イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

チケット販売も選手の売買も禁止。オーナーの資産凍結で不透明になったチェルシーの未来。

ロマン・アブラモヴィッチオーナーのチェルシー売却にストップがかかりました。ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁の一環として、イギリス政府が発動した資産凍結措置。「これによって、チェルシーがいきなり経営危機に陥った」という表現は、決して大げさではありません。

このような事態になったのは、イギリス政府が「アブラモビッチ氏はプーチン大統領と親密な関係にある」とジャッジしたためです。「スカイスポーツ」は、政府の見立てについて、「ロシア政府から優遇措置を受けていることが判明した」「ウクライナを弱体化させ、領土、主権、独立を脅かすことに関与していると認めた」と伝えています。

加えて、「彼が実質的に支配しているエブラズPLCという製鉄会社は、ロシア軍の戦車に使われる鉄鋼を供給している可能性がある」というレポートもあります。チェルシーのオーナーは、これらすべてを否定していますが、イギリス政府は疑惑ではなく事実と判断したというわけです。

さて、ここからは、今回の資産凍結措置がクラブに与える影響について整理していきます。前提は、「ロマン・アブラモヴィッチはお金を使えない・受け取れない」。マッチデーのチケットやグッズの販売は禁止。3月19日に開催されるFAカップ準々決勝のミドルズブラ戦は、チケット発売中止となり、4月2日に行われるプレミアリーグ31節のブレントフォード戦も、アウェイ席のチケット販売がキャンセルされました。

シーズンチケットは、既に更新されているものだけが有効。経済制裁が解除されるまでは、新たなチケットもグッズも販売停止となります。選手の売買もNG。契約延長交渉すらできないため、夏に満了となるアントニオ・リュディガー、セサル・アスピリクエタ、アンドレアス・クリステンセンの未来は不透明です。

「スカイスポーツ」のカヴェ・ソルヘコル記者によると、政府からの指示書には「アウェイゲームの遠征費にいくら使えるか」まで書いてあるとのこと。旅費の上限は1試合あたり2万ポンドで、ホームゲームではセキュリティ、ケータリング、スチュワードに50万ポンドまで使えるそうです。

収入も支出も一切許さないという厳格なスキームが施行されている一方で、クラブに対する短期的な救済措置として、特別プログラムが動いています。これによって保証されるのは、選手やスタッフの給与支払い。制裁はアブラモヴィッチ氏に対するものであり、チームに所属する人たちがその影響を被るのは適切ではないという判断です。

入ってくるお金は、すべてのクラブに支払うことが約束されている賞金やテレビ放映権料のみ。チェルシーにとって、プレミアリーグやチャンピオンズリーグの戦績は、今まで以上に重要です。シャツスポンサーとなっている通信系企業「スリー」は、2020年1月に締結された契約につて見直すと発表しており、同様の話が続出する可能性があります。

現在、ノリッジの本拠地キャロー・ロードにてアウェイゲームが行われています。チャロバーとメイソン・マウントのゴールで、14分までに0-2。セサル・アスピリクエタは、右のWBとしてプレイしています。ブルーズにすべてのトロフィーをもたらしたキャプテンは、フリーエージェントでチームを離れることになるのでしょうか。クラブと選手たちの未来は、誰にもわかりません。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“チケット販売も選手の売買も禁止。オーナーの資産凍結で不透明になったチェルシーの未来。” への2件のフィードバック

  1. n より:

    売却させてから全てを放棄させるつもりかと思っていましたが、売却そのものも取り上げる姿勢には少し驚きました。大幅な制限を受けて、契約終了選手はもとより現有戦力、スタッフ、アカデミーは他チームの草刈り場ですね。この辺り、シェイクスピアの芝居を観ているかのような、権力の恐ろしさを感じます。日本でのPL放送も不透明ですし、少なくともシーズン毎週末の試合が観られなくなるかもしれない絶望感はひどいものです。もちろん戦禍の人々に比べられるものではありませんが。

  2. T より:

    起こっていることがことだけに、オーナーの経歴が経歴だけに、そう判断されたならされたで仕方ないね
    ウクライナの人から見て、オリガルヒの所有するチームは気持ちのいいもんでもないだろう
    ただ、オーナーのこれまでのクラブ、リーグ、フットボールへの愛に疑いはなく、今までのクラブへの関わり方に関しては感謝

    これからクラブがどうなるのか クラブそのものがなくなるなら、自分の中でのフットボールへの情熱は思い出とともに終わり チェルシーあってこそのフットボールへの愛だから 何らかの形で存続さえするなら、サポートし続けるのみ 下のカテゴリーまで落ちると日本からでは情報も中々手に入れにくいかもしれないけど
    once a blue,always a blue.

コメントを残す