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「3月の危機」を乗り越えられるか!? マンチェスター・ユナイテッド、4位確保への苦難の道

あれだけの大型補強をすれば、どうしてもツッコミは厳しくなるもの。イギリス紙「メトロ」「スカイスポーツ」が、昨季のモイーズ監督と今季のファン・ハール監督の勝ち点を比較し、「アウェイではモイーズ監督が強かった」と意地の悪い紹介をしています。上位4チームが強く、マンチェスター・ユナイテッドは4位に15勝ち点差をつけられてノーチャンスだった昨季のプレミアリーグと、より混戦のなかで踏ん張っている今季をただ数字で比べることには意味はありませんが、ファン・ハール監督のアウェイで3勝7分3敗という戦績は、明らかにプレミアリーグ4位のクラブの数字ではありません。地元紙「マンチェスター・イブニング・ニュース」は、マンチェスター・ユナイテッドが過去5年のプレミアリーグにおける4位の平均勝ち点72を得るには、あと8勝が必要とレポート。ホームで全勝は難しいとすると、残り12試合の半分となるアウェイ戦において、過去26試合と同じ数の勝利が必要ということになります。うーん、厳しい。

厳しいといえば、マンチェスター・ユナイテッドの3月と4月のスケジュールです。順を追うと、ニューカッスル、トッテナム、リヴァプール、アストン・ヴィラ、マンチェスター・シティ、チェルシー、エヴァートン。マージ―サイドの2クラブとチェルシーがアウェイ戦というのも大変で、マンチェスター・ユナイテッドの4位というポジションは、プレミアリーグ上位対決を先送りにした状態での途中経過なのであります。最終盤にアーセナル戦も残していますね。うーん、やはり厳しい。

ここまでを振り返れば、ファン・ハール監督の新チームは、結果はまずまずだと思います。エヴラ、ヴィディッチ、リオ・ファーディナンド、スコールズ、ギグスなど、ここ2年で全盛期のメンバーを次々と失ったうえに昨季痛んだチームをある程度立て直して、チャンピオンズリーグ出場権を狙える位置にはつけています。しかし、今後を占ううえでは、気になるのはサッカーの中身。就任から7ヵ月というそれなりの時間があったにも関わらず、戦い方を確立できていないのは、モイーズ監督もファン・ハール監督も同じです。昨季、プレミアリーグに復帰したモウリーニョ監督や、今季初めてイングランドで戦うことになり、主力を失ったチームを見事に上位に持っていったクーマン監督の歩みをみれば、ケガ人、選手層などといった言い訳はできません。

マンチェスター・シティがペナルティエリア脇のスペースを使ってグラウンダーのクロスで勝負し、チェルシーは裏を狙うジエゴ・コスタやサイドから斬り込むアザールなど、上位にいるチームは何らかの「ゴールへの方程式」があるのに対して、マンチェスター・ユナイテッドにはそれがありません。私は、「3月・4月の強豪対決の前に、スタイルがみえてくればよい」と考えていたのですが、のらりくらりとやっているうちにあっという間に時間切れとなってしまいました。どうしましょう、ファン・ハール監督。来季以降のことや監督の哲学については夏に落ち着いて考えるとして、喫緊の課題の解決策は「弱者のサッカーに徹する」だと思うのですが、いかがでしょうか。

ひとことでいえば、「ロングボール・ユナイテッドですが、何か?」。今のマンチェスター・ユナイテッドでいちばん計算できるのは、ディ・マリアとマタのキックの正確さとフェライニの頭なのではないかと思います。トップにファン・ペルシとフェライニを並べ、左右からディ・マリアとマタがひたすらクロスを送る。ヘッドが決まったらOK、こぼれたらルーニーが狙う。フォーメーションで表現すれば、4-3-1-2、ルーニーがトップ下、というところでしょうか。おや、こう書くと今と変わらないですね。いや、中身です。違うのは。

インサイドハーフに守備が心もとないマタを入れるのはリスキーですが、ブリントに攻め上がりを期待せず、バイタルエリアを締めていただき、球を散らす役割に徹してもらえばどうでしょう。それでも守りが不安なら、キャリックやバレンシアにマタと同じ役割をまかせるしかありません。

ラインは上げなくてOK。弱者ですから。カウンターと放り込みです。チェルシーやマンチェスター・シティ、リヴァプールからすれば、ポゼッションは高いものの横につなぐばかりで結局サイドからフツーのクロスを上げてくるチームより、やっかいなのではないでしょうか。ファン・ペルシに一発でもいいボールが入れば即、ゴールですから。裏にスペースがあるときのカウンターでは、ディ・マリアがいい仕事をすると思います。

ファン・ハール監督がリアリティを追求すれば、いけるはずです。フォーメーションこそ違うものの、スナイデルを中継地として、ひたすらロッベンとファン・ペルシにボールを集めてスペインに圧勝した夏の衝撃を、私は忘れていません。とにかく、勝ってほしいのです。来季はチャンピオンズリーグを戦ってほしいのです。4位を確保したいなら、これから当たるプレミアリーグ上位の5クラブのうち、3つは食わないといけません。大将、ご決断を。

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“「3月の危機」を乗り越えられるか!? マンチェスター・ユナイテッド、4位確保への苦難の道” への4件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    状況を打破するには大きな転換が必要かもしれませんね。
    昨年12月レッズがユナイテッド戦でロジャーズは3バックを持ってきました。私は否定派でしたが、今ではこの3バックが機能しているので、ある種の決断は必要なのかもしれませんね。しかし残された時間も厳しいですね、、、。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    そうなんです。時間が厳しいです。なまじいいときがあっただけに、改革が遅れてしまった感があります。

  3. Uボマー より:

    結局今シーズンはファンハールがプレミアを勉強する一年になってしまいそうな感じです。とにかくフォーメイションもポジションも固定できていないのが痛い。前半戦は上位陣に対しても昨シーズン以上の戦いができていますが、調子を上げてきたリバプール、アーセナルには勝てそうにありません。

    makotoさんの仰るとおりロングボールユナイテッドに徹することができるかどうかがシーズン残りのカギになりそうですね。ディフェンスが弱いことは監督も自認しているかと思うので、今シーズンにおいては理想とするパスサッカーを諦める決断を早めにしていただきたいところです。現状ならファーガソンが監督をしていてもロングボール戦術に頼っただろうと思いますし。

  4. makoto より:

    Uボマーさん>
    そうなんです。アーセナルやトッテナムには効きそうですよね、ロングボール。

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