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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

すべては想定内だった!パリ・サンジェルマン戦でみせた、モウリーニョ采配の真髄!

87分、デンバ・バがスライディングシュートを決め、チェルシーがトータルで勝ち抜けとなった瞬間、コーナーフラッグ付近で喜びを爆発させているチェルシーの選手たちに交じって、最近太り始めた体をゆすってベンチから走ってきたモウリーニョ監督の姿がありました。昨日の、パリ・サンジェルマンとのチャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグのお話です。最初は「よっぽどうれしいんだな」と思ったのですが、よくよく見ると、ポルトガル人指揮官はデンバ・バとF.トーレスに指示を送っています。

このシーンを見たときの私は、「やばい。プレミアリーグに続いて、こっちでもベンチ入り禁止になるぞ」というハラハラが半分、「何を伝えてるのか知りたい」という好奇心が半分でした。そして、試合後のインタビューに答えたモウリーニョ監督のコメントは、多分に私の好奇心を満足させるものだったのです。彼はゲームを振り返り、最後のシーンについてこういっています。

「私が選手たちのもとへ走っていったのは、フェルナンド(トーレス)とデンバに戦術的な変更を伝えるためだ。パリは(CB)アレックスを前線に押し上げてくるだろうから、デンバを最終ラインで守らせたかった。そして、サイドから上がってくるマクスウェルをフェルナンドにカバーさせたかった。後半からの出場で、走れるふたりに守備のミッションを伝えたかっただけだ」

これを聞いて、ゲームの状況を見ながら自らの課題、相手の弱点などを瞬時に判断し、適切な打ち手を講じることができるモウリーニョ監督は、やはり世界一の監督だと思いを新たにしました。昨日のチェルシーは、監督の力量で勝ったのだ、と。

サッカーの世界では、レベルが高くなればなるほど、監督の采配の差によって勝ち負けがひっくり返るゲームが\増えるのではないかと思います。今回のチェルシーVSパリ・サンジェルマンは、そういう試合のひとつでしょう。パリ・サンジェルマンのアル・ケライフィ会長とローラン・ブラン監督が、「昨夜のチェルシーは幸運だった」と考えるならば、彼らのチャンピオンズリーグ制覇はずいぶん先のお話になるのではないでしょうか。チェルシーの勝利は「運がよかった」で片付けられるものではなく、アウェイチームの敗退は必然だったからです。勝負のあやは、ラスト10分に凝縮されていました。81分、モウリーニョ監督がオスカルをF.トーレスに代え、プレミアリーグでもお目にかかったことがないデンバ・バ、F.トーレス、エトーの3トップにスイッチ。その3分後、ブラン監督が動き、ウイングのポジションにいたルーカスをDFマルキーニョスに代えて守備を固めにいった、最後の攻防です。

「パリ・サンジェルマンの敗退は必然だった」といったのは、彼らのここからの守り方が曖昧で、ゴール前に人数はいるものの、ミドルシュートのレンジをきちんとカバーしていなかったからです。ブラン監督の打ち手は、誰が守るかは明確だったものの、どう守るかがはっきりしていませんでした。あれだけ外からシュートを打てる状況を作ったら、互角の状態でリバウンドを争わなければならなくなり、そのいくつかが相手の決定的なチャンスになってもおかしくありません。

一方、チェルシーは、すべてに意志が込められており、用意周到でした。私はこの試合の観戦記で、「モウリーニョ監督の最後の1枚は、驚きのF.トーレス!デンバ・バ、エトーと3枚並ぶのは初めてではないでしょうか」と書き、「モウリーニョの大博打」と見出しを打ちましたが、今回の戦術がギャンブルなどではなかったことが、指揮官とテリーのコメントでわかりました。テリーは「この試合に向けて、1-0、2-1、3-1と異なるスコアのケースを想定して練習してきた」と語り、モウリーニョさんは「この試合で使った3つのシステムの全てを、前日に練習した」といっています。これを聞いて、モウリーニョサッカーの真髄を垣間見た気分になりました。月並みですが、感動です。素晴らしいのひとことです。

ああ、マンチェスター・ユナイテッドにこんな指揮官がいれば、今夜のバイエルン・ミュンヘン戦の結果も、プレミアリーグの順位も違うものになっていたでしょうね。ないものねだりなのは充分承知しておりますが、今回のチャンピオンズリーグでは、ラスト20分までプレミアリーグの2クラブは同じミッションを抱えていたので、よけいに彼我のギャップが目立ちます。いや、もう終わったことです。前を向きましょう。モウリーニョさんがプレミアリーグに戻ってきたことで、彼らに勝つべく全体のレベルが上がり、前回モウリーニョさんがチェルシーで指揮を執った黄金時代のように、チャンピオンズリーグのベスト4にプレミアリーグから2つ3つ残るのが当たり前、となったらいいですね。あらためて、プレミアリーグ唯一の4強クラブとなったチェルシーの欧州制覇を応援したいと思います。高校野球みたいですが、うちの分までがんばってください。何か変ですね。いや、でも、ホントに。

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“すべては想定内だった!パリ・サンジェルマン戦でみせた、モウリーニョ采配の真髄!” への4件のフィードバック

  1. ACOLE より:

    いや~、試合展開に応じた練習をしてる辺り流石モウと言わざるをえませんね
    チェルシーファンとしては彼が帰ってきてくれた事を本当に嬉しく思います!
    話は変わるんですがアトレティコがバルサに勝って上がってきたみたいですがアトレティコとチェルシーが当たった場合クルトワは出れるんですかね?

  2. makoto より:

    ACOLEさん>
    さすが、モウリーニョさんです。クルトワについては、契約次第だと思いますが、おそらくNGなのではないでしょうか。

  3. ACOLE より:

    どうやらクルトワが出場するためには一試合辺り300万ユーロという大金をアトレティコはチェルシーに払わなければならないみたいですね
    アトレティコがこの大金をチェルシーに払うとは思えないのでおそらくは出場しないでしょう
    チェルシーファンとしてはクルトワの成長具合が見れるし、しかも金まで入ってくるので是非とも出場してほしいんですけどね笑

  4. makoto より:

    ACOLEさん>
    UEFAから「金とっちゃダメ」とツッコミ入りましたが、いずれにしてもクルトワの出場は決まりました。

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