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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

最初に着手したのはドレッシングルーム。テン・ハフ監督が自らに課した最大のミッションとは?

ダロト、マグワイア、ルーク・ショー、マラシア。エランド・ロードに乗り込んだリーズ戦のスタメンを確認した瞬間、思考が停止しました。リサンドロ・マルティネスとヴァランがいない!カゼミーロとエリクセンを欠いたチームは、後方からのパスの精度も失い、最初の45分はブルーノ・フェルナンデスの奮闘だけが目立つ退屈な時間でした。

エリック・テン・ハフの意図は、「マンチェスター・イブニング・ニュース」が配信した試合後のレポートでわかりました。ヨーロッパリーグプレーオフのバルセロナ戦のために、ルーク・ショーをCBに置いて、マラシアに中盤のサポートをさせる布陣を試しておきたかったそうです。なるほど。いやいや、マジですか?これが事実なら、あまりにも大胆な選択です。

激戦のプレミアリーグで3位のマンチェスター・ユナイテッドは、上をめざせる一方で、下からの追い上げも気になる緊張感が高い状況です。そんななかで、オールド・トラフォードで引き分けてしまったばかりの相手のホームでテストをするとは…!カゼミーロがいなければ、後ろはレギュラーで固めるのがフツーでしょう。胆力がない監督にはできない采配です。

バルサ戦に向けた準備という意図があったとすれば、リーズ戦は指揮官のテストが失敗した試合であり、チームに誰が必要なのかを思い知った一戦ともいえるでしょう。カゼミーロは不在によって自らの価値を示し、リサンドロ・マルティネスは61分にマラシアと代わり、ゲームチェンジャーとなりました。

「マンチェスター・イブニング・ニュース」のタイロン・マーシャル記者によると、情熱的なアルゼンチン人と経験豊富なブラジル人は、ドレッシングルームの改革にも貢献しているとのこと。1月に加わったマルセル・ザビッツァーに、マンチェスターで過ごした12日の印象を聞くと、こんな答えが返ってきたそうです。

「最初の瞬間から、とてもいい雰囲気がチームに漂っているのを感じた。いいスピリット、いいゴールイメージ。グッドチームだ。楽しいね」

ラルフ・ラングニックのライプツィヒでプレイしていたセントラルMFは、勝手を知る指揮官がいた1年前のドレッシングルームに加わったとしても、同じような好感は抱かなかったでしょう。チームスピリットの変革を最大のミッションとしていた指揮官は、描いていたプランよりも早く、改革を成し遂げたのではないでしょうか。

チームに誰が必要なのかを浮き彫りにした一戦は、テン・ハフのモチベートによってパフォーマンスを高めた2人のゴールで決着しました。ルーク・ショーのクロスをヘディングで決めたラシュフォードと、ヴェグホルストのスルーパスで抜け出したガルナチョです。

スールシャール時代に左右センターとポジションを変えられ、自らの強みを見失っていた10番は、笑顔でプレイしようと語りかけた指揮官によって、悩みの季節を終えることができました。プレミアリーグ再開後の公式戦15試合で13ゴール。左サイドを主戦場としながら、直近の3発はセンターにまわってからのゴールです。

昨季のFAユースカップで6戦7発3アシストという数字を残し、頭角を現したガルナチョは、ここぞというシーンでの起用によって順調に成長しています。公式戦21試合3ゴール3アシストは、ウインガーのスタッツとしては今ひとつですが、途中出場15戦で3ゴール3アシストといえば、印象は変わるでしょう。

ラシュフォードの復活、ガルナチョの抜擢、エリクセンのコンバート、カゼミーロとリサンドロ・マルティネスによる活性化…。彼らに加えて、パントを蹴るシーンが減ったデ・ヘア、CBでも機能するルーク・ショー、ブラジル代表のチームメイトの脇で笑顔を見せるフレッジも、テン・ハフ効果を感じさせる面々です。

入団直後のリサンドロ・マルティネスが、身長が足りないと非難されていたのは、今となっては笑い話。チームスピリットを壊しかねない問題を起こしたロナウドを制し、袂を分かつという着地に導いたのも指揮官の手柄のひとつに数えていいでしょう。地元メディアによると、冬に獲得したザビッツァーとヴェグホルストは、キャラクター採用だったそうです。

晴れ晴れとした気分で応援できるチームに仕立ててくれた監督に、とても感謝しています。今季こそ、ぜひトロフィーを!


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