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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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運、ミス、自信だけではないはず…マンチェスター・ユナイテッドを立て直す4つのプラン

マンチェスターダービーで1-2、ヨーロッパリーグのフェイエノールト戦は0-1、プレミアリーグ5節のワトフォード戦は3-1。ジョゼ・モウリーニョ監督が公式戦で3連敗したのは、14シーズンぶりだそうです。解任までのプレミアリーグ16試合を4勝3分9敗と低迷した昨季のチェルシーでは、リーグ3連敗はあったものの、リヴァプールにホームで1-3と敗れた直後のチャンピオンズリーグでキエフに勝っており、3つ続けて落としたことはありません。ワトフォード戦後のモウリーニョさんは、チームは自信を失っているとしながら、3つの敗因を挙げています。

「敗因は3つだが、私が対処できるのはひとつだけだ。ひとつめは、個人あるいはチームとしてのミス。これは自分たちで改善できる。2つめはレフェリー。彼らのミスをコントロールすることは私にはできない。試合の結果は語られても、最初の失点についての愚かな状況が話題にされることはない。3つめは運だ。今日は運がなかった。われわれの方が優れていたが、負けてしまった。ズラタンのヘディングを止めたゴメスのセーブは神がかっていた」

うーん…。レフェリーについては、マルシアルがブリトスとヤンマートにつぶされたシーンがファールだったといいたいのでしょう。試合が1-1で終わっていたのなら、あれがなければと思わないこともないのですが、1度は追いつきながら2点を失って負けたゲームについて、最初のゴールが敗因だといわれても納得感はありません。運とミス…こちらもあまりにも漠然としています。ここは、マンチェスター・ユナイテッドの不振について具体的に語っている評論家のみなさんの声に耳を傾けてみましょう。まずは、最近は何かと「喝!」状態のポール・スコールズ氏からお願いします。

「ボールを持ったときのクオリティは、マンチェスター・ユナイテッド史上最低だ。これはひどい」「今日のフェライニは、悪くなかったと思う。あのポジションの仕事をこなしてはいた。しかし、マンチェスター・ユナイテッドではさらに上のプレイが求められる。相手を止めるだけでなく、ゲームをコントロールして、ボールを前に進めるプレーメーカーが必要だ」

そしてもうひとりは、イギリスメディア「デイリー・メール」にプレミアリーグ開幕3連勝のチームの停滞要因を語ったジェイミー・キャラガー氏です。「デイリー・メール」は、ポグバ獲得直後から「4-3-3で戦ったほうが彼は活きる」と主張していたメディアです。ルーニー、シュナイデルラン、ポグバを中盤に並べる布陣を推していた私とベクトルが合っており、今回のキャラガーさんの着目点も、ポグバとルーニーです。

「ユヴェントスのポグバは、自由に動いて相手を混乱させていた。周囲にはピルロとマルキージオがおり、 彼は守られていた。しかし、2センターでプレイしたユーロ2016の彼は、残念な出来だった。 モウリーニョは4-2-3-1を採用しているが、フランス代表と同様にポグバはセントラルMFで苦しんでいる。4-3-3にするという選択肢もあるが、それをすると他の選手に波及してしまう。ムヒタリアンやルーニーといった10番の選手だ。 そのとき、監督はひとりの選手をよりフィットさせるために変化をもたらすべきなのか。彼にかかったコストが9000万ポンドだとすれば、答えは『YES』だろう」

フェライニから前線への効果的なパスが少なく、ポグバも中盤でパスミスを連発。ルーニーは下がってしまい、相手の最終ラインを崩すパスもシュートを放つ場面もなく、トップ下不在のなかでイブラヒモヴィッチは孤立。昨季プレミアリーグ11ゴールのマルシアルは不調で、唯一危険な存在だったラシュフォードはゴールから遠いサイドでのプレイに終始していました。スモーリングは今季のマンチェスター・ユナイテッドの守り方をインストールできておらず、マークがずれてクロスから2失点。チームが抱えている骨太な課題は、こんなところではないでしょうか。マンチェスター・ユナイテッドの攻撃の改善は、自信を取り戻す、ミスを減らすというレベルの話ではないと思います。明快な変化がなければ、ズラタンの一発頼みからは脱却できないでしょう。以下に、考えられるプランを挙げてみましょう。

