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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ルーニーの孤軍奮闘でマン・ユナイテッドがローマに勝利!希望をつないだセントラルMF・香川真司!

アメリカにて「インターナショナル・チャンピオンズカップ」を戦うマンチェスター・ユナイテッド。ファン・ハール体制第2戦の相手はASローマ。マンチェスター・ユナイテッドはエレーラやブラケット、リース・ジェームス、ASローマはイトゥルベ、セイドゥ・ケイタ、エマヌエルソンなど両者とも若手や新戦力をスタメンに据える「戦力チェック」の段階。勝ち負けがどうこうよりも、何が順調でどこに課題があるのかをあぶり出すための一戦です。

プレミアリーグが始まるまでに、さらなる補強が図られるはずのマンチェスター・ユナイテッドですが、今現在のチームは「ルーニーとエレーラ中心」です。試合は、前半に3点を先行したマンチェスター・ユナイテッドが、後半のローマの追い上げをしのいで3-2で勝利しましたが、チャンスの多くはルーニー絡み。36分、ペナルティエリア外、中央でボールを持ったルーニーは、右に軽くドリブルして角度をつけると、ドライブがかかったミドルを見事に左サイドネットに突き刺します。3分後の2点めもまたルーニー。最前線で、右サイドから斜めに走るマタを見逃さなかったルーニーは、自陣からロングパスをピンポイントで合わせ、左足で完璧なトラップを決めたマタがきれいなループシュートでゴール。前半終了間際にウェルベックが倒されて得たPKをこれも10番が決め、2ゴール1アシストで若手のW.キーンにポジションを譲り、エースはハーフタイムでピッチを後にしました。

3-0となった後半から、LAギャラクシーとの緒戦同様、香川真司が登場です。この日も、「新チームになってからここしかやっていない」と本人が語るセントラルMF。クレヴァリーとのコンビで守備に追われながらも中盤を構築しますが、昨季のプレミアリーグ同様にボールをうまく呼び込めず、平凡なパスしかつなげないクレヴァリーに対して、もらえる位置に細かくポジションを変えて、中盤のリズムを創っていたのは香川真司でした。攻撃面では、中盤の深い位置から左足でDFラインの裏に走るW.キーンに一発でつないだロングフィードはお見事。後ろからのパスを受けて、トラップ一発でローマ守備陣のアタックをかわし、左を走るチチャリートにつないだチャンスメイクも素晴らしいプレイでした。

一方で、課題もいくつかありました。いちばん物足りないのは、ミドルシュートがないことでしょう。最大のチャンスは、左サイドをえぐったルーク・ショーのクロスのこぼれ球を中央で拾ったシーンでしたが、シュートまでに時間をかけてしまい、左足で放った一発は枠の外。これ以外にも、ペナルティエリアの外でボールを持つシーンがありましたが、香川真司にシュートを狙おうとするアクションすらなく、ローマの最終ラインに脅威を与えられせんでした。

そして守備面では、相手のパスコースを切る動きと、パスの出所を読んで一発で獲りにいくプレイはまずまず。今後、改善しないといけないのは、相手にボールを奪われたときにすぐに取り返しにいくこと、サイドでは相手との距離を詰めて守ること、縦に走る選手に置いていかれないことでしょう。トップ下なら、それこそセンターのMFに受け渡してもいい場面でも、後ろに最終ラインしかない選手がそれをすると、一気に「最後の砦で1対1」のピンチになってしまいます。このあたりは、ファン・ハール監督からも具体的なチェックが入り、一定は向上すると思われます。

いずれにしても、香川真司にとっては、サイドに追いやられてボールをもらえず、中に入っても頭上をボールが越えていくだけだったモイーズ・サッカーより、多くのボールが自分を経由する今のほうが楽しいでしょう。香川真司の空間認識力の高さは、センターMFとしての守備にこそ活かされると思います。ドルトムント時代に、クロップ監督が香川真司の守備力を評価していたのは、トップ下としてのチェイシングだけでなく、「奪われたボールをすぐに取り返す追い込み」「連携によってボールの出しどころを限定させて奪う守備」です。

前線やサイドにパスを出させない動きや、横パスを読んでインターセプトするプレイのクオリティが上がれば、ヤヤ・トゥレやガレス・バリーのようにマンマークで削りにいって奪い取るプレイが多少弱くても、プレミアリーグでセンターMFとしての守備の役割を果たせると思われます。彼にとっては元々、日本でやっていたポジションでもあるわけですから。

今回のASローマ戦で、むしろ気になったのは、マタの守備です。彼がトップ下としてのチェイシングやエリアを切る動きができていないため、いいポジションにいる選手に簡単にボールが渡ってしまい、ピンチを招くシーンが多かったと思います。マンチェスター・ユナイテッドが前半、ルーニー頼みだったのも、マタの動きのクオリティの低さと無縁ではないでしょう。今後、マタと香川真司を中央で同時に使うのは難しいかもしれません。香川真司、エレーラ、キャリックあるいはフレッチャーといった3センターもしくは2センター+トップ下だと、攻守のバランスもとりやすく、おもしろいのではないでしょうか。

まとめると、この日の香川真司は「中盤の組み立てはOK。守備はいいところと課題がそれぞれ明確、攻撃には迫力なし。トータル60点ながら、センターMFとしての未来には希望あり」といったところではないでしょうか。インターナショナル・チャンピオンズカップ第2戦、30日は長友佑都のインテルとぶつかります。次こそは、「3列目からの攻め上がりでもゴールを陥れられる香川真司」を見せてほしいと思います。がんばれ!

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