2023.05.16 マンチェスター・シティの話題
公式戦22試合連続無敗…マンチェスター・シティが崩れない最大の理由は、とにかく自在な最終ライン⁉
アーセナルが敗れたため、プレミアリーグは1勝2敗でOK。今週末のエティハドでチェルシーに勝てば優勝が決まり、ブライトン戦とブレントフォード戦はコンディショニングの場として使えます。トレブルをめざすマンチェスター・シティは、視界良好。残り6試合のうち、勝たなければいけないのは4つだけです。
最大のハードルは、2日後に迫ったレアル・マドリードとの大一番です。今季のホームゲームは27勝1分1敗。ワールドカップの開幕直前にブレントフォードに敗れ、年末のエヴァートン戦を1-1のドローで終えた以外は全勝で走り抜けています。それでも優位とはいえないのが、百戦錬磨の欧州王者との一戦ですが、公式戦22試合連続無敗のチームの勝機は充分といっていいでしょう。
CLでファイナル進出を遂げ、プレミアリーグが終わると、翌週はFAカップファイナル。マンチェスター・ユナイテッドにはオールド・トラフォードで敗れていますが、最終ラインのキーマンを欠いたチームにウェンブリーでは負けないのではないかと思われます。
その次の週は、悲願のビッグイヤーを賭けた決戦です。イスタンブールで対峙するのは、ミラノダービーの初戦を0-2で制したインテルでしょうか。セリエAで11敗を喫して3位のチームは、CLではポルト、ベンフィカ、ミランとクジ運に恵まれた感があり、マン・シティとは力の差がありそうです。
こんなふうに書くと、すんなりトレブルを達成するような気になってきますが、まずはCL準決勝のセカンドレグです。毎年、新たなフォーメーションを披露するペップは、シーズンの序盤戦では取りこぼしが目立つものの、必ず後半戦で完成度を高めてきます。今季の注目ポイントは、ハーランドだけではありません。マドリードに勝つとすれば、その立役者は自在度を増した最終ラインになるのではないでしょうか。
公式戦48試合52ゴール8アシストのハーランドと、44試合10ゴール27アシストのデブライネが凄すぎて、大味なフットボールにシフトチェンジしたように見えるマン・シティですが、偽SBを用いたバックラインを見ると、アルテタが勝てなくても仕方がないとため息が漏れます。
5月の4試合だけで説明しましょう。3-0で快勝したウェストハム戦の4バックは、ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、ナタン・アケ。SBが本職のカイル・ウォーカーが中盤をサポートするかと思いきや、パスワークに長けたストーンズをロドリに近づけています。
次のリーズ戦は、リコ・ルイス、アカンジ、ラポルテ、ナタン・アケ。レアル・マドリード戦をにらんだターンオーバーだったとしても、優勝を争うリーグ戦で左サイド以外を全員入れ替えるなどという芸当は、簡単にできるものではありません。アルテタ監督が冨安、ホールディング、キヴィオル、ジンチェンコを並べたと聞けば、大半の人はカラバオカップの話だと思うでしょう。
ギュンドアンの2発で下位のクラブに勝った後、レアル・マドリードとのアウェイゲームは、ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、アカンジ。ナタン・アケがふくらはぎを痛めたから、左サイドを代えたという事情は呑み込めても、「ラポルテではなくアカンジ⁉」というツッコミは押さえられません。
しかもこの試合は、交代カードを切らずに1-1でフィニッシュ。フォーデン・マフレズ、フリアン・アルバレスをベンチに置いたまま、タイムアップとなってしまいました。そして昨日、CLのセカンドレグを控えたエヴァートン戦は、カイル・ウォーカー、ルベン・デイアス、ラポルテ、アカンジ。左利きのラポルテをCBにおいて、アカンジを外に出したのは、攻撃時にラポルテがまっすぐ中盤に上がる形を創りたかったからでしょう。
守るときは4-2-3-1になることもありますが、攻撃時は3-2-4-1(あるいは3-2-2-3)。左から攻める際はラポルテが中盤でボールを散らし、右にボールが出るとカイル・ウォーカーがインに絞ります。いわゆるSBのオーバーラップはほとんどなく、カイル・ウォーカーはクロスゼロで、アカンジは1本のみ。彼らがアウトに出るのは、明らかに数的優位を得られるシーンだけです。
アルテタ監督も偽SBを採用していますが、マン・シティのほうが守備の強度が高いのは、DFに求めているものが違うからでしょう。ペップの最終ラインには、パスワークとマンマークを強みとする選手が揃っています。アルテタのチームは、守備力がある選手は攻撃が課題となっており、パスワークに長けた選手は守備が不安です。
ジョアン・カンセロを放出した今のチームでは、守備に難があるジンチェンコはSBでは使われないでしょう。カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、ラポルテ、アカンジ、ナタン・アケはCBとSBを両方こなし、カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、リコ・ルイス、ラポルテ、ナタン・アケは偽SBとしても機能します。厚い。厚すぎる…。
主軸となるCBを失ってから勝てなくなったアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドは、まだまだ発展途上です。ペップのいるリーグでトロフィーをめざすなら、マグワイア、ホールディング、ダロトは力不足で、冨安やワン=ビサカは常に攻撃的なプレイができるようにならなければなりません。
いや、ペップの後を追うのは危険ですね。飽きっぽい名将は、次のシーズンはまったく違う戦術を導入してくるでしょう。アルテタもテン・ハフも、クロップもポチェッティーノ(?)も、誰かがいなくなったら脆弱になる最終ラインでは勝てないと肝に銘じるべきです。レアル・マドリード戦は、ジョン・ストーンズ、アカンジ、ルベン・ディアス、ラポルテでしょうか。いやー、当たる気がしない…。
