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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

開幕5連勝は遠い昔…マンチェスター・シティ「負け続けた1年」を振り返る。

マンチェスター・シティがアーセナルに勝てずにライバルにチャンスを渡すと、「アップトン・パーク最後の日」のパワーに屈したマンチェスター・ユナイテッドはそのまま主導権を返却。両者勝ち続けて最終節勝負という極上のチキンレースを期待していたのですが、両者とも対戦相手の気迫にたじろぎ、後ろからの追撃に怯える「チキンのレース」になってしまいました。マンチェスター・ユナイテッドのほうは、むしろよくここまでたどり着いたと感心するぐらいです。年末にプレミアリーグ3分3敗というひどい季節を過ごし、チャンピオンズリーグまで失ったチームは、ラシュフォードやフォス=メンサーなど若手が出てきてくれて結果的に助かった「出直しチーム」。プレミアリーグ4位に入ってほしいという色気はあるものの、レスターとトッテナムに上にいかれた今、TOP10で下から2番めの得点力では5位着地も仕方がありません。

しかし、マンチェスター・シティは…!「プレミアリーグ開幕時はチェルシーとマンチェスター・シティが優勝候補だった」とヴェンゲル監督に指摘されると「その発言はどこ目線?」とツッコミを入れたくなってしまいますが、御大のおっしゃるとおり。秋にさしかかる頃には、オタメンディ、スターリング、デブライネと的確な補強を進めた開幕5連勝のチームが、出遅れた昨季王者を突き放して独走するのだとばかり思っていました。ところが、2年前の優勝チームは、11月のスランプで最初の貯金を吐き出し、2月の3連敗でレスターとトッテナムの一騎打ちを許します。とりわけ2月以降は、プレミアリーグ14試合を6勝3分5敗と完全に失速。優勝どころか、一時はウェストハムやリヴァプールの下に潜るのではないかと思われたマンチェスター・ユナイテッドとCL出場権を争うまでに落ちてしまいました。彼らに、何が起こったのでしょうか。私の印象を、できるだけ短い言葉で表現すると、こうなります。

マンチェスター・シティは、疲れ果てていた。

優勝したレスター、2位トッテナムと比べて、ペジェグリーニ監督のチームが「多かったもの」を並べてみましょう。移籍金やサラリーは置いておいて、サッカーそのものの話に絞れば「試合数」「負傷者の数」「選手の年齢」。キャピタルワンカップを制し、CLで準決勝に進出したマン・シティの試合数は、リヴァプールに次いで多い58。「Injury League」によると、負傷者の通算離脱週数は203を数え、7位です。負傷者の多さで上位に入ったクラブを見てみると、降格寸前ニューカッスル、プレミアリーグでは浮上しないリヴァプール、絶不調エヴァートン、途中で出直しマン・ユナイテッド、後半失速アーセナルと、6位ボーンマスを除けば納得がいかないシーズンを過ごしたクラブばかり。13位のトッテナムは、プリチャード、ベンタレブ、ヌジエといったサブの選手の長期離脱を除けばさほど多くなく、レスターは19位です。

ナスリ、コンパニ、サバレタ、クリシーがシーズンの1/3しか満足に出られず、アグエロ、ダヴィド・シルヴァ、デブライネらを交互に欠いて苦しんでいた優勝候補を尻目に、ハリー・ケイン、アルデルヴァイレルト、ウェズ・モーガンは皆勤賞。マフレズは1試合、ジェイミー・ヴァーディはサスペンデッドの2試合しかお休みがありません。さらに、選手の年齢構成をみると、マンチェスター・シティでプレミアリーグの先発出場が10試合以上の18人のうち、10人までが30代。ウインターブレイクがないリーグで、キャピタルワンカップを最後まで戦い、チャンピオンズリーグで頂点に立とうとしていたチームにしばしば気合負けや運動量の低下が見られたのは、こういった数字と無縁ではないでしょう。

ここまで読んで、「負傷者が出ることを考えて、選手層を厚くしているのでは?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。本質的な問題は、ペジェグリーニ監督が、2年前の優勝メンバーにこだわり過ぎて、新戦力や若手の力を十全に発揮させられなかったこと、すなわち「ターンオーバーができない監督だったこと」なのかもしれません。「コンパニが出ると失点が減る」「デミチェリスが出ると失点が大きく増える」「サバレタとコラロフがいると圧勝が増える」「フェルナンドが出ると得点力が落ちる」といったわかりやすさは、選手の顔ぶれによるクオリティの上下が激しすぎることを示しています。はまればセビージャを相手にせず、パリまで食ってしまうチームは、オプションに乏しく、ひとつ歯車が狂うととたんに攻め手を欠き、ニューカッスル、ノリッジ、アストンヴィラの降格ゾーン3クラブにすべて引き分けてしまうチームでもありました。上位対決ではカウンターでいじめられ、3分5敗と勝利なし。マンチェスター・シティに勝ちにいこうとするチームは、自陣に引くことに何の躊躇もありませんでした。

「グアルディオラ監督就任を早期に発表したために、マネジメントが難しくなった」のも停滞の要因のひとつではあったでしょう。しかし、それよりも大きかったのは、この2年の若手の台頭がイヘアナチョしかなく、負傷者が多発したために競争環境がなくなり、チャンピオンズリーグ以外に強いモチベーションを抱けず、時折心身ともに疲れた状態でプレミアリーグを戦っていたことのほうではないでしょうか。最初の5連勝の後の14勝8分10敗は、プレミアリーグ8位水準。今季は、本当によく負けました。

とはいえ、最終節でチャンピオンズリーグ出場権を死守するという条件付きながら、この負け続けた1年は、未来のためにはよかったのではないかとも思います。指揮官交代が間違いではなかったと確信しているであろうマン・シティは、抜本的なチーム改革に取り組むはずです。バイエルンからやってくる新しい監督は、2年連続で大量の負傷者を出したこともあり、今季のブンデスリーガでは18人の選手に10試合以上の先発を命じており、そのなかにはバトシュトゥバーとリベリーの名前はありません。プレミアリーグより4試合少なく、カップ戦もひとつしかない国の独走王者の監督が、欧州の頂点に立つためのコンディショニングとオプション戦術開発を怠らなかった足跡が、数字に表れているように思えてなりません。同じCLベスト4敗退ながら、こちらは試合半ばで気力が絶えてしまい、あちらは欧州トップレベルのサッカーを披露して大会を去っていきました。2016-17シーズンに向けて、マンチェスター・シティの賢明な経営陣とワールドクラスの名将は、鮮やかな手口で新しい強者を誕生させてくれるのではないでしょうか。ユーロの熱狂が去った後、グアルディオラ監督の船出に注目したいと思います。

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“開幕5連勝は遠い昔…マンチェスター・シティ「負け続けた1年」を振り返る。” への2件のフィードバック

  1. シティふぁん より:

    他のチームが若手の台頭が多くシティは少なく残念です
    タイトル獲得の為には不可欠だったヤヤ等もいくつかのタイトル獲得で消費し尽くしたかなと思います
    来季新しい監督かつ年齢層が高いシティは選手の入れ替えが必要でしょう
    どんな選手を獲得するか気になりますがまずは最終節を勝利で終えてほしいですね

  2. makoto より:

    シティふぁんさん>
    グアルディオラさん就任と時を同じくして、今までの功労者の節目がきたという印象です。相当思い切った改革があるのではないでしょうか。

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