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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「調子が上がらなければ今季限りで放出」報道のヤヤ・トゥレ…がんばれ!

イギリスの高級紙「タイムズ」が、11月7日付で「Manchester City prepare to cut losses on troubled Yaya Touré」と題したインパクトのある記事を掲載していました。「昨季ほどのパフォーンマンスを出せていないヤヤ・トゥレの調子が今後上がってこなければ、マンチェスター・シティは彼を放出するだろう。ポスト・ヤヤ獲得の準備は始まっており、以前から噂になっているロス・バークリーやマルコ・ロイスらと交渉するはずである」というお話です。「タイムズ」は、翌日の8日にも「ペジェグリーニ監督は、ヤヤ・トゥレへの信頼をキープしている」という記事を立て続けに掲載。タブロイド紙ほど扇情的ではない見出しには逆に迫力があり、先日のチャンピオンズリーグでマン・シティが本拠地エティハドにも関わらずCSKAモスクワに敗れたことと、大黒柱の退場がいかに衝撃的だったかが窺えます。

チームの調子が悪ければ、中心選手がスケープゴートにされるのはよくあることで、お隣のマンチェスター・ユナイテッドも昨季から今季にかけては、「ルーニーは限界ではないか」「戦犯はファン・ペルシ」など、さまざまな書かれ方をしてきました。昨季のプレミアリーグであまりにも素晴らしかったヤヤ・トゥレが、今季はそれほどのパフォーマンスを見せられていないのは確かですが、キャピタルワンカップのニューカッスル戦を含むここ5試合で、マンチェスターダービー以外のすべてのゲームで複数失点を喫しているスランプの責任を彼ひとりに背負わせるのは酷でしょう。ここ一番でのシュートとラストパス、そしてプレミアリーグでナンバーワンの精度を争う低い弾道の直接FKは健在で、彼のプレイは今季もいくつかのゲームでチームを勝利に導いています。マンチェスターダービーの決勝点も、ヤヤ・トゥレのクルシーへのスルーパスで決まったようなものでした。

とはいえ、マンチェスター・シティがチャンピオンズリーグのグループステージで敗退した場合は、ペジェグリーニ監督の季節は終わり、チームは大きくモデルチェンジするのではないかと思われます。いや、もしかすると、チャンピオンズリーグでベスト4に進出したとしても、ヤヤ・トゥレのユニフォームの色は変わるかもしれません。来季32歳という年齢と、16億円といわれる高額年俸。毎年のように入る代理人ディミトリー・セルク氏からのやっかいな揺さぶり。クラブが、欧州の頂点に立つにはさらなる補強が必要と判断したとき、最後の売り時、資金づくりとばかりにコートジボアール代表を市場に出す可能性はなきにしもあらずです。

ヤヤ・トゥレが売りに出れば、ヴェンゲル監督が「若きヤヤ・トゥレと契約しそこねたことは、自分の最大の失敗のひとつである」とまでいっているアーセナルはもちろん、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドも触手を伸ばすのではないでしょうか。しかし一方で、マン・シティのほうは、直接のライバルであるプレミアリーグ勢を避けて、スペインやパリと交渉したがると思われます。ジェラードやランパードのようにフィジカルが強いヤヤ・トゥレのようなタイプは、30代前半で急激に衰えたりはしないでしょう。クラブが変わってリフレッシュすればなおさら、攻撃も守備もひとりで仕切っているかのような縦横無尽の活躍を、来季以降も観られると思います。彼がプレミアリーグを去り、海の向こうから活躍ぶりが伝わってきたら、複雑な心境でしょうね。

今季のヤヤは、太ももを痛めながら強行出場したワールドカップのダメージから回復しきれていないのかもしれませんね。だとすれば、ヤヤ・トゥレとペジェグリーニ監督のチームは、どこかで再度調子を上げて、昨季見せてくれた圧倒的な強さを取り戻すはずです。ああ、できれば早く、チャンピオンズリーグの灯が消えないうちに…。

実力伯仲の状態なら憎まれ口のひとつも叩きたくなるのかもしれませんが、最近のマンチェスターダービーで何度も美しいゴールを決められ、悔しい思いをしてきたマンチェスター・ユナイテッドサポーターのひとりとして、われわれを見事に倒したライバルには、欧州で強くいてほしいと思うのです。そして、キャリアのピークを迎えているヤヤ・トゥレが、欧州で輝かないままプレミアリーグを去ってしまうのは寂しいのです。一発レッドを受けたヤヤ・トゥレは、グループステージ最終戦のASローマとの戦いには出られるのでしょうか。チャンピオンズリーグで勝ち点を落とせば即終わりという緊張感のなか、「タイムズ」の記事でペジェグリーニ監督が語っているように、チームの柱が強い精神力を発揮して、奇跡に近い大逆転を実現してくれるのを期待しています。

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