フォーメーションをいじらないなら(1)ラシュフォードをズラタンの後ろに置いて、セカンドストライカーとして機能させる。(2)ポグバをトップ下に据えて、突破力とシュート力を活かす。抜本的に見直すなら、(3)ポグバとルーニー(あるいはエレーラ)をインサイドMFに並べる4-3-3にフォーメーション変更する。(4)ラシュフォードとズラタンの2トップ。ワトフォード戦では相手にPKを献上してしまったフェライニが、守備で貢献してくれているのは確かですが、スコールズさんのおっしゃるとおり、中盤の底にはプレーメーカーとして動けるキャリックかシュナイデルランを起用したほうがベターなのではないかと思います。すっかり守備的MFになってしまったシュナイデルランは、セインツ時代は正確なロングフィードを次々と両サイドに通しており、指揮官がその能力を引き出せればチームにより必要な存在になれるでしょう。

4つの案からひとつ選べといわれれば、4-3-3へのスイッチです。GKデ・ヘア、CBバイリー、左のルーク・ショーはレギュラー当確。右サイドはダルミアンにがんばっていただき、バレンシアとのポジション争いで互いにレベルを上げてもらえればと思います。中盤は、アンカーにキャリックかシュナイデルラン、インサイドMFにはポグバとリンガード、あるいはエレーラ。マルシアルとムヒタリアンが両翼に構え、最前線はイブラヒモヴィッチ。ラシュフォードは攻撃陣に数を足したいときのオプションで、ときにズラタンの代わりにトップ起用。フェライニは、後ろに運動量が必要なシーンで起用するか、前線でタワーとして体を張るかのいずれかです。

昨季のポグバは、欧州主要リーグにおけるボール奪取数では18位、タックルは92位。一方でアシストとドリブル成功数はTOP10入りしています。ポグバの攻め上がりを促し、中に斬り込む形を増やすことと、ムヒタリアンやマタが多彩なプレイをできるようにすることを考えれば、現在の4-2-3-1より4-3-3のほうが機能するのではないかと思います。

そしてウェイン・ルーニーは…。まずは、モウリーニョさんに、「彼はストライカーである」というバナーを取り下げていただいたほうがいいのではないかと思います。4-3-3に組み込むとすれば、右のインサイドMFか左サイドでしょう。ただし、シュートを打たず、プレイが遅い今のルーニーは、しばらく控えにおいて他の戦い方を模索してもいいように思います。プレミアリーグ開幕節のボーンマス戦でゴールを決めて以来、セルフジャッジで下がってくるシーンが増えたキャプテンのプレイは、チームの攻撃を単調かつ貧弱にしている最大の要因なのではないでしょうか。いずれ、ルーニーが必要になるときは来るのだと思いますが、現在は、キャラガーさんの警鐘を笑ってスルーするわけにはいかない状況です。

「ウェイン・ルーニーは、今後3~4か月の間に、イングランド代表よりもむしろマンチェスター・ユナイテッドで問題になると思う。このチームには10番で彼よりもいいプレイができる選手が揃っているからね。週末の試合では今ひとつだった。彼がユナイテッドに留まりたいなら、パフォーマンスを向上させないといけない」

モウリーニョ監督は、以前から評価していた「ストライカー、ウェイン・ルーニー」と心中するのでしょうか。来月31歳になるキャプテンのよさを引き出せるのは、もはやズラタンの後ろではないのかもしれませんが…。

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“運、ミス、自信だけではないはず…マンチェスター・ユナイテッドを立て直す4つのプラン” への5件のフィードバック

  1. mufc7 より:

    彼は3年前まで万能な選手でしたが、2年前から全てが中途半端な選手になってしまいました。彼が1試合を通して素晴らしいプレーをした日を考えると、どれくらい遡ればいいのでしょうか。改革はまず彼を外す事から始まるでしょうが、これが最も困難なミッションになる事は間違いありません。次にフォーメーションですが、私も同じく433を推奨したいです。ポグバに自由を与えているためにフェライニは1人で広大な範囲をカバーしなければならなく、今のフォーメーションではバランスが悪くなってしまいます。インサイドハーフにポグバ&マタ、アンカーにブリントorシュナイデルを相手によって変えてほしいです。言い訳のできない大金をかけたのです、全てのピースが揃ったとモウリーニョ自身も言いました。同じく大金をかけたペップはあっという間に自分色に染めあげました。悪いものを修正できずにズルズルと引きずるのはチェルシー時代のようですし、モウリーニョも監督として下降線にはいってしまったのではないでしょうか?修正をして力強いユナイテッドをみせてくれる事を願っています。

