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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

批判高まるファン・ハール監督。貧攻マンチェスター・ユナイテッドに最適な処方箋は…!?

「プレミアリーグで3位、チャンピオンズリーグはグループ2位につけているのに、なぜ批判される?」とファン・ハール監督はいうのでしょうが、その理由はご本人がいちばんよくわかってらっしゃるのではないでしょうか。このままゴール欠乏症を放置しておけば、チャンピオンズリーグは12月でジ・エンド、プレミアリーグでも近いうちにリヴァプールとトッテナムの追撃にかわされるでしょう。イギリスメディア「テレグラフ」は、あの手この手で「マンチェスター・ユナイテッドがいかにやばいか」を煽ってくれています。ありがたいことです。何しろ頑固な指揮官ですので、チームがよくないときには強烈な外圧でケツに火を着けたほうがいいのではないかと思います。

彼らの記事によると、今季のマンチェスター・ユナイテッドは1本シュートを放つまでに76.6本のパスをつないでいるそうです。これはもちろん、プレミアリーグではダントツのワースト。多い順に2位がアストン・ヴィラの56.2本、3位はボーンマスの56.1本、4位スウォンジーが55本で、5位ニューカッスルが53.9となっています。2位以下の4クラブは、すべてプレミアリーグ15位以下の絶不調クラブで、さすがにこの1位は居心地が悪いです。ゴールの絶対数が少なければ率は悪化するので、下位とマン・ユナイテッドではパスが多い理由は違うのですが、ここから導き出せる結論は、「手数も時間もかかり過ぎる非効率なサッカーをしている」ということでしょう。

さらに「テレグラフ」では、ファン・ハール監督のやり方に疑義を呈するこんな記事も出ています。「Louis van Gaal is selfish and scaring his Manchester United players, says Paul Parker(ポール・パーカーは語る~ファン・ハール監督はジコチューで、マンチェスター・ユナイテッドの選手たちに怖れられている)」。イングランド代表とマンチェスター・ユナイテッドで活躍したパーカー氏は、最近8試合で5ゴールしかなく、ゴール数がプレミアリーグ7位に留まっているクラブの指揮官について、「独善的で柔軟性がない」と非難しているのです。

文中では、ポール・スコールズが「彼のチームでプレイしたいとは思わない」、リオ・ファーディナンドが「中盤に脅威がない」と批判していたことも取り上げており、多くの識者の発言に、共通項があるのではないかと主張しています。曰く「監督を怖れて、選手が自由にプレイできていない」「楽しんでいない」。マルシアルからは笑顔が消え、デパイはスケープゴートにされ、ファンの間では人気があるエレーラには自由がない、と。これには、納得です。私も、プレミアリーグを観ていていちばん気になったのは、選手たちの表情です。鬼気迫る顔を見せているのは、シュヴァインシュタイガーとスモーリングぐらいで、最近はデ・ヘアですら冴えない表情を浮かべています。

選手たちが活き活きとサッカーができ、ゴールを奪って快勝という結果を残すためには、どこから着手するのがいいでしょうか。現状の攻撃の課題は、大きく3点だと思います。「3人以上の選手が連携を取って攻めるシーンがないこと」「サイドMF(あるいはウイング)とSBのコンビネーションでサイドを破る攻撃が激減していること」「カウンターがないこと」。端的にいえば、「昨シーズン、4-2で圧勝したマンチェスターダービーでの攻撃を思い出しましょう」ということです。デ・ヘアのゴールキックをフェライニが落として、エレーラのクロスをアシュリー・ヤング。ブリントとアシュリー・ヤングの連携から、最後はフェライニのヘッド。カウンターからルーニーのスルーパス、GKとの1対1でマタの左足。FKからスモーリングのヘッド。7ヵ月前はできていた、あの試合をやれればいいのです。

マンチェスター・シティやアーセナルが見せる、複数の選手の連携でペナルティエリア脇を陥れるきれいな崩しができればいいのですが、カソルラやヤヤ・トゥレ、フェルナンジーニョのようにセントラルMFが攻め上がる崩しをやるとなると、ファン・ハールスタイルの改革を余儀なくされ、さすがに時間がかかるでしょう。何よりも、ファン・ハールさんが嫌がりそうな、リスクをとった攻撃をいきなり導入するところに無理があります。そこで、もっとシンプルに、1点です。「サイド攻撃とカウンターの比率を高め、その際は選手の創造性とアイデアに任せる」。

アーセナルがカウンターサッカーをオプションとして持つようになったのと同様に、マンチェスター・ユナイテッドも「サイドでボールを奪ったら縦ポン」などと、速い攻撃を取り入れたらいいのではないかと思います。この戦術は、攻撃のスピードが上がるだけでなく、「ボールを奪われてもピンチになりにくい」、すなわちファン・ハールさんも安心というのがミソです。少人数のカウンターなら、失敗しても自陣に味方が残っています。サイドの深い位置で奪われても、ボールがセンターサークル付近に戻ってくるまでに時間があります。プレミアリーグ最少失点の守備が、これで崩壊するようなことはないはずです。

いかがでしょう。デパイやマルシアルは、水を得た魚ではないでしょうか。後ろからいいフィードができるブリントをCBにしてよかった、と思えるのではないでしょうか。カウンターではルーニーやマタのパスセンスが活かせて、サイド攻撃ではアシュリー・ヤングを最終ラインに組み込んでいる意味も増すと思われます。手数の少ない攻撃。縦へのスピード。繰り返しますが、ファン・ハール監督にはお願いしたいのは、これだけです。

「2015年4月12日、オールド・トラフォードでマン・シティを相手に披露してくれたあのサッカーを、これからは毎週見せてほしい」。チャンピオンズリーグでの成功と、プレミアリーグでのジャンプアップを信じています。

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