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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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偽9番が機能し、堅守は健在…ストライカーを取り損ねたペップのチームが強い理由。

やっぱりペップは、変態です。セルヒオ・アグエロに別れを告げ、ハリー・ケインを取り損なった2021-22シーズン。並の監督なら、ガブリエウ・ジェズスとスターリングをトップに据えて乗り切ろうとするでしょう。ところが、彼の選択はジェズスを右サイド、スターリングもウイング。マフレズとグリーリッシュがいるポジションをわざわざ渋滞させて、偽9番で戦うというマジックを披露しました。

最終ラインを統括するルベン・ディアスを失っても、マンチェスターダービーを4-1で快勝し、チャンピオンズリーグのスポルティングCP戦は余裕のスコアレスドロー。2年前はプレミアリーグ102ゴールと攻撃が看板だった最強王者は、堅守を武器とするチームに生まれ変わりました。公式戦41試合31失点、プレミアリーグは28試合18失点。半分近い20試合をクリーンシートで終えています。

スタッツを見ていて目を引くのは、中盤の選手の得点力UPです。昨季プレミアリーグで23ゴールだったギュンドアン、ロドリ、デブライネ、ベルナルド・シウヴァは、既に24ゴールをゲット。サイドに目を移すと、スターリングは前年の10ゴールをクリアし、9ゴールだったマフレズは早くも2ケタに乗せています。イングランドのフットボールを観るようになってから40年、誰が9番をやっても機能し、どこからでもフィニッシュできるチームなど記憶にありません。

本職のストライカーを中央に置かないチームは、どうやってゴールラッシュと堅守を両立させているのでしょうか。左サイドのジョアン・カンセロとスターリング、グリーリッシュ、右のマフレズ、ジェズスとカイル・ウォーカーあるいはジョン・ストーンズは、ピッチを縦に5分割して適切なポジションを取る5レーンの考え方を忠実に実践しています。

ウイングがカットインしてボックス脇に入るときは、SBがサイドをケアし、インサイドMFは中寄りをフォロー。ウイングがサイドに張ると、SBは中に絞ってパスワークに厚みをもたらします。アグエロやジェズスがゴール前に詰めてワンタッチで仕留める形が減った代わりに、フォーデン、ベルナルド・シウヴァ、デブライネがゴールエリアの外から蹴り込むシーンが増えています。

堅守については、ロドリがむやみに動かずCBの前にいる時間を増やしたことと、守備力があるMFが最前線にいることがポイントでしょう。前で囲んでカウンターを遅らせる仕組みが機能しており、後ろが慌てるシーンが減りました。2020-21シーズンはPKで6ゴールを許していたのですが、今季は1ゴールのみ。ルベン・ディアスがいないゲームも、CBが失点の理由となるシーンを増やさず駆け抜けてしまうかもしれません。

残り試合はプレミアリーグが10、チャンピオンズリーグは5。FAカップが3。クラブに欧州のタイトルをもたらすべく、守備を強化してきたペップは、念願のトレブルを達成できるでしょうか。3つとも壁になる可能性があるリヴァプールとの激戦が楽しみです。


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“偽9番が機能し、堅守は健在…ストライカーを取り損ねたペップのチームが強い理由。” への1件のコメント

  1. ペップの街 より:

    更新有難うございます。今期についてはフォーデンが成長して前線で縦横無尽に動き、守備も手抜きせずに貢献してますね。ベルナルドシルバと絡んで相手守備陣はマークしきれてないです。グリーリッシュも徐々に戦術理解が進み機能してきました。今期こそCL取って欲しいです。

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