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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マンチェスター・ユナイテッドの「7年で10億ポンドの補強」を振り返る【前編】成功4人&失敗の5人

サー・アレックス・ファーガソンとデヴィッド・ギルのコンビが最後のプレミアリーグ制覇を果たしたのは、2012-13シーズンでした。リーグ優勝13回という素晴らしい数字を残した名将は、同郷のデヴィッド・モイーズを後継者に指名し、エド・ウッドワードがCEOに就任。以来7シーズン、プレミアリーグの頂点に立ったことが1度もないマンチェスター・ユナイテッドは、新たな戦力の獲得に10億ポンド(約1380億円)を投じています。このたびは「スカイスポーツ」のポッドキャストが、4人の指揮官と36のサインについてディスカッション。「名門クラブが成功しなかったのはなぜか」「いいサイン、悪いサイン」「ポグバは売るべきか」「スポーティディレクターは必要か」といったテーマで意見を戦わせています。

「サー・アレックスとギルが去り、エド・ウッドワードが最初のトランスファーウインドウに臨んだとき、チームには穴が開いていた。トニ・クロース、セスク・ファブレガス、ガレス・ベイルを手に入れようとしたが、獲得したのはマルアン・フェライニ。これがすべてを物語っている。その先の7年の兆候。彼らがギャラクティカになることはなかった。つぎはぎ、砂利だらけ、摩耗( graft, grit and grinding out)の結果だ」(ジェームズ・クーパー/スカイスポーツニュース)

結局1年もたなかったデヴィッド・モイーズ監督に与えられたのは、2900万ポンドのマルアン・フェライニのみ。1月に4000万ポンドでファン・マタを獲ったときには、エヴァートンから引き入れた監督は選手たちの信頼を失っていました。2014年の夏に就任したのはルイス・ファン・ハール。チームを若返らせようと腐心し、ラシュフォード、ルーク・ショー、マルシアルをチームに定着させた功績はあるものの、彼がいた2年は、マーケットから手繰り寄せた戦力に対する落胆が大きい時期でもありました。

「ファン・ハールはワールドカップの前に就任した。2014年のブラジルで彼のオランダを観て、多大な興奮を覚えた。彼は、ワールドカップで好成績を収めた数人の選手を連れてきた。ダレイ・ブリント、マルコス・ロホ、1年後にはバスティアン・シュヴァインシュタイガー。そのなかで3つの高価な失敗があった。アンヘル・ディ・マリアは6750万ポンド、メンフィス・デパイに 3060万ポンド。モルガン・シュナイデルラン獲得に3150万ポンドを支払っている」

「ファン・ハールが解任されたとき、彼に対するいくばくかの共感があったけど、費やした2億5000万ポンドは必要なヒエラルキーをもたらさなかったというほかはない。ディ・マリアとデパイは、最も失望した2人だった」(ジェラルド・ブランド/スカイスポーツ・デジタルジャーナリスト)

アンデル・エレーラは成功でしたが、ビクトル・バルデスとラダメル・ファルカオは不発。香川真司、ジョニー・エヴァンス、ウィルフリード・ザハを手離してしまったのは痛恨でした。FAカップしか勝てなかった戦術家は2016年の夏にチームを追われ、ファーガソンの後継者選びの際に本命だったジョゼ・モウリーニョがやってきました。初年度から、とにかく豪華だったニューフェイス。移籍金が高額だった順に並べると、総額9300万ポンドでワールドレコードを更新したポール・ポグバ、9000万ポンドのロメウ・ルカク、6120万ポンドだったフレッジ、4000万ポンド前後のマティッチ&リンデロフとなります。

ズラタン・イブラヒモヴィッチやヘンリク・ムヒタリアンといったワールドクラブも加わったチームは、2016-17シーズンにヨーロッパリーグとリーグカップを制覇。翌シーズンにはプレミアリーグ2位に食い込んだものの、ビッグタイトルには手が届きませんでした。3950万ポンドのリンデロフと3000万ポンドのバイリーがうまく機能していれば、3年めのモウリーニョ監督はあれほどナーバスにならなかったかもしれません。今、いえるのは、「7年の試行錯誤のなかで、最も強かったのは2017-18シーズンのチームだった」ということだけです。

モウリーニョ解任の後を受けたオーレ・グンナー・スールシャールは、3回のマーケットで9人を獲得しました。ハリー・マグワイアが8000万ポンド、ブルーノ・フェルナンデスに6770万ポンド、アーロン・ワン=ビサカは5000万ポンド、この夏のドニー・ファン・デ・ビークは3900万ポンド。ダニエル・ジェームズとオディオン・イガロをうまく使いこなせておらず、アレックス・テレス、エディソン・カバーニ、ファクンド・ペリストリはフィットするのに時間がかかりそうですが、3人の監督の下で行った27のサインと比べると、より的確な補強になっているのではないでしょうか。

「スカイスポーツ」は、レポートの最後に総評として「5つの最悪のサイン、4つのベスト、3つの取り逃がし、引き入れたい2人のレジェンド、最も必要な1人」を掲げています。最悪はディ・マリア、アレクシス・サンチェス、シュナイデルラン、ダルミアン、ディオゴ・ダロト。素晴らしい補強はズラタン・イブラヒモヴィッチ、ブルーノ・フェルナンデス、フアン・マタ、アンデル・エレーラ。痛恨の売却はメンフィス・デパイ、ウィルフリード・ザハ、ジョニー・エヴァンスで、チームに加えたいレジェンドはリオ・ファーディナンドとロイ・キーン(!?)だそうです。

最も必要なサインは、ジェイドン・サンチョではなくカリドゥ・クリバリ。ドルトムントのウインガーのポジションには、グリーンウッドがいると主張したいのかもしれません。なるほど。ひとりだけ選ばせてもらえるなら、迷わず「マウリシオ・ポチェッティーノ」ですが…。「スカイスポーツ」が最近リリースしたマンチェスター・ユナイテッドに関するレポートのなかでは、「スポーツディレクターは必要か」というテーマの記事も興味深いので、次稿で紹介させていただきます。(ルイ・ファン・ハール 写真著作者/Congres in Beeld )


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