  2. ASAP より:

    ポグバとフェライニの組み合わせが、
    セスク・ファブレガスとマティッチのタッグ、
    すなわち味方チームにとっての推進力(配球役)と
    相手チームにとってのボトルネック(潰し役)の
    コンビネーションに見えているのでしょうか…
    (少なくともピッチ上のデザインでは、そのように見えます)

    ポグバは疑問の余地なく素晴らしい選手ですが、
    一部で指摘されていたように、
    独特の選手でもあるというのが露わになりつつあります。

    今後、思いもよらないポジション変更で
    劇的に改善する可能性もありますが、
    この夏の補強資金を活かすためには、
    ブログ本文で提案されているような
    ポグバ・セントリック(ポグバ中心主義)の
    システム変更が求められるように思います。

  3. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    モウリーニョさんによる3つの敗因はいつもおっしゃる内容ですよね。
    いつも私はレフェリー批判が気になります。
    というのも、うまくいかないとき常にモウリーニョは外部へ矛先を向ける気がするのです。
    これをいつものパフォーマンスと流すこともできますが、私はあまり好感はもてません。
    選手やスタッフを守ることになるときはいいですが、そうならない時もあり昨季のチェルシーはまさにそうだったと思います。
    ロッカールームでは全く逆のことを言っているとは思いますが、このような発言を頻発すると、本気でレフェリーや運のせいで負けたと思う選手が出たりして内部に怠慢をもたらす諸刃のパフォーマンスかと思います。
    昔はこのような方法がうまくいっていたと思いますが、ちょっと言いすぎでチェルシー時代の負のスパイラルをご自身で持ち込んでいるような気がします。

    戦術としては主様や皆様の仰るとおりで、私は特にゲームメーカーが不在であることが気になります。
    マタが先発の時はよかったと思いますが、やはり彼を外さなくてはいけない事情があるのでしょうか?
    ポグバにその役割を担わせるならば、彼をフォローする人材を回りに置くべきです。
    特に空いたスペースにガンガン飛び込むシュバイニーなどはと提案したいですが、それはないですかね・・・。
    とにかくモウリーニョがどのように立て直すか、ですね。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    ゴメスの神がかったセーブは運の有り無しじゃないですよ、実力です。
    発言が矛盾してまっせ、モウさん。

  5. makoto より:

    mufc7さん>
    一度、外したほうがよさそうですよね。上がった選手のタイミングに合わせられなかったり、縦へのスピードを止めてしまったりと、今までにあまりなかったマイナスが目立ってます。明確に、「ポグバとズラタンのチームなのである」とやったうえで、適材適所で選手を配置したほうが強いチームになるのではないかと思います。

    ASAPさん>
    私も、セスクとマティッチのイメージなのかなと思ってました。フェライニはがんばってますが、マティッチほどのポジショニングセンスがなく、ポグバはセスクのような的確なパサーというよりは、意外性に魅力があるので、同じようにはいかなそうです。中盤の底にスペースを埋められる存在を置き、ポグバがより前に出やすい布陣がいいのではないかと思います。

    nyonsukeさん>
    同感です。レフェリー批判で気になるのは、FAやレフェリーを敵にまわしても何もいいことがないことと、クラブのイメージ悪化につながることです。負け出すとこうなってしまうのは変わらないのだなと少しがっかりしています。そしてシュバイニー!私は出番だと思うのですが、さすがに現状では書きづらいですね…。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    実力です。ナイスセーブです。神がかりとは大げさです。決めたいなら、シュートコースはあそこではありませんでした。幸運も不運も、両者に等しくあったゲームだと思います。イガロのシュートミスに救われたチームの指揮官が、オフィシャルにレフェリーや運を敗因だと語るのは、悔しさはわかるもののリスクだと思います。

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