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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

呑まれてやられたショッキングな敗戦…未来が見えないマンチェスター・ユナイテッド!

GKデ・ヘア、最終ラインはダルミアン、フィル・ジョーンズ、ロホ、ルーク・ショー。中盤はシュヴァインシュタイガー、フェライニ、ヤヌザイ。3トップにバレンシア、ルーニー、アシュリー・ヤング。昨日逆転負けを喰らったミッティラン戦のスタメンではなく、プレミアリーグの話でもなく、サポーターサイトが紹介した「マンチェスター・ユナイテッドのケガ人イレブン」です。

これを見せられると一瞬たじろいで、「さすがに負けても仕方ないのかも…」という気分に支配されそうになりますが、いやいや、だからといってチャンピオンズリーグの出場権がかかっている大事なヨーロッパリーグを捨てていい理由にはなりません。マルシアル、デパイ、マタ、キャリック、リンガード、エレーラ。まずまずのメンツではないですか。最終ラインのドナルド・ラブとGKロメロは気になるものの、先発ボースウィック=ジャクソンでストークに3-0と完勝したチームです。プール、ライリーら無名の若手が並ぶベンチさえ見なければ、ミッティランにはアウェイでも勝って当然でしょうと胸を張っていいたくなるわけです。

何のことやらよくわからないという方にも、デンマーク王者のミッティランの欧州における戦績をお伝えすれば、確かにそうだと同意してもらえるのではないでしょうか。彼らは、8月のELプレーオフでサウサンプトンに1-1、1-0で競り勝ってグループステージ進出を果たしたチーム。こう書くと、現在プレミアリーグ6位のクラブに競り勝ったのだからなかなかじゃないかと思われるかもしれませんが、夏のセインツはプレミアリーグ開幕から1分1敗と出遅れたチーム。ミッティランとのゲームは、本拠地セント・メアリーズでエヴァートンに0-3と惨敗した直後で、とにかくプレミアリーグが最優先と半ば捨てていたのです。勝ち抜いたミッティランはグループDで2位通過を決めたのですが、首位ナポリとのゲームは0-5、1-4とお話になりませんでした。グループステージ6試合で、2点以上獲ったのは1試合のみ。設立1999年は、マンチェスター・ユナイテッドより121年遅れで、昨夜の試合はウインターブレイク明けの2ヵ月ぶりの公式戦です。繰り返します。アウェイでも、勝って当然でしょう。

マンチェスター・ユナイテッドの選手たちが、平常心で戦えていたのは最初だけだったのではないでしょうか。8分のカウンターは、リンガードのスルーパスもデパイの飛び出しもオッケー。シュートがDFに当たったのは残念でしたが、快勝を予感させる鮮やかな攻撃でした。直後にブリントがニアにいたマタに出し、角度のないところからシュートにいったトリックプレイも見ごたえがあります。しかしこの後、ミッティランの前の選手に高い位置からプレスをかけると何か起こるかもしれないと思われると、アウェイチームは徐々に冷静さを奪われていきます。

20分に右からマルシアルが持ち込んでシュートを打ったシーンは、フォローする選手のポジションが今ひとつ。CKからスモーリングがヘッドで合わせたボールには、誰も反応できません。ミスパスを奪われるシーンが増えるマンチェスター・ユナイテッド。信じられない光景を見たのは、デパイのFKをGKにセーブされた後の36分でした。

残り10分で負けているし合いならともかく、0-0のゲームで全員が敵陣に入っていたのはなぜだったのでしょうか。カドレツが自陣から独走するカウンターは、1対1となったロメロが冷静に球筋をみて足に当ててくれなければアウトでした。しかしマンチェスター・ユナイテッドは、直後にカウンター返しで先制します。右サイドをフリーで上がったリンガードからのクロスをワントラップでねじ込んだのはメンフィス・デパイ。プレミアリーグデビューシーズンをわずか2ゴールと苦しんでいた男が、今日は勝利に貢献してくれそうです。ところが44分、同点ゴールはキャリックとエレーラが犯した自陣でのパス交換のミスからでした。ひとりで持ち込むシストにエレーラはついていくことしかできず、ファーサイドにDFがいたにも関わらずロメロはニアをがら空きにしてしまいました。あと2分、落ち着いてボールをまわしてさえいれば優位で迎えたハーフタイム。1-1のゲームの後半は、悪夢のようなプレミアリーグ26節、サンダーランド戦のリプレイを見ているような結末でした。

