょうね。

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