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公式戦3連勝!指揮官と新戦力がマンチェスター・ユナイテッドにもたらした7つの変化【前篇】

プレミアリーグ開幕からまだ2試合、コミュニティシールドを入れても3試合。 ポール・ポグバが4年5か月ぶりにオールド・トラフォードのピッチの感触を確かめたばかりのタイミングで、マンチェスター・ユナイテッドが最終的にどこまでいけそうかなどと語るのは時期尚早ですが、ファン・ハール時代からの明確な変化について、気づいたことを整理させていただこうと思います。

ウェンブリーでレスターに2-1、プレミアリーグではアウェイのボーンマスに1-3、サウサンプトンに2-0。ぎこちないつなぎや自陣でのパスミスが目立つ、発展途上のチームながらも全試合2ゴール以上での3連勝は、モウリーニョ監督としては望み通りの滑り出しであり、ファンにとっては昨季までは観られなかった夢のようなスペクタクルです。ファン・ハール監督2年めの2015-16シーズンは、最初の3試合を2勝1分けでも得点わずか2、セルヒオ・ロメロ起用で失点ゼロと、「守り勝つチーム」だったのです。9月から10月にかけては5試合中4試合で3ゴールを挙げてプレミアリーグ首位に立ったチームは、その後ゴールを決められなくなり、11月末からの3分け3敗で優勝の望みを失いました。今季は、大量の負傷者が出ない限りは同じ道を歩くことはないでしょう。ルーニーしかいなかった最前線にはイブラヒモヴィッチとラシュフォードがおり、中盤の顔ぶれも充実。昨季の失点の少なさは、多分にデ・ヘア様担保でしたが、今は「ゴール前でシュートを打たせない」守り方ができるようになりつつあります。

さて、ここから、いくつかの変化について触れてまいります。バレンシア、バイリー、ブリント、ルーク・ショーの最終ラインは、必ずしもモウリーニョ監督のベストではなく、スモーリングやフィル・ジョーンズが使えないからこその選択でもあったのだと思われます。バイリー以外は一見、ファン・ハールの遺産のように見えますが、大きな変化として「SBの縦への突破の増加」「スペースを埋めるゾーンディフェンス」「カウンターに対する対応」が挙げられます。

いちばん予想を裏切ったのは、「SBは攻めっ気が強いタイプではなく、しっかり守る選手を好む」とされるモウリーニョ監督が、ルーク・ショーとバレンシアに目いっぱい攻めさせていること。バレンシアがぐりぐりにオーバーラップするだけでなく、ルーク・ショーも何度も単独でペナルティエリアに入っていきます。これについては、ショー本人が「モウリーニョの一般的なイメージと実際は違う。攻め上がりは両サイドが同時にいかなければ自由だ」と語っており、ファン・ハール時代よりも攻撃への志向、とりわけ縦に突破する要求は強くなっています。これによって、マタやマルシアルが中に斬り込みやすくなっているのも、昨季よりも格段にフィニッシュにつながるシーンが増えている理由だと思います。

ディフェンスに関しては、フェライニ、エレーラ、ポグバなどセントラルMFとセットで語ったほうがいいでしょう。モウリーニョ流は、中央の選手がしっかりバイタルエリアを埋め、サイドからクロスが入る際には最終ラインに加わって対応させる守り方です。フェライニが輝いているのは、モイーズ監督やファン・ハール監督が彼の高さや攻撃力を前で活かそうとしたのに対して、モウリーニョ監督が守備最優先のミッションを与えているからではないでしょうか。攻撃においては周囲を使うより使われるタイプのフェライニは、インサイドMFに置くと「いいパス出せず、かといって前線に上がるには距離があり、守備も中途半端」になっていましたが、現在は豊富な運動量とフィジカルの強さで中盤をカバーし、獲ったボールをポグバやルーニーに素早くつなぐ役割に徹しています。これが機能し続ければ、シュナイデルランの出場機会は激減するかもしれません。

中盤が助けてくれるのでCBの負担が軽減され、バイリーとブリントがゴール前でシュートを打たれるシーンは少なく、デ・ヘアの素晴らしさを語る機会が減りました。昨季までは、自陣でパスミスがあると一気にシュートまで持っていかれていたのですが、今のマンチェスター・ユナイテッドは中盤の選手がディレイさせている間にペナルティエリアまで戻りきるシーンが多く、時折インターセプトを喰らっても致命傷にならずに済んでいます。「まだまだ中盤のミスが多い」と文句をいいながら観ているサポーターでも、「それでも去年よりは安心感がある」と捉えている人のほうが多いのではないでしょうか。

この稿は長くなりますので、「公式戦3連勝!指揮官と新戦力がマンチェスター・ユナイテッドにもたらした7つの変化【後篇】」に続きます。

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“公式戦3連勝!指揮官と新戦力がマンチェスター・ユナイテッドにもたらした7つの変化【前篇】” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    何度も書き込んでしまいますがやはりショーとバレンシアの攻撃での躍動、フェライニのフィルターとしての役割が開幕からはまっていますね。
    フェライニはシュネイデルランにして欲しかったことをすべて体現できているように感じます。
    現有戦力と新戦力との相性も非常によく、モウリーニョ招聘を始めこれらの移籍をまとめてくれたエドには感謝です。
    どちらかというと就任当初のモイーズ監督の影響もあって馬鹿にされている印象の方が強いですが彼なりにクラブのために頑張っているのが形になってきていると思います。
    まあ彼のような人物は応援したくなるという私情の方が強いのですが(笑)

  2. makoto より:

    yutoさん>
    補強は相当感触いいですね。モウリーニョさんが、選手たちのいいところを活かす采配を取っているようにみえるのもうれしい限りです。

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