偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグのラウンド16、コペンハーゲンVSマンチェスター・シティ。バルケン・スタジアムのキックオフを、複雑な思いで眺めていました。グループAでアウトサイダーと目されていたコペンハーゲンがここにいるのを見ると、悔しさがこみ上げてきます。

マンチェスター・ユナイテッドは、最後にオナナがPKをストップして1-0で勝った後、敵地での2戦めは4-3の逆転負け。ダブルを決めていれば、ノックアウトラウンドで戦えていたはずです。バイエルンとのアウェイゲームをスコアレスドローに持ち込んだチームには、敬意を表すべきですが…前年王者のマンチェスター・シティには歯が立たないでしょう。

大方の予想通り、主力を揃えたペップのチームが1-3で圧勝。それにしても、ケヴィン・デブライネは圧巻でした。グループステージ全試合欠場の鬱憤を晴らすかのような1ゴール2アシスト。プレミアリーグでも復帰以来4試合連続でアシストを記録しており、FAカップの2試合までカウントすると、2024年は7戦7アシストの荒稼ぎです。

3分にナタン・アケのクロスをヘディングで叩いたプレーメイカーは、右に逸れたボールを見て悔しそうな表情を浮かべています。決定機を活かしたのは10分。ルベン・ディアスのロングフィードを右サイドで受けたフォーデンから、斜めに走るパスがボックス右に通ると、フリーだった17番はハーランドを見ずにシュートを選択しました。

角度のないところから放った一撃は、GKグラバラの手の先を抜けて左のサイドネットに届く完璧な弾道でした。34分にエデルソンの珍しいパスミスから、マットソンに強烈なシュートを叩き込まれたアウェイチームは、追加タイム1分に勝ち越しゴールをゲットしています。決め手となったのは、右サイドから中に入ったデブライネのチャレンジでした。

ドリブルのラストタッチが長くなり、マットソンに先に触られますが、右足でカットしたボールが斜めに出て、中央から流れてきたベルナルド・シウヴァの前へ。左足のアウトにひっかけた巧みなフィニッシュに、グラバラは触れませんでした。前半は1-2。後半に入っても、きわどいミドルでゴールを脅かしていたデブライネは、終了直前の93分に最後のゴールをお膳立てしました。

右サイドからドリブルで上がったマテウス・ヌネスが前にいたフォーデンに預けると、先制ゴールと同じように斜めのボールが通ります。ゴールシーンより角度が厳しかったため、ここでのチョイスはダイレクトのリターン。来ると信じてゴール前に入っていたフォーデンが、左足でど真ん中に蹴り込みました。

勝利の立役者となったデブライネは、シュート7本とクロス10本を記録しています。復帰初戦のハダースフィールドとのFAカップ3回戦では、ワンツーで右サイドを突破してドクに決めさせる正確なクロス。ニューカッスル戦は2-1でリードされた69分に登場し、左隅に決まるコントロールショットとラインの裏に走ったオスカー・ボブへの超絶フィードでチームを救いました。

バーンリー戦のアシストは、ゴールまで距離があった中央からのFKで、左に浮かすかと思いきや、ゴール前に入ってきたフリアン・アルバレスに鋭い縦パスを通しました。ブレントフィード戦は、1-1からの逆転アシスト。CBの間に入ったフォーデンの頭に合わせる左からのピンポイントのクロスは完璧でした。

エヴァートン戦の85分には、ハーランドの単独のカウンターを成立させる自陣からのパス。デブライネの恐怖は、ロングフィードをピンポイントで合わせられること。サイドを崩さなくても一瞬で世界を変えられるので、自陣の入り口からコースを切らないと、やばいボールが出てくる可能性を抱えたままで対峙する時間が続きます。

プレミアリーグの通算アシストは106。6つ積めばセスクを抜き去り、ライアン・ギグスに次ぐ歴代2位に浮上します。彼抜きでも2位だったチームは、当然の優勝候補筆頭でしょう。コペンハーゲンとのホーム&アウェイで互角だったチームとしては、3月上旬のマンチェスターダービーに向けて策を練らないといけないのですが、とりあえず引いて引いてカウンターですかね…。