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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

克服できるか…リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドが抉ったペップ・シティの弱点!

プレミアリーグで4-3、チャンピオンズリーグは3-0、1-2。ゲーゲン・プレッシングのクロップ監督がマンチェスター・シティに3連勝し、その間にジョゼ・モウリーニョのマンチェスター・ユナイテッドも2点のビハインドをひっくり返して逆転勝利。前半戦は無敵だったペップのチームが、ここにきて守備の脆さを露呈しています。リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドは、ペップのスタイルを打ち破る要素を備えた象徴的な2つのタイプだったのではないでしょうか。チャンピオンズリーグのベスト4は、中盤のプレス合戦に持ち込むことができ、ショートカウンターから一気にゴール前に運べるチーム。プレミアリーグ2位のほうは、バイタルエリアをカバーする術を知り、長いカウンターとセットピースを武器とするチームです。
4月の両者に共通していたのは、最終ラインの裏を狙う意識が強かったこと。アンフィールドのレッズもエティハドのマン・ユナイテッドも、多くのゴールはDFの背後に出したパスが決め手とななっています。3連敗中のチームが、どんなプロセスで失点を喫したのかを振り返ってみましょう。まずは、アンフィールドで行われたCLファーストレグ。12分まで押されていたレッズは、アーノルドが通したサラーへの素晴らしい縦パスから、先制ゴールを決めました。サラーが並走するフィルミーノに通したニアへのパスは、セカンドレグの前半終了間際にチェンバレンをエデルソンと1対1にしたパスに似ていました。アンフィールドではオタメンディがフィルミーノに振り切られ、エティハドではフェルナンジーニョが裏を取られています。フィルミーノは、シュートをブロックされた後の混戦を制し、フリーのサラーにラストパス。プレミアリーグ29ゴールのサイドアタッカーは、左足で強く蹴るだけでした。
チェンバレンのミドルが左隅に突き刺さったシーンでは、右に寄りすぎた中盤の選手たちがレッズの21番を自由にさせてしまい、コンパニのコースの切り方も曖昧でした。前への意識が高いマン・シティのDF陣とフェルナンジーニョは、ひとたび下がるとバランスを失い、ラインの前のスペースを空けてしまいがちです。1月のプレミアリーグでチェンバレンが先制ミドルを決めた際も、フェルナンジーニョが振り切られて最終ラインの前でフリーになったことが正確なシュートを生んでいます。

サラーの浮き球からマネがヘッドで決めた3点めは、サラーと対峙したラポルテが無力でした。マン・シティ崩しのひとつの形として、サイドから縦にスルーパスを通してドリブラーを勝負させるのは有効でしょう。1月のゲームでもチェンバレンのスルーパスをフィルミーノが決めているレッズは、3トップが3人とも裏を狙う意識が強いからこそゴールを奪えるのだと思います。ラシュフォードやアザールがいるチームは、攻めっ気が強いSBの裏を狙わせればチャンスを増やせるのではないでしょうか。セカンドレグのレッズの貴重な先制点も、サラーのパスが右にいたマネに通り、不利な態勢だったラポルテから冷静さを奪ったのが効を奏しました。CBは股抜きを喰らい、フェルナンジーニョもかわされてエデルソンと1対1。サラーの前にこぼれ球が出れば、万事休すです。

そして、セカンドレグの決勝ゴール。左サイドでフィルミーノがオタメンディのキックををカットしたゴールシーンを見て、プレミアリーグの1発を思い出しました。オタメンディが縦に出そうとしたボールをサラーがカットして、パスを受けたマネが容赦ない左足シュートを突き刺したシーンです。オタメンディとジョン・ストーンズは、プレッシャーをかけられるとしばしばキックミスを犯します。シーズンが進むにつれ、フェルナンジーニョもパスミスと1対1の弱さが目立つようになっており、プレスが厳しい相手をどうさばくかは、ペップの懸案事項のひとつでしょう。

マンチェスター・ユナイテッドの3発は、いずれもポグバとスモーリングがコンパニとオタメンディの裏に飛び出してゲット。アレクシス・サンチェスのクロスをエレーラが胸で落とした瞬間、コンパニの対応が中途半端になり、ポグバが抜け出して1点差に迫ると、2発めはアレクシスの浮き球に走り込んだポグバにオタメンディがついていけませんでした。決勝点のセットピースもオタメンディとフェルナンジーニョがスモーリングに置いていかれ、イージーなボレーを押し込まれてしまいました。

