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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

直近8戦でわずか2勝、TOP3には勝利なし…ペップ・シティが勝てなかった理由を探る!

マンチェスター・ユナイテッドがオールド・トラフォードで残念なドローを続け、プレミアリーグ4位が難しくなりつつある状況のなか、なぜ私がマンチェスター・シティを心配しているのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。いちばん大きな理由は、元来が八方美人で、リヴァプールもアーセナルもトッテナムもチェルシーも、隣町のライバルでさえも、試合を観るたびに「いいじゃないですか。おもしろい!」と心を動かされてしまうからなのですが、もうひとつ挙げるとすれば、今季のマンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグ5位以下が妥当であると考えているからです。モウリーニョ体制初年度の攻撃戦術は、TOP4に値するとはいえないでしょう。もちろん、他が崩れてタナボタでいただけるなら喜んで!という気持ちはあるのですが、アーセナルやマン・シティの試合を観ながら「頼むから負けてくれ」と祈るほどの情熱はありません。

何しろ、たったの51ゴール。昨季より増えてはいるものの、10位ボーンマスと1ゴールしか違わない数字です。ボーンマスは、プレミアリーグで唯一「英国系とアイルランドの選手しかゴールを決めていない」チーム。彼らに対して、パリのエースやドルトムントのアタッカーに加えてプレミアリーグNo.1の高給取りまで擁するチームが、同じようなゴール数に留まっていてはいけません。一方で守備力は目に見えて向上しており、さすがモウリーニョ監督と評価しつつ来季以降には期待しているものの、今季はプレミアリーグ連続無敗記録を29に伸ばして静かに終わっていただき、ヨーロッパリーグ制覇でCL出場権獲得をと願っている次第であります。

さて、本題は心配なマンチェスター・シティです。ペップ・グアルディオラが率いるチームが、直近のプレミアリーグ8試合を2勝5分1敗とくすぶっている理由がわかりません。不振のチームは、その多くが背景や理由を想像できるものです。1月のリヴァプールは、過密スケジュールによって「走るサッカー」が電池切れ。2月以降のアーセナルは、バイエルンショック、エジルの不振、監督と主力選手の契約に関する過熱報道。直近のマンチェスター・ユナイテッドはズラタンやポグバ、CBなど負傷者続出。これらが直接的に戦績に影響する度合いはさまざまですが、「確かにそれはあるかも」とうなずく方はいるでしょう。

8戦のうち、4つが上位との直接対決だったのですが、実力的には1勝もできないチームではないでしょう。エティハドだったにも関わらず、28節のストーク戦はスコアレスドロー。そして2-2で引き分けたミドルズブラは、年明けからのプレミアリーグ15試合でわずか7ゴール、2点獲ったのはハル・シティ戦のみという貧攻の19位です。ダヴィド・シルヴァやヤヤ・トゥレ、ジョン・ストーンズを欠いてはいたものの、2回もリードを許していい相手ではありません。現在も不在の長期離脱選手はギュンドアンぐらい。このところ軽傷で使えない選手が何人か出てはいましたが、コンパニとガブリエウ・ジェズスが復帰してきており、戦力的な痛手は3位以下のライバルと比べればさほど大きくありません。

あらためて、全体の戦績と数字を見てみましょう。昨季と比較すると、4位は同じ。得失点差28は昨季の30とさほど変わらず、TOP3に勝っていないのも同じです。さらに個々の選手たちの数字と活躍ぶりまで踏み込んでみると、他クラブに対して決定的に足りないことがあるのに気がつきます。「レギュラーに定着したといえる新戦力が、サネしかいない」。プレミアリーグ23試合出場のジョン・ストーンズは、攻撃への貢献というプラスよりもミスが目立ち、ブラボも安定感を欠いて2月から8試合に渡ってカバジェロにゴールマウスを譲りました。ギュンドアンは10試合3ゴールでシーズンを終え、後半戦におけるノリートの貢献度はほぼゼロです。ガブリエウ・ジェズスは未来を明るく照らす希望ですが、負傷もあって6試合4ゴール。22試合5ゴールのレロイ・サネが、定位置を確保した唯一の存在でした。

カンテ、マルコス・アロンソ、ワニャマ、マティプ、ワイナルドゥム、イブラヒモヴィッチ、ポグバ、バイリー、ムスタフィ、ジャカ…。他クラブにはいた「チームを変える即戦力」が、ペップ初年度の獲得リストにはほとんど存在しなかったのです。実質的に層が厚くなっておらず、指揮官のコンセプトがしっかり定着したとはいえないマン・シティは、主力を多少欠いただけで全体のクオリティに影響を及ぼすデリケートな状態で、勝てないゲームを積み重ねているのではないでしょうか。

直近のDF陣で最も若いのは29歳のオタメンディ。中盤も、プレミアリーグアシスト王のデブライネを除けば、ダヴィド・シルヴァ、ヘスス・ナバス、フェルナンジーニョの31歳トリオと33歳のヤヤ・トゥレが主軸です。開幕当初は、これぞペップのサッカーとうならせる速いパスワークと機能的なプレスを披露していたチームは、自信をキープできずに元の姿に回帰してしまったようにも見えます。今季、ペップの戦略・戦術にフィットしきれなかった選手たちのなかで、次のシーズンはよくなる選手もいると思われますが、大胆な若返りとペップイズムを体現する人材のさらなる獲保に打って出なければ、マンチェスター・シティの強化は時間がかかりそうです。ペップは、どんな収穫を残して2年めに向かうのか。昨季のラスト4試合で5ゴールと固め撃ちを決めたイヘアナチョは、20歳になった今シーズンこそブレイクするのではないかと期待していたのですが…。

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“直近8戦でわずか2勝、TOP3には勝利なし…ペップ・シティが勝てなかった理由を探る!” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    ユナイテッド好きの私が言うのもなんですが、今シーズンのマンシティには少々がっかりしています。
    開幕当初のマンチェスター勢が3連勝してのダービーマッチはなかなか熱いものがありましたが両チームとも連勝が止まるとともに魔法が溶けてしまいましたね。
    ユナイテッドは攻撃が退屈になりがちなことは慣れてしまいましたが、シティも同様にスイッチを入れるのがシルバとデブルイネだけの、ある意味単調な試合が多い印象です。
    私はマンチェスターの両チームが優勝争いをする展開を最も見たいと思っているだけに、これからの戦術や戦力の拡充に強く期待しています。
    両チームの指揮官は世界でも最高の2人ですからね。(今年は最高の指揮官がプレミアリーグに何人もいるから、今の現状もあるのでしょうが)

  2. makoto より:

    yutoさん>
    マンチェスター・シティは、ベストメンバーが揃わなくなると、昨季のチームに近づいていってしまう感があります。来季勝負となるマンチェスター勢にとっては、CL出場権獲得は必達のミッションですね。

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