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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「オファーに号泣」ブルーノ・フェルナンデス、夢を叶えた冬の移籍のインサイドストーリー!

「ポチェッティーノのほうは…よくわからないけど、スポルティングが求める移籍金を高すぎると考えたのかもね。そしてその瞬間、スポルティングは売るべきでないと決断したのだろう」
「トッテナムは夏にやってきた。マンチェスターは1月だった。おそらく、トッテナムも1月にもう一度、来てくれたのだと思う。マンチェスターが興味を持ってくれているとわかったから、彼らと話したかっただけだ。イングランドで、僕の夢だったチーム。みんなが知っているように、いつも行きたいと思っていたチームに向かうチャンスを得られてハッピーだよ」(2020年6月4日、マンチェスター・イブニング・ニュース「Manchester United midfielder Bruno Fernandes lifts lid on failed Premier League transfer」より)

いわれてみれば、そうだったな…。ブルーノ・フェルナンデスの言葉に触れて、1年前の焦燥が蘇ってきました。当時、彼を狙っていると報じられていたプレミアリーグのクラブは、マンチェスター・ユナイテッドとトッテナム。オールド・トラフォード行きが決まった後、スポルティングのフェデリコ・ヴァランダス会長が「6月末にはブルーノを売却することになるだろうと考えていた」と述懐したように、前シーズンの公式戦で53試合32ゴール18アシストのエースの売却は既定路線でした。

デッドラインデーの前日、8月7日の「デイリー・メール」が「ブルーノ・フェルナンデスとトッテナムが個人合意」と報道。ポルトガルのクラブが要求する6000万ポンドをノースロンドンが呑めば、プレミアリーグ2019-20シーズンは実際とは全く違う展開になっていたかもしれません。ダニエル・レヴィ会長は、彼らが付けたタグを見て断念したと伝えられましたが、そのエピソードは選手の今回の証言とぴったり符合します。ロメウ・ルカクを売ったのに、なぜ…何が何でも24歳のプレーメイカーを獲ってほしかった私は、落胆したままプレミアリーグの開幕を迎えたのですが、本人の言葉で「マンチェスター・ユナイテッドは早期に検討を打ち切ったのだ」と初めて知りました。

そして、1月。プレミアリーグ24節を終えた時点で、マンチェスター・ユナイテッドはチェルシーと5ポイント差の5位。ポチェッティーノ監督が解任となったスパーズは、モウリーニョ監督の下で7位でした。冬のマーケットでは、3者の力関係は大きく変わっていました。指揮官が代わったクラブからは、夏のようなアグレッシブなアタックは見られず、マンチェスター・ユナイテッドがポールポジションと報じられました。最もトーンが変わったのは、スポルティングです。彼らは、「誰でもいいから買ってくれ」というモードにスイッチしていたのです。ここからは、ポルトガルメディア「Record」にバトンタッチして、2月の記事から会長のコメントを拾ってみましょう。

「交渉できない選手など存在しない。ブルーノ・フェルナンデスがその証拠だ。彼を売却しなければ、(収支の帳尻を合わせるために必要だった)1億1500万ユーロを得られなかった。1月に売れて、6300万ユーロを手にすることができた。夏にトッテナムのオファーに抵抗して、受けないと決めたことが結果的にうまくいった」

当時の「BBC」が報じた移籍金は4950万ポンド(=5500万ユーロ)でしたが、実際にはもう少し高額だったようです。「率直にいえば、怖かった。それは夢だった。あまりにも大きな夢だった」。ポルトガル代表MFは、マンチェスター・ユナイテッドからオファーがあると聞いた瞬間の印象を問われ、こう表現しています。「イブニング・スタンダード」の記事より、憧れのクラブに行けるチャンスを得た選手が赤裸々に語ったエピソードを紹介しましょう。


「僕にとって、イングランドで、マンチェスターでプレイすることはキャリアの中で最も重要なパートだった。世界最高のチームのひとつに加わることができ、プレミアリーグでプレイできるなんて…」
「 ブルーノ、マンチェスターに移籍する可能性があるぞ…あの電話を受けた後、僕は妻、兄、妹、母に次々に電話して号泣した。このトップクラブのために、自分はこのために、全人生を賭けて戦っていたんだ。チャンスはここにある。夢を追うために、両手でつかまなければならない。僕の家族は、初めてサッカー選手になりたいと思った頃のことを知っていた。プレミアリーグに参入してマンチェスターでプレイするという大きな夢を抱いていたことも知っていた」


5年半の契約を結んだ稀代のアタッカーは、公式戦9試合3ゴール4アシストという数字を残し、11戦連続で無敗を続けているマンチェスター・ユナイテッドの巻き返しに貢献しています。クラブの苦渋の決断、選手の無上の歓喜。複数のメディアのインタビューより、当時売る側だったポルトガルのクラブと選手の本音が窺える貴重な素材を得ることができたため、インサイドストーリーとしてまとめさせていただきました。これほどの思いをもって、愛するクラブの門を叩いてくれたことをうれしく思います。CL出場権獲得をめざして、頼む、ブルーノ!6月19日のフライデーナイト開催となった再開初戦は、敵地で行われるトッテナム戦です。


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“「オファーに号泣」ブルーノ・フェルナンデス、夢を叶えた冬の移籍のインサイドストーリー!” への1件のコメント

  1. より:

    めちゃくちゃいいコメントにいい記事でした!イガロとジェームスとラッシュフォード、マクトミネイ、グリーンウッドとクラブ愛があって口にしてくれる選手が増えてきました!プレミア再開が待ち遠しいです!ブルーノ頼む!

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