ラインの裏を取られやすい。つなぐことにこだわるビルドアップやカットした直後のボールを狙われる。前への志向が強いがゆえに、押し込まれると縦のバランスが崩れやすい。フェルナンジーニョの両脇が攻撃のキーマンだからか、アレクシス・サンチェスやチェンバレンのようにスペースを使われる…。選手のコンディションが戻れば解決する類いのものと、何らか手を打ったほうがいい課題が混在しているのだと思われますが、ペップは直近の8失点をどう捉えているのでしょうか。急激に強くなったプレミアリーグ最強チームの来季の進化を、怖れながら注目したいと思っています。

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“克服できるか…リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドが抉ったペップ・シティの弱点!” への7件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    「目には目を、歯には歯を」で挑んで来たCLのレッズ戦とPLのレッドデビルズ戦ではシティのDFラインはミスが顕著でしたね。
    コンパニもライン統率がうまく行ってないように見えました。
    ペップに必要なのはプジョルみたいなリーダーでしょうか?

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    最近のシティは前半と後半で動きがまったく違うチームになりますね。
    疲労のせいなのかハーフタイムで敵が修正しているからなのかはわかりませんが後半になるとプレスがうまく機能していない印象を持ちます。

  3. ペップの街 より:

    ポゼッション+プレッシングのサッカーである以上、DFラインが高くなって裏を取られやすくなるのは宿命です。ペップ戦術の限界(悪い意味ではなく、戦術で解決することが不可能)でしょう。
    解決策としては、高い足元の技術+どんな局面も一人で守れてしまうようなCBを用意するくらいですかね。

    —–
    ガチガチに守って1:0で勝つようなサッカーはやらないと決めてるようですから。デフェンダーにも足元の技術、パスの精度を求めていく姿勢は変わらないのでは。シーズン半ばまでキレキレだったデ・ブライネにも疲労の蓄積があるようだし。間違いなく言えることは、ペップがシティに来てプレミアリーグがレベルアップしつつあるということです。

  4. タムコップ より:

    裏への意識の高さと、同時に横の揺さぶり、レッズで言えば、ロバートソンやアーノルド、ミルナーが縦がダメならサイドからの低く速いクロスを徹底することで、ケアすべきポイントを増やすことでディフェンスラインに的を絞らせない&統率の無力化→裏も取りやすくなる、といった感じなのかなと。
    あとは、以前から対戦するたびに感じてたのですが、makotoさんもご指摘されてるように、プレスを受けたディフェンダーがしばしば落ち着きを失って球際の競り合いでボールロストする場面が突然増えることですね。
    ペップ以前も含めた直近3シーズンで、レッズが勝ってる試合のゴールの半数以上がディフェンダーのミスからなんですよね。
    対人や空中戦では強さを見せるものの、ボールを動かされると途端に脆さを見せるのがシティ守備陣の決定的な弱点なのでは、と。

  5. メルティ より:

    ジーニョのバックアップとして計算できるアンカーはもちろん、中盤の選手層が少し薄いかなと思います。デブライネとジーニョは単純な試合数の多さ含めメンタル的にもかなり疲弊してるのかなと。
    ペップのスタイルを貫く上で、クロップのゲーゲンプレスに対抗するには選手の質を上げる以外で解決策はないでしょう。(戦術では限界がある)
    良くも悪くもペップシティはまだまだ発展途上だと思うので、補強だけでなく選手のメンタル面も含め、来季が楽しみでもあります。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    シティは2年目はかなりお金を使いカップとリーグの2冠がほぼ決まっています
    2冠とも前半戦の勢いがタイトル獲得につながったと思います
    リーグでもCLでも失速してしまいましたがまた補強して後半戦にも勢いを保てるようになったら怖いですね

  7. おはむ より:

    この問題はシンプルで各チームのスカウティングがマンCの明確な戦術の弱点を見つけ、そこがピンポイントなので、その戦術に対応できる選手レベルのチームが金星をあげています。
    今年に入ってからシティと対戦する全てのチームは明確なプランの元 サッカーをしているように見えます。
    選手の戦術理解の差がこの結果を生んでいると考えます。
    来シーズンは混戦もしくはユナイテッドの独走だと私は読んでますが

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