最大のハードルは、2日後に迫ったレアル・マドリードとの大一番です。今季のホームゲームは27勝1分1敗。ワールドカップの開幕直前にブレントフォードに敗れ、年末のエヴァートン戦を1-1のドローで終えた以外は全勝で走り抜けています。それでも優位とはいえないのが、百戦錬磨の欧州王者との一戦ですが、公式戦22試合連続無敗のチームの勝機は充分といっていいでしょう。
CLでファイナル進出を遂げ、プレミアリーグが終わると、翌週はFAカップファイナル。マンチェスター・ユナイテッドにはオールド・トラフォードで敗れていますが、最終ラインのキーマンを欠いたチームにウェンブリーでは負けないのではないかと思われます。
その次の週は、悲願のビッグイヤーを賭けた決戦です。イスタンブールで対峙するのは、ミラノダービーの初戦を0-2で制したインテルでしょうか。セリエAで11敗を喫して3位のチームは、CLではポルト、ベンフィカ、ミランとクジ運に恵まれた感があり、マン・シティとは力の差がありそうです。
こんなふうに書くと、すんなりトレブルを達成するような気になってきますが、まずはCL準決勝のセカンドレグです。毎年、新たなフォーメーションを披露するペップは、シーズンの序盤戦では取りこぼしが目立つものの、必ず後半戦で完成度を高めてきます。今季の注目ポイントは、ハーランドだけではありません。マドリードに勝つとすれば、その立役者は自在度を増した最終ラインになるのではないでしょうか。
公式戦48試合52ゴール8アシストのハーランドと、44試合10ゴール27アシストのデブライネが凄すぎて、大味なフットボールにシフトチェンジしたように見えるマン・シティですが、偽SBを用いたバックラインを見ると、アルテタが勝てなくても仕方がないとため息が漏れます。
5月の4試合だけで説明しましょう。3-0で快勝したウェストハム戦の4バックは、ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、ナタン・アケ。SBが本職のカイル・ウォーカーが中盤をサポートするかと思いきや、パスワークに長けたストーンズをロドリに近づけています。
次のリーズ戦は、リコ・ルイス、アカンジ、ラポルテ、ナタン・アケ。レアル・マドリード戦をにらんだターンオーバーだったとしても、優勝を争うリーグ戦で左サイド以外を全員入れ替えるなどという芸当は、簡単にできるものではありません。アルテタ監督が冨安、ホールディング、キヴィオル、ジンチェンコを並べたと聞けば、大半の人はカラバオカップの話だと思うでしょう。
ギュンドアンの2発で下位のクラブに勝った後、レアル・マドリードとのアウェイゲームは、ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、アカンジ。ナタン・アケがふくらはぎを痛めたから、左サイドを代えたという事情は呑み込めても、「ラポルテではなくアカンジ⁉」というツッコミは押さえられません。
しかもこの試合は、交代カードを切らずに1-1でフィニッシュ。フォーデン・マフレズ、フリアン・アルバレスをベンチに置いたまま、タイムアップとなってしまいました。そして昨日、CLのセカンドレグを控えたエヴァートン戦は、カイル・ウォーカー、ルベン・デイアス、ラポルテ、アカンジ。左利きのラポルテをCBにおいて、アカンジを外に出したのは、攻撃時にラポルテがまっすぐ中盤に上がる形を創りたかったからでしょう。
守るときは4-2-3-1になることもありますが、攻撃時は3-2-4-1(あるいは3-2-2-3)。左から攻める際はラポルテが中盤でボールを散らし、右にボールが出るとカイル・ウォーカーがインに絞ります。いわゆるSBのオーバーラップはほとんどなく、カイル・ウォーカーはクロスゼロで、アカンジは1本のみ。彼らがアウトに出るのは、明らかに数的優位を得られるシーンだけです。
アルテタ監督も偽SBを採用していますが、マン・シティのほうが守備の強度が高いのは、DFに求めているものが違うからでしょう。ペップの最終ラインには、パスワークとマンマークを強みとする選手が揃っています。アルテタのチームは、守備力がある選手は攻撃が課題となっており、パスワークに長けた選手は守備が不安です。
ジョアン・カンセロを放出した今のチームでは、守備に難があるジンチェンコはSBでは使われないでしょう。カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、ラポルテ、アカンジ、ナタン・アケはCBとSBを両方こなし、カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、リコ・ルイス、ラポルテ、ナタン・アケは偽SBとしても機能します。厚い。厚すぎる…。
主軸となるCBを失ってから勝てなくなったアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドは、まだまだ発展途上です。ペップのいるリーグでトロフィーをめざすなら、マグワイア、ホールディング、ダロトは力不足で、冨安やワン=ビサカは常に攻撃的なプレイができるようにならなければなりません。
いや、ペップの後を追うのは危険ですね。飽きっぽい名将は、次のシーズンはまったく違う戦術を導入してくるでしょう。アルテタもテン・ハフも、クロップもポチェッティーノ(?)も、誰かがいなくなったら脆弱になる最終ラインでは勝てないと肝に銘じるべきです。レアル・マドリード戦は、ジョン・ストーンズ、アカンジ、ルベン・ディアス、ラポルテでしょうか。いやー、当たる気がしない…。
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気になっていたテーマを良いタイミングでありがとうございます。
毎年この時期になると負けないペップについてボヤいてる気がします。就任以降の終盤の勝率を並べると藤井聡太を上回ると思います。そろそろ取り締まった方がいいんじゃないでしょうか笑
今季開始時点では、主力を次々と放出してシティ大丈夫か?とか言っちゃってました。これも毎年かもしれません。サネ、コンパニ、シウバ、アグエロ…
凄いを超えて、最高の監督です。サポーターではありませんが、今度こそビッグイヤーを彼に。