後半は、立ち上がりからマンチェスター・ユナイテッドのペースでした。53分にデパイのクロスをマタがフリーでヘディングシュート。3分後、エレーラが上げた左からの浮き球をボレーでクロスバーに当てたリンガードの一撃が決まっていれば、畳みかけることができたかもしれません。ところがこの後は前半同様、前線から追いかければ何かが起こると信じて、攻めの気持ちを失わなかったホームチームが何度となくチャンスを創ります。試合前に負傷したデ・ヘアの後を受けて、急遽ゴールマウスに立ったロメロはよくやっていたと思います。62分に途中出場のオヌアチュに喰らったヘディングシュートを止めたのはお手柄。しかし、77分にオヌアチュのシュートをキャリックがブロックした後、ドリブルで持っていこうとしたマタが奪い返され、再度オヌアチュに冷静に左隅を狙われた決勝ゴールは、どうすることもできませんでした。

ベンチには、プレミアリーグでのプレイ経験すらない若手ばかり。72分にエレーラをシュナイデルランに代え、中盤を落ち着かせようとして失敗したファン・ハール監督の交代カードは、アンドレアス・ペレイラしかありません。失点直後に大事なカードを切ったのは理解できるものの、失点の原因となってしまったマタを下げたのは感情的だったのではないでしょうか。レスター戦でボールを奪われるシーンが目立っていたアーセナルのメスト・エジルが最後に大きな仕事をしたことを思い出せば、精度の高いマタのパスは、握っておきたい命綱だったように思います。かくして、マンチェスター・ユナイテッドは敗れました。ファーガソン時代には当たり前だった、執念の同点劇を見せることなく。

ポジティブな要素を挙げるとすれば、アウェイゴールを奪っての敗戦だったこと、シュートを14本打ったこと、最終盤に必死の攻撃を見せてくれたことでしょうか。逆にいちばんショッキングだったのは、2失点自体ではなく、DFラインの不安定さを完全に見透かされてマイボールの状況でも最前線で4~5人につつかれたことです。キャリックとエレーラのミスからの失点は必然でした。とはいえ、頭数を揃えるのが精一杯のチームを早期に立て直せといってもできることは限られています。このうえは、多少の失点は覚悟しても攻めるしかないでしょう。ルーニーでもマルシアルでも、誰がワントップに入っても必ず孤立する戦術には重大な欠陥があるように思いますが、遠めから積極的にシュートを打つ姿勢を見せ続ければ、休み明けのクラブやプレミアリーグ下位から1点しか獲れない貧攻解決の糸口は見えてくるのではないかと思います。

FAカップ5回戦のシュルーズベリー・タウン戦、ミッティランとのセカンドレグ、プレミアリーグのアーセナル戦はすべて中2日。負傷者回復のための時間がほしいマンチェスター・ユナイテッドに追い撃ちをかけるように、負けられない試合が続きます。

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“呑まれてやられたショッキングな敗戦…未来が見えないマンチェスター・ユナイテッド!” への2件のフィードバック

  1. queen より:

    相手がどうこうは置いといて、二対一ならそこまで悪くない結果ですね。
    内容が悪いのはもう仕方ないので、今は這いつくばってでも結果を出して欲しいものです。
    アーセナル戦は別ですが(笑)。負けられないのはアーセナルも同じですので。

  2. makoto より:

    queenさん>
    ELは「ホームでゴールできるかどうか」ですね。こんな心配をしていること自体が残念ですが…。アーセナル戦は、気持ちの入った試合を期待してます。

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