偏愛的プレミアリーグ見聞録

チームの絶対的エースは、昨季プレミアリーグで37試合18ゴール12アシスト。キーパス95本とビッグチャンスクリエイト20回は、リーグTOPの数字です。セリエAから復帰したレジェンドは、リーグ戦33試合29ゴール2アシスト。プレミアリーグに場を変えて戦うことになったロメウ・ルカクに5本差をつけて、文句なしの得点王に輝いています。

ブルーノ・フェルナンデスとクリスティアーノ・ロナウド。ポルトガル代表の前線でともに戦うワールドクラスが、マンチェスター・ユナイテッドでタッグを組むことになりました。初戦の相手はニューカッスル。プレミアリーグ創設以来、31勝14分7敗と圧倒しているチームで、最後にホームで敗れたのは8年前です。オールド・トラフォードに戻ってきたCR7にとっては、類まれなる得点力を誇示する最高の舞台。開幕戦でハットトリックを決めたブルーノも、ゴールシーンに絡むパフォーマンスを期待されています。しかし…。

「スカイスポーツ」のアダム・ベイト記者の指摘は、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターでなくても気になるところです。「奇妙なことがある。お互いにリスペクトしているにもかかわらず、相互に補完すべきポジションでプレイする代表のチームメイトであるにもかかわらず、ピッチ上での2人の関係は発火していない」。もっと簡単にいえば、「CR7とともにプレイすると、ブルーノは死ぬ」という関係に陥っているのです。

最強であるはずのコンビは、ポルトガル代表のユーロ2020予選において、22ゴールのうち12ゴールをゲットしています。しかし、その内訳を見ると、CR7が11ゴール、ブルーノはたった1ゴール。マンチェスター・ユナイテッドのプレーメイカーが記録した2つのアシストは、他の選手に決めさせたパスでした。ユーロ2020の本大会でも、彼らは解決策を見出せずに終わりました。巻き返しを期したブルーノ・フェルナンデスは、CR7がゴールを決めたとき、ピッチにいたことすらありませんでした。

「ブルーノ・フェルナンデスは、ポルトガル代表で自分の役割と居場所を見つけられていない」というのが大方の評価ですが、4-2-3-1のトップ下に入った8日のアゼルバイジャン戦では、ベルナルド・シウヴァの先制点をアシストしています。しかし、この試合が行われたとき、問題のもうひとりの当事者であるCR7はマンチェスターにいました。ゴール右に浮かした絶妙なラストパスは、2人が揃うとうまくいかないという定説を補強しただけでした。

理由のひとつとして挙げられるのは、ポルトガル代表を指揮するフェルナンド・サントス監督の戦術です。2人が同時にプレイするとき、ブルーノが中盤やサイドで深いポジションを取ることが多く、ファイナルサードで働く時間が減ってしまうのです。スールシャール監督に秘策はあるのでしょうか。彼らに自由を与えれば、問題は部分的に解決するかもしれませんが、リスクをとって攻めに傾く選手が2人もいれば、相応の逆襲は覚悟しなければなりません。

「彼はある時点で、間違いなくピッチにいる」。マンチェスター・ユナイテッドの指揮官は、ニューカッスル戦での起用を明言しています。半分は楽しみ、半分は不安なクリスティアーノ・ロナウドのプレミアリーグ再デビュー。その瞬間が訪れたとき、ファーガソン時代に素晴らしいゴールを決め続けた7番のパフォーマンスよりも、マンチェスター・ユナイテッドをTOP4に復帰させたキーマンのポジションに注目してしまいそうです。